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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル31巻1号

1997年01月発行

文献概要

特集 整形外科系運動療法の新展開

Closed Kinetic Chain Exerciseの意義と臨床応用―前十字靱帯損傷患者の大腿四頭筋筋力増強効果について

著者: 宮川博文1

所属機関: 1愛知医科大学運動療育センター

ページ範囲:P.37 - P.43

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 1.はじめに

 膝関節疾患の治療において,大腿四頭筋訓練の重要性は多くの研究者の認めるところである1-4).最近,下肢の筋力増強訓練において,下肢本来の機能から,立位による荷重下での訓練の重要性が指摘されている3).荷重が可能ならば,できるだけ早期より荷重位での訓練に移行すべきである.この荷重位での訓練は1973年にSteindlerが機械工学の分野のリンク機構を人体にあてはめ解説し,“closed kinetic chain(以下CKC)exercise”と定義した.

 具体的には足底面が接地して,地面からの反作用を下肢が受けるような運動形態とし,例えばスクワット,レッグプレスなどが代表的である.一方,非荷重位での訓練を“open kinetic chain(以下OKC)exercise”と定義し,足底面が接地せず,地面からの反作用を下肢が受け取らない,足部が自由になっているような運動形態で,レッグエクステンションが代表的である5)

 1980年代,Anderson,DePalmaらはCKCが前十字靱帯(以下ACL)再建術後の訓練法として最善であり,ACLリハビリテーションプロトコールの最も重要な要素であると報告している6-8).また,1990年代,Bynum,ShelbourneらはこのCKC訓練による大腿四頭筋筋力増強の有効性について報告している9-11)

 本稿では,このCKC訓練の1つであり,スキーヤーの脚パワーアップのために行われている訓練の1つであるベントオーバー・ニーベント(以下BK)がACL損傷患者の大腿四頭筋筋力に及ぼす影響について調査した内容を報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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