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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル30巻2号

1996年02月発行

文献概要

原著

回復期心筋梗塞患者に対する筋力トレーニングの安全性

著者: 山﨑裕司1 山田純生1 渡辺敏1 長谷川輝美1 青木治人1 田辺一彦2 長田尚彦2 伊藤春樹2 村山正博2

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部 2聖マリアンナ医科大学第2内科

ページ範囲:P.120 - P.124

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 [要旨]回復期心筋梗塞患者に対する筋力トレーニングの安全性を検討するため2つの研究を実施した.第1の研究では,15例の回復期心筋梗塞患者における膝伸展筋の筋力増強運動中の心拍血圧反応について検討した.膝伸展筋の筋力増強運動中の収縮期血圧は,40,60,80% 1 repetition maximum(1RM)いずれの負荷強度においても,嫌気性代謝閾値(AT)レベルの有酸素運動中のそれを上回っていた.しかし,2重積はいずれの負荷強度においてもATレベルの有酸素運動中の値と有意な差を認めなかった.

 第2の研究では,実際に筋力トレーニングを回復期心筋梗塞患者に応用した際の不整脈や心筋虚血徴候,心不全徴候の出現率について調査した.対象は筋力トレーニングを併用した運動療法を施行した心筋梗塞患者40例と通常の有酸素トレーニングのみを処方した65例である.有酸素トレーニングはATレベルの心拍数を指標として処方し,筋力トレーニングは60% 1RMの負荷強度で膝伸展筋に対して施行した.不整脈や心筋虚血徴候,心不全徴候の出現率は筋力トレーニングを併用した群で25.0%,筋力トレーニングを併用しなかった群で23.1%と群間に差を認めなかった.また,これらによって運動療法が中止となった症例の比率も筋力トレーニングを併用した群で10.0%,筋力トレーニングを併用しなかった群で9.2%と群間で差を認めなかった.

 以上のことから,心筋梗塞患者の回復期においても,負荷強度が40~60% 1RM程度の筋力トレーニングであれば,安全に実施できるものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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