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文献概要
特集 高次脳機能障害をもつ患者の理学療法
半側無視を伴う片麻痺患者に対する運動療法
著者: 榊広光1
所属機関: 1藤元病院セラピスト室
ページ範囲:P.625 - P.631
文献購入ページに移動 1.はじめに
われわれ理学療法士が,脳卒中片麻痺患者の治療阻害因子として,半側無視を認識していることは当然のことである.しかし,それに対して定説的な運動療法の治療概念というものがなく,半側無視を伴う患者の治療が困難であり,治療ゴールをワンランク以上引き下げて設定し治療を行った経験があるのは筆者だけではあるまい.
半側無視患者の治療を行うとき,どのようなアプローチが妥当であるかと,よく葛藤する.例えば,患者には,患側方向から話しかけたほうがよいとの定説みたいなものがあるが,しかし無視されているほうからのみでは,それこそ無視されてしまう.治療対象を患側上下肢のみとすれば,運動療法自体が無視されてしまうような感じがする.また反対に,健側からのみのアプローチでは注意を過剰に引きつけてしまいそうな感じになる,どちらが正しいかというのは判らない.状況に応じて柔軟に対処するということか?このように,半側無視を治療する際のアプローチ側だけを考えても,難解な問題になる.
本稿では,理論にとらわれずに,半側無視に対する運動療法に関して記述することを許されているので,まだ立証されていない方法も含めて日頃行っていることを論述したい.
われわれ理学療法士が,脳卒中片麻痺患者の治療阻害因子として,半側無視を認識していることは当然のことである.しかし,それに対して定説的な運動療法の治療概念というものがなく,半側無視を伴う患者の治療が困難であり,治療ゴールをワンランク以上引き下げて設定し治療を行った経験があるのは筆者だけではあるまい.
半側無視患者の治療を行うとき,どのようなアプローチが妥当であるかと,よく葛藤する.例えば,患者には,患側方向から話しかけたほうがよいとの定説みたいなものがあるが,しかし無視されているほうからのみでは,それこそ無視されてしまう.治療対象を患側上下肢のみとすれば,運動療法自体が無視されてしまうような感じがする.また反対に,健側からのみのアプローチでは注意を過剰に引きつけてしまいそうな感じになる,どちらが正しいかというのは判らない.状況に応じて柔軟に対処するということか?このように,半側無視を治療する際のアプローチ側だけを考えても,難解な問題になる.
本稿では,理論にとらわれずに,半側無視に対する運動療法に関して記述することを許されているので,まだ立証されていない方法も含めて日頃行っていることを論述したい.
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