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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル31巻1号

1997年01月発行

文献概要

クリニカル・ヒント

痰の性状と痰喀出訓練―肺の聴診を含めて

著者: 中山勝寛1

所属機関: 1星ケ丘厚生年金病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.44 - P.47

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 1.はじめに

 痰とは,気道液が気道に再吸収されないほど生理的レベルを超えて異常かつ多量に産生され,多少の唾液を混入して喀出されたものである.分泌性上皮細胞(杯細胞)および分泌腺からの分泌が異常に増加した場合や,肺・気管支の血管から多量の血清成分が漏出・滲出した場合に出現し,その組成も生理的気道液とは相違している.

 痰が下気道に貯留すると,気道を閉塞して呼吸困難,無気肺,低酸素血症,病原性微生物の増殖,肺サーファクタントの障害など種々の障害を引き起こす1).特に気道感染症においては,膿性痰が出現してエステラーゼを遊離し,気道上皮の破壊,線毛細胞の剥離が起こり粘液細胞が増加して線毛による痰の輸送を阻害することになる.

 呼吸理学療法の痰喀出訓練は,狭義の呼吸訓練と並んで呼吸障害において重要な役割を果たす.痰貯留に対する対策として一般的に吸入療法が用いられるが,吸入療法は痰を出しやすくしてくれるかもしれないが体外に喀出してはくれない.慢性気管支炎,気管支拡張症,び慢性汎細気管支炎などの慢性閉塞性肺疾患や胸部ならびに腹部外科手術直後のように,自力での喀出能力が低下している患者に対しては,更に体位排痰法,胸部振動刺激や呼吸介助法,咳嗽の介助など痰喀出訓練が必要になってくる.

 ここでは,痰喀出訓練における痰貯留部位の確認方法,気道クリアランスと痰の性状の理論的背景について述べることにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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