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文献概要
講座 疲労・1
疲労とその研究
著者: 原田一1
所属機関: 1千葉大学工学部工業意匠学科人間工学教室
ページ範囲:P.655 - P.660
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疲労は生命を維持していく限り,身体に起こる現象であり,小さな子どもでも「疲れ」を体験している.日常的に体験するよりも大きな負荷が身体に加えられた場合,たとえば登山やマラソンなどでは死にいたるほどの疲労が起こることもある,一方,体力増強,筋力の増大,持久力の向上のために行われるトレーニングでは,疲労を引き起こすほどの繰り返しの負荷が必要となる.また,近年の労働環境においては,労働代謝率の低い作業が増加する傾向にあり,逆に心身負担の増大による疲労が増えている.したがって,日常生活の中における位置づけにより疲労に対する考え方や疲労を論じる目的は異なってくる.これまでの疲労研究にもとづいて疲労に関する考え方をまとめると以下のようになる1,2).
1)疲労はある条件のもとで活動を続けた場合に生じる心身の状態変化であり,万人が日常的に体験する.
2)疲労の初期の段階であれば,休息により回復できる「可逆性」のものであるが,無理をして活動を継続したときに身体の障害を引き起こす「進行性」の疲労となる.
3)身体の局所を使いすぎた場合でも,疲労の症状が全身的に現われ,疲労現象に中枢神経系が関与している.
4)作業能力の低下は作業意欲の減弱を伴い,生体防衛的に作用する.
疲労は生命を維持していく限り,身体に起こる現象であり,小さな子どもでも「疲れ」を体験している.日常的に体験するよりも大きな負荷が身体に加えられた場合,たとえば登山やマラソンなどでは死にいたるほどの疲労が起こることもある,一方,体力増強,筋力の増大,持久力の向上のために行われるトレーニングでは,疲労を引き起こすほどの繰り返しの負荷が必要となる.また,近年の労働環境においては,労働代謝率の低い作業が増加する傾向にあり,逆に心身負担の増大による疲労が増えている.したがって,日常生活の中における位置づけにより疲労に対する考え方や疲労を論じる目的は異なってくる.これまでの疲労研究にもとづいて疲労に関する考え方をまとめると以下のようになる1,2).
1)疲労はある条件のもとで活動を続けた場合に生じる心身の状態変化であり,万人が日常的に体験する.
2)疲労の初期の段階であれば,休息により回復できる「可逆性」のものであるが,無理をして活動を継続したときに身体の障害を引き起こす「進行性」の疲労となる.
3)身体の局所を使いすぎた場合でも,疲労の症状が全身的に現われ,疲労現象に中枢神経系が関与している.
4)作業能力の低下は作業意欲の減弱を伴い,生体防衛的に作用する.
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