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脳卒中片麻痺患者における患側筋出力特性と感覚障害が筋力に対して及ぼす影響―筋収縮様式による差異と患側下肢荷重率からの検討
著者: 寺田茂1 生田光子1 佐々木佳代1
所属機関: 1金沢赤十字病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.69 - P.73
文献購入ページに移動脳卒中片麻痺患者の随意運動は,その機能回復過程において共同運動パターンや痙性に強く影響される.また,随意運動は単に大脳皮質からの遠心性指令のみによるものではなく,筋や関節からの位置,角度,張力等の求心情報を即時処理して大脳の錐体細胞に伝え,その遠心性指令を次々に修正しており,運動遂行における感覚機能の果たす役割も大きい1).臨床上,感覚障害が重度な患者において失調様症状等の随意運動の混乱もしばしば観察される.脳卒中片麻痺患者の感覚障害が歩行能力や平衡機能に関与することは諸家により報告されている2,3)が,筋出力に及ぼす影響についての報告はない.
感覚障害は,表在感覚の触覚では足底部接地感の減少,欠如等により患側荷重が減少し健側優位の日常生活活動となり,筋活動量が減少し筋力低下をきたすことが予測される.また,深部感覚においては患側荷重の減少の上に,関節運動の方向,程度,速度の認知力の低下または欠如が生じ,潜在的に筋力があっても十分な出力を出すことができない等の影響を及ぼすことが考えられる.そこで本研究では脳卒中片麻痺患者の大腿四頭筋において,関節運動の有無による相違を明確にするため筋収縮時に関節運動を伴わない等尺性収縮および感覚障害により関節運動速度が低下している場合にも運動抵抗と速度が自動的に調節され,動的筋力の測定が可能な可変速可変抵抗(variable velocity and resistance,以下VVR)の2種類の筋収縮様式を選択し,健側・患側筋出力の差異および表在・深部感覚の障害が筋出力に及ぼす影響を調査し,同時に患側下肢荷重率の関与も検討したので報告する.
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