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文献概要
講座 運動療法とリスク管理・2
脳損傷患者の理学療法とリスク管理
著者: 長澤弘1
所属機関: 1北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
ページ範囲:P.113 - P.118
文献購入ページに移動 早期に開始する重要性
脳損傷患者(ここでは主に,脳血管障害や脳外傷などにより中枢神経系が障害された患者とする)に対して,可及的早期から理学療法をはじめとしたリハビリテーションアプローチを展開していくことは,常識になってきている.早期から開始した場合の利点として,二木1,2)は脳卒中患者において回復期間の短縮や二次的合併症の予防が可能であり,また早期に自立度の予後を予測できたり,社会経済的効果としても医療費削減にもつながること,などについて述べている.脳外傷患者は年々増加傾向があり,北里大学病院救命救急センターで平成5年度に取り扱った入院患者は2,858名であり,約1割の死亡例を除きICU・ CCUへの入室は1,000名,その内で脳神経外科疾患が291名の多くに達している.また米国においても同様な状況であり,Mayer3)が重度頭部外傷患者の増加の現状を報告し,早期からのアプローチの重要性と,長期間にわたる援助継続の必要性について述べている.
いずれにしても急性期における医学的管理のなかでの理学療法は,患者の予後に対して大きく影響を及ぼすものである.本稿では急性期・亜急性期はもとより,慢性期に至ってもさまざまなリスク管理とともに理学療法を展開する必要があるため,これらについて概説する.
脳損傷患者(ここでは主に,脳血管障害や脳外傷などにより中枢神経系が障害された患者とする)に対して,可及的早期から理学療法をはじめとしたリハビリテーションアプローチを展開していくことは,常識になってきている.早期から開始した場合の利点として,二木1,2)は脳卒中患者において回復期間の短縮や二次的合併症の予防が可能であり,また早期に自立度の予後を予測できたり,社会経済的効果としても医療費削減にもつながること,などについて述べている.脳外傷患者は年々増加傾向があり,北里大学病院救命救急センターで平成5年度に取り扱った入院患者は2,858名であり,約1割の死亡例を除きICU・ CCUへの入室は1,000名,その内で脳神経外科疾患が291名の多くに達している.また米国においても同様な状況であり,Mayer3)が重度頭部外傷患者の増加の現状を報告し,早期からのアプローチの重要性と,長期間にわたる援助継続の必要性について述べている.
いずれにしても急性期における医学的管理のなかでの理学療法は,患者の予後に対して大きく影響を及ぼすものである.本稿では急性期・亜急性期はもとより,慢性期に至ってもさまざまなリスク管理とともに理学療法を展開する必要があるため,これらについて概説する.
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