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特集 地域リハと病院リハの連携―理学療法士の役割 地域・病院連携のなかでの理学療法技術
(3)専門スタッフのチームアプローチを基礎として
著者: 松葉貴司1 伊藤利之2
所属機関: 1横浜市総合リハビリテーションセンター地域サービス室 2横浜市総合リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.471 - P.477
文献購入ページに移動わが国におけるリハビリテーション(以下,リハ)は,医療機関や専門施設において行われる医学的リハ(以下,病院リハ)を中心として発展してきた.発症後の早い時期には,傷害された臓器の治療に重点が置かれるなか,これと平行して残存する機能の開発訓練として,機能訓練やADL訓練などが集中的に実施されるなど,急性期・回復期の医学的リハが社会的に認知されるようになった.しかし,これらの病院リハが高度に専門分化される一方で,退院後の寝たきり防止などの慢性期におけるリハ的対策の不十分さが指摘され,近年では障害者・高齢者の在宅生活の場,つまり地域社会において提供される慢性期のリハ(以下,地域リハ)が各地で展開されるようになってきた.
地域リハの定義については諸家の論じるところであるが,筆者らは「病院や施設で行われるリハに対し,生活の拠点を住み慣れた地域社会(在宅)に置いて行われるリハのことであり,そのために必要な地域システムの構築,人材の養成,社会資源の開発など,関係するすべての活動を含む」と位置づけている.地域リハにおいては,保健・医療・福祉の幅広い分野のサービスが必要であり,これらのサービスを提供するには,われわれ理学療法士・作業療法士(以下,PT・OT)をはじめ,専門スタッフによるチームアプローチと,これら専門職の機能をバックアップする中核機関の存在が重要である1).
1995年の理学療法白書によれば,PTの80%以上が医療領域の業務に携わっているが,福祉・保健などの地域リハの一翼を担う領域で活動するPTも確実に増加している.病院リハと地域リハのいずれの場面においてもPTは重要な担い手であり,各々の活動拠点からアプローチを展開することが要求されている.
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