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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル30巻6号

1996年06月発行

雑誌目次

特集 高齢者と運動

essences of the issue フリーアクセス

ページ範囲:P.373 - P.373

 身体に障害を持つ高齢者が培加しているのみならず,その目的が,とりわけ高齢者の健康の維持・増進を図るものへと拡大しつつあり,理学療法士が高齢者と係わる割合は量的にも質的にも一層大きくなっている.本特集では,高齢者に運動は必要不可欠であるという前提で,両者の関係を幅広く,体力,知的精神活動,コラーゲン組織,健康,危険性の側面から論じていただく.

加齢と体力

著者: 中田昌敏 ,   斉藤徹 ,   丹羽滋郎

ページ範囲:P.374 - P.382

 1.はじめに

 中高年齢者の場合,体力・筋力などの身体機能低下が問題となるのは,それが日常生活を著しく阻害する原因となり,何らかの疾患・傷害を引き起こす原因となるからである.中高年齢者では,慢性的疾患,成人病などが発症したとき,運動・治療体操を含めた運動療法を積極的に受け入れようとするケースと,臨床症状より精神的なダメージを受け,運動不足をきたし,これが悪循環となって体力低下を引き起こすケースがある.体力の低下したケースに対応するとき,加齢に伴う身体機能の低下度は,生理学的要因に加え,中高年齢者の心理的あるいは社会的な環境要因により個人差が大きく,体格・体力の個人差は遺伝的要因よりは,長い間の生活習慣(食習慣,運動,嗜好品,精神的ストレスなど)つまり後天的要因によるところが大きいことを知っておかなくてはならない.

 本稿では,中高年齢者の平均的体力をもとに,加齢による体力低下の特徴,習慣的な運動の効果や,運動強度と身体機能変化の関連について述べる.

高齢者の知的精神活動と運動との関係

著者: 金子満雄

ページ範囲:P.383 - P.389

 1.はじめに

 筆者は神経心理学の観点から,地域高齢者と痴呆外来患者を多数診ている臨床医の立場として,このテーマについて解説を試みたいと思っている.

 過去十余年間に約25,000人の地域高齢者と15,000人以上の痴呆外来患者(その7割は重度まで進んでいない比較的軽い痴呆患者)の神経心理機能を分析し,生活環境との関係を調べてきたが,そこには数々の生きた法則が見えてくるものである.例えば,運動機能との相関についても,その1,2を挙げるとこんなものがある.その1,「大腿四頭筋を触ってみて,これが衰えている人は,まず,脳の高次機能も衰えているものである」.その2,「膝の上で,手を表と裏とに交互に叩いてもらうタッピング・テストが機敏にできなくなった人は,階段を手摺りにつかまらずにトントンと駆けおりられなくなっているし,脳の高次機能も衰えているものである」などがそうである.これらは,臨床の場で繰り返し診ていると,とにかく正しい事実であって,「何故そうなのか?」というメカニズムの解明,理由づけは後の問題なのである.

 これは痴呆患者をたくさん診ているなかに,「高齢の女性で,2個のお手玉ができなくなったら,大体,回復困難な重度痴呆レベル(MMSでいえば14点以下)まで達していることが多い」といえるのと同じように,臨床上の事実なのである.ただし,なぜ,2個のお手玉なのかという理由を解明することはそれほど楽ではない.

 今回のテーマの「脳機能と運動との相関」に関しても,編集者の意図は仮説を立てて明快に解説して欲しいということであろうが,そこには同様の難しい事情があることを最初に断っておきたい.そこにこそ「患者はすべての教科書である.とにかく,なるべく多くの患者(また高齢者)を詳細に継続的に観察すること」という臨床医学の価値があるともいえるのだろう.

 筆者らは脳の最高次機能を細かに評価するもの差し(神経心理機能テスト・バッテリー)を開発することから始めて,地域の高齢者の脳機能が加齢と共に,どのように低下してくるのか,また,それはどのような環境因子の影響を受けるのかなどを調査してきた.高齢者の脳機能が正常域から低下してくると,軽度痴呆,中等度痴呆,重度痴呆へと進展するが,地域(都会地域,山村地域)のなかで,それらが,どれくらいの頻度でみられるかも興味の1つであった.

 そのような研究を通じて,老人性痴呆は生活環境因子に左右されて起こるものが大部分(約90%)であることに気づき,ライフスタイルとの相関を調べてみると,どのようなライフスタイルの人がボケやすいかも統計的に明確に打ち出された.その共通点こそ,「若い頃から,仕事一辺倒で,生き甲斐,趣味を持たず,友達との交際もなく,肉体的運動も定期的にやっていない」というナイナイづくしの人だったのである.しかしこのことは,昔から,賢人と呼ばれた人が繰り返し述べてきている金言と同じなのである.これくらい誰でもよく知っている金言が医療関係者の臨床統計からも証明されることこそ,臨床医学の極致といえるのではなかろうか.

地域社会における高齢者の健康と運動

著者: 石田健司 ,   下保訓伸 ,   清水隆 ,   山本博司 ,   松林公蔵 ,   川村博文 ,   伊藤健一 ,   山本昌樹

ページ範囲:P.390 - P.396

 高齢になると,一般的に運動能力の低下と身体運動量の減少が起こる.この低活動性は,高齢者の心身の健康を阻害する重大な1要素として認識され,運動の重要性が唱えられている.今回,地域における高齢者の健康管理を行ううえで,運動の果たす役割と効果について検討した.また,第1部において,われわれが高知県のある山間部で行った検診結果を報告するとともに,骨粗霧症の予防に関する運動の意義について考察した.次に第2部において,地域社会における運動の役割について,特に廃用症候群,過用症候,誤用症候について考察した.

コラーゲン組織の老化と運動訓練効果―腱・靱帯および骨組織の老化に対する運動療法の果たす役割

著者: 白土修 ,   伊藤俊一

ページ範囲:P.397 - P.404

 1.はじめに

 コラーゲン組織は人体のなかで最も豊富かつ広範に分布する繊維性蛋白質群であり,全ての結合組織の骨組みとなる特に重要な構成要素である.コラーゲン組織が加齢と共に,化学的,形態学的,そして機能的に老化現象を起こすことは広く知られる事実である.例えば,加齢とともに乳幼児の皮膚の弾力性が低下し,雛が出現し,また関節は柔軟性を失い,硬くなる24).主に,生体内運動器官に関わる諸問題を取り扱う機会の多いリハビリテーション医学の分野では,この老化現象が引き起こす問題は避けて通れない.運動療法は,これらコラーゲン組織の老化現象に対する治療そして予防手段として,日常診療の場でしばしば処方・実施される.本稿では,これらの老化に対する運動療法の果たす役割を文献的に考察する.さらに,筆者らの研究の一部を紹介し,コラーゲン組織の老化に対する運動療法の発展すべき方向について論述する.

高齢患者に対する理学療法施行時の留意点

著者: 荒畑和美 ,   小山内隆 ,   亀田英俊

ページ範囲:P.405 - P.410

 1.はじめに

 近年,理学療法(以下PT)に関わる「アクシデント」(表1)や医療事故の報告もみられるようになり,訓練時の危険性について改めて認識され始めている.特に高齢者では,後述するように身体・精神面の特徴から,若年者以上に注意が必要である.

 東京都老人医療センターにおいて,平成6年度にPTを施行した入院患者の平均年齢は76.3±9.3歳(図)である.高齢な患者を日常的に扱っている当センターでも,開設当初より多少の「アクシデント」は起こっている.しかし,環境整備・職場体制・職員の理解などによりその数は減少し,近年では骨折などの治療を要するものは1件も起きていない.

 本稿では,高齢者を訓練する際の「アクシデント」を防止するために,当センターにおいて日常留意していることを紹介する.

とびら

インフォームド・コンセントと理学療法士雑感

著者: 馬場将夫

ページ範囲:P.371 - P.371

 世の中には,病気であろうとなかろうと,一緒にやっていくのに不愉快な,そして付き合いにくい人がいるものである.そして,自分自身が自己の最大の敵で,人間関係が下手な人も中にはいる.理学療法士なら,大変いやな,うるさい患者にぶつかることもある.しかし,そういう場合でも,自分がその人の担当理学療法士であるという,正にその理由のために,理学療法士は患者の様々な反応を昇華するようにしなければならない.患者や家族に対して,ひとたび怒りやイライラした態度で反応してしまうと,もう理学療法士としての立場は弱くなってしまう.そして,それをきっかけとして,患者の問題をマネージメントすることはすこぶる難しくなる.

講座 社会医療経済学・2

社会保障改革と公的介護保険

著者: 山﨑泰彦

ページ範囲:P.411 - P.415

 公的介護保険の導入を目指す老人保健審議会の審議が大詰めを迎えている.当初の予定では,昨年末に審議会の最終意見書を取りまとめ,今年2月に法案を国会提出というスケジュールだと伝えられていたが,本稿執筆時点(2月末)でもなお審議が続いている.

 審議会での主な争点は,経営主体(地域保険方式,国営保険方式,老人保健制度方武),給付形態(現物給付,現金給付,両者の併用),対象者(若齢障害者の取り扱い),費用負担(定額保険料,応能保険料,事業主負担)等である.

クリニカル・ヒント

慢性関節リウマチ(RA)患者の術後のROM訓練

著者: 八木範彦

ページ範囲:P.416 - P.417

 平成7年に当院に入院したRA患者223名の入院理由は関節痛や関節拘縮などの関節破壊が76名(34.1%)と最も多く,次いでRAのコントロールが47名(21.1%),骨折32名(14.3%)であった.したがって,理学療法の処方内容も各種の術後訓練が最も多く,総処方件数239件のうち99件(41.1%)を占めた.このように,当院では重度のRA患者が多く,さらに治療手段として観血的療法の適応が高率に考えられることから,術後プログラムのなかでROM訓練の重要性が一段と高まっている.

 ROM訓練は,われわれ理学療法士にとって最も基本的技術の1つである.特に徒手的なROM訓練はさまざまな患者に常に用いられるものである.しかし,個々の患者の疼痛に対する感受性や関節を構成する骨の損傷,その周辺の軟部組織の柔軟性などさまざまな条件が影響して,ROM訓練が画一的な方法で施行できないことも事実である.RA患者の場合は,亜脱臼や拘縮などで回転中心の移動や異変を生じていることが多いので,なおさらのように思われる.

Treasure Hunting

障害児の生き甲斐づくりに情熱―辻 清張氏(福井県立小児療育センター)

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.419 - P.419

 辻清張氏は1961年,東京のお生まれ.4歳のときに父親の仕事の都合で福井県に移住されたというから,氏にとって,福井は文字通りの故郷といえよう.本誌のこの欄にご登場いただいた方がほとんどそうであったように,辻氏も理学療法の何たるかを知らずに,理学療法士の道に足を踏み入れたようである.高校3年の春の遠足で金沢に行き,犀川べりを散歩しながら,この街に住みたいと思って金沢大学に挑戦するも,共通一次試験で敗退,金沢への思い捨てきれず,ようやく探し出したのが金沢大学医療技術短期大学部だったというから,春の日差しを浴びて輝く犀川の流れがよほど目から離れなかったのだろう.

 そんな氏がNICUでの理学療法(超早期リハビリテーション)から障害児レク活動まで幅広く手掛けるようになるまでには,様々な人との出会いや経験があったことはいうまでもあるまい.今月は,障害児の生き甲斐づくりに若い情熱を燃やしている辻氏の活動ぶりを紹介しよう.

プログレス

血管壁レニン・アンジオテンシン系の最近の進歩

著者: 伊藤裕 ,   中尾一和

ページ範囲:P.420 - P.421

 1.はじめに

 レニン・アンジオテンシン系(RAS)は,強力な昇圧物質であるアンジオテンシンⅡ(AⅡ)の産生経路であるが,AⅡの血圧,水電解質ホメオスターシスにおけるその多彩な生理作用により,従来より内分泌系としてのRASの心血管および腎機能における重要性が指摘されてきた.近年,分子生物学的手法の発達に伴い,いわゆる自己分泌,傍分泌(パラクリン,オートクリン)系としての組織RASの存在が明らかにされ,それらによる各臓器における局所機能の調節の可能性が注目されるようになってきた1).本稿では,この組織RAS,特に血管壁RASについての最近の知見を中心に,その臨床的意義について述べたい.

1ページ講座 関連職種の法制度・6

管理栄養士

著者: 原正俊

ページ範囲:P.422 - P.422

 管理栄養士は,栄養士法(昭22,法245)の昭和37年の改正(以下旧法という)によって誕生し,60年の改正で現行のものとなっている.法における栄養士および管理栄養士の定義は,「第1条・この法律で栄養士とは,栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者をいう.②この法律で管理栄養士とは,前項に規定する業務であって複雑又は困難なものを行なう適格性を有する者として登録された栄養士をいう.」となっている.

 管理栄養士となるためには,国家試験(旧法では厚生大臣の行う試験)に合格した後,厚生省の管理栄養士名簿に登録することが必要であるが,国家試験の受験資格と受験科目については栄養士養成年限によって,4年制大卒者は速やかに受験できるが,短大・各種学校卒者については,実務期間を加えて満4年となることが不可欠の条件となっており,受験科目については,管理栄養士養成施設卒業者は7科目(旧法では無試験),その他については13科目(旧法では10科目)となっている.

入門講座 苦労する科目の教育実践・6

理学療法学研究法/職場管理論 私の「理学療法学研究法」講義ノート/職場管理論

著者: 乾公美 ,   濱出茂治

ページ範囲:P.423 - P.431

 Ⅰ.はじめに

 平成元年度に行われた「理学療法士作業療法士養成施設指導要領」の一部改正に伴い,本学の前身である札幌医科大学衛生短期大学部では,平成2年度入学生より3学年前期に「理学療法研究法」(30時間)が開講されるようになった.以来,筆者がこの科目の15時間分を担当し,残りを理学療法学科の教員全員が少数の学生を分担して研究活動の実践を指導し,卒業研究報告集にまとめてきた.

 4年制大学になった現在も,「理学療法研究法」は「理学療法学研究法」(30時間)として3学年後期に開講され,関連科目として新たに「理学療法研究セミナー」(60時間)と「卒業論文」(60時間)が開設され,4学年を対象に教授される.「理学療法研究セミナー」は学生が3学年になったとき,担当教員が決められ,それぞれの教員が時間の余裕をみつけて2~3名程度の学生の指導を行っている.

 さて,「理学療法学研究法」は,筆者が担当する教科目のなかで講義しにくい科目の1つである.その理由を問われると答えに窮してしまうが,多分それは,筆者に「研究法」なるものを教授するに相応しいキャリアがあるかどうか,自身で疑わしいからである.どのような科目にせよ,それに精通し十分な学識と経験を備えた者が教授しなければ学生を納得させられないし,教えた者も後ろめたさが残ってしまう.このようなことは是非とも避けたいことである.そこで筆者の「理学療法学研究法」講義ノートを開示して先輩諸氏のご批評を仰ぎたいと考えて,本稿の執筆を承諾したことを最初にお断りしておきたい.

あんてな

地域小規模園施設での理学療法士の関わり―乳幼児親子教室の紹介

著者: 大城雅子 ,   大城壽雄

ページ範囲:P.432 - P.433

 障害を持った子どもとその親が自分たちが住んでいる地域で生き生きと生活できるための援助を着実に行っている民間の施設がある.筆者らはほぼ10年前からこの施設に関わっている.子どもの療育もさることながら,両親の支えとなっているこの小さな施設について語ると共に,理学療法士の関わりについて紹介してみたいと思う.

特別企画 これからの理学療法士に期待すること(2)

<医師の立場から>理学療法士の教育と期待/<言語療法士の立場から>プロフェションとしての理学療法学の構築を/<義肢装具士の立場から>21世紀のリハ医療に向けて/<リハビリテーションエンジニアの立場から>福祉用具にも積極的関心を!/<リハビリテーションエンジニアの立場から>地域の特性に立脚したチームアプローチを

著者: 明石謙 ,   笹沼澄子 ,   田澤英二 ,   沖川悦三 ,   中川昭夫

ページ範囲:P.435 - P.439

 私の所属している学校法人川崎学園とその兄弟法人に理学療法士・作業療法士の養成コースが1つずつ,2つの養成コースができた.それら両者の正式の名称はそれぞれ各種学校「川崎リハビリテーション学院(リハ学院)」と「川崎医療福祉大学,医療技術学部,リハビリテーション学科(医福大リハ科)である.後者は出発してからまだ2年目を迎えるのみで手探りの状態だが,これら2校に共通している目的は理学療法士・作業療法士を養成することで,そのために両者ともキッチリとした勉強をしてもらわねばならない.教える方もこの点ではいささかの手抜きも許されない.幸いなことに,どちらも川崎医科大学(医大)に隣接しているので,いささか苦労することもあるが,それでも教員は何とかなる.当然,医大のリハビリテーション科(リハ科)の医師はこれら両者に関わることになり,私はこの4月から両方を合わせると,毎週解剖学3コマ(90分×3)と解剖学実習1コマを受け持っている.1学期の半ばを過ぎると解剖学2コマはリハ科の他の医師に引き継ぐことになるが,それまでは医大のリハビリテーション医学の講義等も時々入るので,声を潰さないように寝酒の量や質も考えねばならない.ここで,私の経験をついて少し述べ,次に何を期待するか私の考えを記したい.

Topics

平成8年4月診療報酬改定について

著者: 沖廣剛

ページ範囲:P.440 - P.441

<はじめに>

 平成8年4月診療報酬の改定が行われた.引き上げ幅は平均(医科・歯科・調剤)3.4%だが,同時に実施される薬価等の引き下げ幅が2.6%で実質引き上げ幅は0.8%という厳しい内容であった.その中での今回の改定の特徴をみてみよう.

書評

松本茂(著)―「悪妻とのたたかい―神経難病ALSと共に」 フリーアクセス

著者: 工藤俊輔

ページ範囲:P.382 - P.382

 松本茂さんは秋田県大潟村のお百姓さんである.

 松本さんは今から13年ほど前発病し,ALSと診断された.そして,発病して4年目に言葉をほとんど話せなくなってしまった.孤独と苦悶の日々が続く.しかし,村の人たちの協力で意志伝達装置(パソコン)を手に入れ,ALS協会の機関誌や支部会報に日々の悪戦苦闘ぶりを書き続けた.「負けない」「諦めない」「挑戦する」この松本さんの哲学.まさに1ページ,1ページがドラマである.

 単なる闘病記ではない.人工呼吸器を用いなければ9年前に存命していなかつた人が現在,日本ALS協会の会長として日本を西に東にALS者やその家族を励ますために飛び回っている.この本は発病以来13年間,松本さんを支えてきた妻るいさんとの二人三脚の物語である.

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文献抄録 フリーアクセス

ページ範囲:P.444 - P.445

編集後記 フリーアクセス

著者: 高橋正明

ページ範囲:P.448 - P.448

 今年は全国的に春の訪れが遅れ,青葉が目に染みるはずの今の季節に,北海道では黄緑色の若芽が寒そうに風に揺れています.しかしながら,住専という前代未聞のできごとにもかかわらず,世の中が何か冷たくさめていると感じるのは,この寒さだけのせいではないような気がいたします.

 本号の特集「高齢者と運動」はいかがだったでしょうか.高齢社会をさらに高齢社会へと突っ走る日本丸では,今やどこにでも高齢が氾濫していますが,これがなかなか掴まえられません.今回は,運動という側面で理学療法士の関連において広く網を掛けられないかと企画しました.5本の論文それぞれが総論と各論を含むより独立した内容となるため,執筆は各方面で長年実績を積んでこられた先生方にご依頼しました.限られた紙幅にもかかわらず,ポイントのはっきりした読みやすいお原稿をいただき,この場を借りて感謝申し上げる次第です.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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