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特集 難病と理学療法
難病研究と治療のあゆみ
著者: 黒川清1 三丸淳洋2 遠藤明2
所属機関: 1東海大学医学部 2厚生省保健医療局疾病対策課
ページ範囲:P.787 - P.796
文献購入ページに移動昭和47年,日本の行政当局は当時は原因不明であったスモンの対策がきっかけとなって「難病対策要綱」を策定,「(1)原因不明で治療法未確立,しばしば後遺症があり(例として再生不良性貧血,全身性エリテマトーデス,べーチェット病など),(2)慢性の経過を辿り,経済的な問題,介護と精神的な負担が大きい(例えば,進行性筋ジストロフィー,小児ぜんそく,ネフローゼ,など)」いわゆる「難病」の原因や治療法の開発などを目的として,同年からスモン,べーチェット病などの8疾患の特定調査研究班と同じくスモン,べーチェット病などの4疾患の治療研究班を発足させた.調査研究班はそれ以来一部編成替えはあったものの,ほぼ1年に1疾患を対象として加え,平成7年度までに調査研究班は44班となり(表1),調査研究に年間15億円弱の研究費を投じるに至った.一方,「医療費の自己負担の解消」を伴う治療研究班では,難病のうち診断基準の確立している疾患のうちで(表2),本来は難病研究に協力していただいた患者さんに「謝金」として医療費の患者自己負担分を公費で補助する形がとられてきた(平成9年で38疾患).さらに医療施設の整備も図られてきた.これらの,主に成人の難病の対策のほかに,昭和49年には幼児,小児を対象にした「小児慢性特定疾患」に対する対策もとられてきた.これらを含めた全体を示したのが図1(790ページ)であり,厚生省のそれぞれの担当局と平成9年度の予算を示した.図2(791ページ)には調査研究班と治療研究班の予算の推移を示した.前者が伸び悩んでいるのに対して,後者が大きく増加していることが明らかであろう.
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