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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル30巻11号

1996年11月発行

文献概要

クリニカル・ヒント

水中運動療法―水の魅力

著者: 森井和枝1

所属機関: 1神奈川リハビリテーション病院理学療法科

ページ範囲:P.830 - P.830

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 1.生物の起源

 太陽系ができ生物はまず水中より発生した.生物の進化に伴い,今から3億年以上前に魚類が両生類となって上陸した.魚類のヒレから発生した両生類の四肢は横に張り出していた.これは抗重力構造として不十分であり,体を十分に支えたり大きな推進力を得ることはできなかった.進化については,古生物学のデータのほとんどが化石によっているため形の問題のほうが重要視されているようだ.また,進化してきた哺乳類としての人間も,生を受け誕生するまでの間,羊水という水の中に戻る.そこで様々な運動の練習をし,陸上での生活に耐えうる生態を作り上げてくる.

 しかし,外界に出て重力に適応し,歩行を獲得するまでに約1年を要する.発達が未熟あるいは不十分な状態で生まれてきた者,病気や障害によって不十分となった者にとって,重力に適応することはなおさら大変である.彼らは反応も含めて抗重力構造が不十分な状態であり,陸上における重力下での運動は過剰な努力を要求しかねない.過剰な努力の反復は筋活動のアンバランスを助長し,正しい反応や運動を阻害する結果となる.水に帰してやる.つまり重力量を調整し,反応や運動を引き出していくほうが望ましいと考える.せめて密度が高く,圧が均一化している水中において,力を抜きリラックスすることを学習させたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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