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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル31巻4号

1997年04月発行

雑誌目次

特集 脳卒中理学療法の効果

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.227 - P.227

 脳血管障害は周知のように理学療法の対象として最も頻度が高く.すでに多くの評価治療の研究が成され,それゆえその理学療法の効果があることは半ば先験的に自明のこととして受け止められています.しかし自然経過による回復過程を超える治療効果に関して,検証し得た報告は必ずしも多いとはいえないのではないでしょうか.筆者は無論『効果はある』という立場に立つものですが,いかなる治療を選択し,どの様なデザインで検証すべきなのかを改めて問いたいというのが今回の企画の目標でした.

 いずれの特集論文も,『理学療法の有効性』という基本的でありながら困難な課題に真摯に向かう気迫が感じられるものになっています.読者諸兄姉の率直なるご意見ご批判をいただければ幸甚です.

脳卒中のリハビリテーションの効果

著者: 大川弥生 ,   太田喜久夫

ページ範囲:P.229 - P.236

 1.はじめに

 脳卒中はリハビリテーション(以下リハ)医学・医療の最大の対象でありながら,必ずしもリハの効果が実証されているとはいえず,我が国を含め世界各国で種々の立場からその効果の実証的研究およびそれらのメタアナリシスが行われている.本論文はそれらの研究のうち主として最近の海外の研究を中心に整理・分析し,どのようなプログラム・技術が真の意味で有効であると証明されているかをできる限り明らかにすることを目的としている.その場合,一部を除いては理学療法のみの効果をリハ全体の効果と区別して扱うことは困難なので,理学療法との関連を重視しつつも主としてリハ全体の効果を問題とする場合が多くなっている.

 この分析の過程で痛感したことは,同じく脳卒中のリハといっても,国によって医療制度やリハシステムに大きな違いがあり,発症後の開始時期,リハが行われる場,プログラムや具体的な技術は極めてまちまちなことである.特に著者にとっては自明のことと思われるためであろうが,具体的なリハの内容が明らかでない場合が多く,これはどのようなプログラム・技術が有効なのかを問う今回のような検討にとってはほとんど致命的な欠陥である.

 というのは,しばしばリハの内容はどこで行ってもほぼ同一であろうと考えられやすいが,実はプログラム・技術には大きな違いがあるからであり,それによって効果にも決定的な差を生ずる場合があることは,我々が「積極的リハビリテーションプログラム」と従来のプログラムとの比較で明らかにしたところである1).このようなリハプログラムの内容の差と制度・システムの差の両面からして,他国における成績をそのまま我が国に適用することには極度に慎重である必要があろう.

 なおこのテーマについてはすでに上田2-3)が1980年代の文献の総説を行っており,また我々も本誌において,脳卒中の運動療法の効果について,1989年以降に限っての紹介を行っている4).そのため今回は,これらの論文で取り扱っていない1990年代の文献を主としてとり上げることとした.

脳卒中患者への早期理学療法の効果

著者: 長澤弘

ページ範囲:P.237 - P.243

 1.はじめに

 脳卒中患者に対し,可及的早期から理学療法をはじめとしたリハビリテーションアプローチを展開していくことが重要であるということは周知の事実となった.しかしながら,早期理学療法の効果について論述した報告はあまり見あたらない.そこで最初に効果の指標の1つとして「機能予後」について報告された文献を検索し,その内容を概観する.また理学療法効果という観点から自験例について検討し,早期理学療法の効果について考えてみる.

慢性期脳卒中後遺症患者への理学療法の効果

著者: 寺澤健

ページ範囲:P.244 - P.252

 1.はじめに

 脳卒中患者は発病から初期弛緩期,痙性期,適応回復期に分けられ,様々な病態を呈する.すなわち,姿勢トーンの変化,痙性の増強,連合反応の出現,代償活動による機能の獲得,それらが組み合わさることによって,異常な感覚運動学習による異常性が構築される.これらは,発病からの期間が長期になるほど顕著に現れてくる.正常な姿勢トーンに近づけ,両側統合された協調的な運動を学習させることが理学療法の目的であるが,代償活動による機能的動作をいったん獲得して痙性に影響されると,円滑な機能獲得を妨げることになる.

 しかし,自然回復期を過ぎた脳卒中患者に対して積極的に理学療法を行い,良好な効果が得られることは,今までに多くの臨床成績や論文で述べられている.紀伊2)は発病から1年を経過した376名の患者に神経発達学的治療を行い,一定の改善が得られたと報告している.古澤3)は症例報告を中心に,その治療効果について報告している.当院では入院,外来すべての患者に独自の評価表を用いて,病歴および機能改善度をコンピューターに入力している.この論文では,最近4年間に入院した発病後6か月を越えた患者743名の改善度を評価した結果と,2例の症例報告から,慢性期脳卒中患者に対する理学療法の効果について考察する.

脳血管障害患者の体力に関する運動療法の効果

著者: 杉本諭 ,   網本和 ,   山田純生 ,   深井和良 ,   秋澤暢達

ページ範囲:P.253 - P.258

 1.はじめに

 近年,脳血管障害(CVA)患者に対する早期リハビリテーションの重要性を指摘する報告4,13,21)は多い.リハビリテーションの遅れで最も問題となるのは,安静臥床に伴い二次的に生じる廃用症候群であろう.上田20)は廃用症候群の諸徴候を表1のようにまとめ,廃用性の低下は単一器官にとどまらず,ほとんど全ての心身機能に現れると述べている.しかし,CVA患者は発症後,運動麻痺により歩行をはじめとする様々なADL能力の低下をきたす場合が多いため,評価の際にも起居動作や立位・歩行能力が第一に取り上げられてきた.一方,発症急性期の安静臥床とそれに続く急性期の活動性の低下は,心肺機能にも影響を及ぼすことは十分予想されるものの,心肺機能の状態,体力トレーニングの方法およびその効果についての検討はいまだ確立されてはいない.そこで本稿では,これまでに報告されたCVA患者の体力に関する論文を概観し,体力の評価,トレーニング方法について言及する.

脳卒中患者に対する装具療法の効果

著者: 森信孝

ページ範囲:P.259 - P.265

 1.はじめに

 脳卒中患者に対する理学療法の一般的なゴールとして,ADL自立,歩行能力の獲得が挙げられ,QOLの向上も含め,それらの達成のために種々のアプローチが行われている.そのなかでも,装具療法は運動療法とともに有力な治療手段の1つである.従来,装具療法は能力障害(disability)に対する代償的アプローチを主目的として考えられてきた.しかし近年は,早期より適合のよい軽量かつ機能的な装具を用い,適切な体重支持や歩行の矯正を図り,筋力の強化や運動回復に効果を挙げる機能障害(impairment)に対するアプローチの有力な手段であるという認識も得られており,装具療法の果たす役割も多様化している2,4,8,10,33)

 本稿では,脳卒中の装具療法についての現状,目的,適応,効果等について下肢装具を中心に述べるとともに,我々の施設で行っている装具療法を紹介しながら,早期装具療法等についても触れることにする.

脳卒中片麻痺患者に対する電気刺激療法の効果

著者: 小池和幸 ,   高橋守正

ページ範囲:P.266 - P.270

 1.はじめに

 脳卒中片麻痺(以下,片麻痺)患者に対する理学療法は運動療法が中心であるが,電気刺激療法をはじめとする物理療法の併用により,さらに効果的な治療が期待される.片麻痺に対する電気刺激療法は,機能的電気刺激(functional electrical stimulation;FES)と治療的電気刺激(therapeutic electrical stimulation:TES)に大別される.

 FESは,プログラムされた電気刺激により麻痺筋を収縮させ,障害された把持,起立,歩行などの行動を再構築することを目的としている1).これに対しTESは,筋萎縮の予防改善,筋力増強,痙性の抑制,随意性の向上などを目的に行われる2).本稿では,片麻痺に対する電気刺激療法の効果と今後の課題について,歩行に焦点をあて,自験例を含めて述べることにする.

とびら

“先生”と呼ばれることに思うこと

著者: 石田静江

ページ範囲:P.225 - P.225

 理学療法士として四半世紀の臨床を振り返り考えるに,色々なことがあった.そのなかの1つをここで述べてみたい.

 皆さんは,患者さんやその家族,病院のスタッフや周囲の人々に“先生”と呼ばれていますか?そして,その言葉を何の抵抗もなく受け入れていますか?それとも何かを感じていますか?私には以前から少なからず抵抗があり,余り快く思えません.

入門講座 社会福祉施設における理学療法・4

身体障害者療護施設における理学療法士の役割

著者: 谷口政隆

ページ範囲:P.272 - P.279

はじめに

 昨今,福祉という言葉をよく耳にするようになった.我が国の福祉といえば,世間一般には,これから訪れるであろう超高齢化社会に対する対策および具体的な施策として捉えられることが多い.現実に高齢化社会を迎え,人口の15%が高齢者という時代になっており,西暦2002年には人口の4人に1人が高齢者という時代が到来する.そのような時代背景により,1989年には高齢者保健福祉推進10か年戦略(ゴールドプラン)が策定され,1994年には新ゴールドプランとして,より具体的に高齢者福祉を推進することとなった.また,今後創設されるであろう公的介護保険により,高齢者保健福祉施策はより一層充実したものとなるだろう.

 一方,近年の障害者対策も,国際的な進展に伴って計画的に推進されてきており(表1),障害者福祉も着実に前進しているといえる.そのような中にあって,身体障害者療護施設(以下,療護施設)は,障害者プラン(ノーマライゼーション7か年戦略)によれば,施設サービスの充実を目的として,平成14年度までに現在7万人(平成7年度)の1.5倍に相当する2.5万人定員を目標として整備されることになっている1).そのような状況に伴い,社会福祉施設の数は今後,着実に増加するであろうし,そのなかでの理学療法士の活躍が期待されるところである.

 本稿では,社会福祉施設の1つである療護施設について,その目的や機能について解説しながら理学療法士の役割について述べることにする.

講座 教育効果を上げるための工夫・4

認知領域の教育―問題解決能力

著者: 田村美枝子

ページ範囲:P.280 - P.284

はじめに

 日本の理学療法士学校養成施設の教員,臨床実習を指導する臨床施設の指導者が,教育の過程(process,プロセス)で一番悩んでいることは何であろうか.

 1960年代,日本の理学療法教育の礎を築いた外国人理学療法士と交代した日本人教員は,3年制の学校を卒業したばかりの臨床家であった.以来,教育について希望と諦め,試行錯誤を繰り返してきた.教育一般を知らず,理学療法教育の初心者であった私たちは突然,問題の渦中に身をおくことになった.30年間を振り返れば,正に問題基盤型学習(problem-based learning,PBL)であったし,問題解決型学習(problem solving learning,PSL)の連続であった.また同時に,この学習方法の実り(products,プロダクト)である楽しみも味わってきた.

 現在,養成校の増加に伴い,若い教員が急増している.問題解決をする方法の1つにワークショップがある.店でワークして,そのプロダクトを分け合う(売る)ことに倣って,若い教員,臨床実習指導者の方々に,教育効果を上げる工夫として,これまで得てきたプロダクトをバトンタッチする.

 本稿で,教育目標分類(taxonomy)のうち認知領域(cognitive domain)の問題解決レベルに焦点を合わせて,教育効果を上げるための工夫について考えることにする.

症例報告

前頭葉障害による両下肢麻痺症状を呈した1症例を経験して

著者: 宮腰弘之 ,   梶川民子 ,   木村知行

ページ範囲:P.285 - P.288

 Ⅰ.はじめに

 一般に脳卒中片麻痺患者では,運動麻痺,感覚障害などの機能障害レベルの程度が能力障害に深く関連している.したがって,神経生理学的アプローチをはじめ,機能障害の改善を目的とした理学療法プログラムが立案されることが多い.本稿で紹介する患者は脳梗塞により左上肢および両下肢麻痺を呈し,歩行不能となった症例である.

 本症例に対し,主として歩行訓練に基本動作訓練を並行して実施する理学療法プログラムを施行した結果,両下肢・体幹機能障害が残存しながらも独歩獲得に至ったので,その経過に若干の考察を加えて報告する.

TREASURE HUNTING

母の生き方を道標に理学療法の道へ―滝沢恭子(リハビリエイド滝沢事務所)

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.289 - P.289

 今月は理学療法士になって29年,藤沢市民病院を定年退職後もアクティブな活動を続けておられる滝沢恭子さんにご登場いただく.何がアクティブかといえば,現在も長岡病院,藤沢市機能訓練会,特別養護老人ホーム,藤沢市在宅介護センターに係わりながら,創意工夫を凝らしたリハビリ関連機器の開発に取り組んでいるからだ.理学療法士の可能性の一端を示すものとして,これからも注目されるところだろう.

1ページ諸座 日本の社会保障システム・4

労働災害

著者: 藤村陽子

ページ範囲:P.290 - P.291

 労働災害補償制度は,労働者の業務上および通勤途上の負傷,疾病,障害,死亡に対して補償給付を行い,労働者の福祉に必要な事業を行うことを目的とした制度である.民間労働者を対象にしたものが労働者災害補償保険法(以下,労災保険)および船員保険法で,公務員は国家(地方)公務員法によってカバーされている.4つの法には給付の名称や給付の期間等に多少の差異がある.ここでは誌面の関係で,労災保険の給付とアフターケア制度について紹介する.他法については紹介文献等を参照して頂きたい.

Topics

障害当事者の視点にたって―第19回総合リハビリテーション研究大会印象記

著者: 今川忠男

ページ範囲:P.292 - P.292

 平成8年12月14日(土),15日(日)の両日,岡山県倉敷市の川崎医療福祉大学を会場に全国より680名の参加者を迎えて,第19回総合リハビリテーション研究大会が江草安彦氏(川崎医療福祉大学学長・旭川荘理事長)を実行委員長として開催された.

 この大会は「リハビリテーション交流セミナー」が発展したもので,日本の福祉の動向を示唆した有意義で,かつ独創的な研究大会でもあり,大きく3つの特徴をもっている.まず障害の種別を越え,包括的で相互理解を目的としたリハビリテーション研究を実施していること.次に専門領域,職種の壁を取り払い,ひとつの課題に全関係者が集い,相互補充,相互協力を検討すること.さらに最も重要な点として,障害当事者の参加,発言が行われていることが挙げられる.そして今回は,長い歴史のなかで初めて地方都市で開催された.

クリニカル・ヒント

心理学的理学療法のすすめ方

著者: 富樫誠二

ページ範囲:P.294 - P.295

 1.はじめに

 “一目会ったその日から恋の花咲くこともある.”こういったキャッチフレーズで始まる番組がありました.理学療法を行う上でも,理学療法士(以下PT)には,出会いの心構えが大切です.理学療法のフィールドが医療であれ,保健・福祉であれ,対象者との出会いから関わりは始まります.筆者は,その関わりのなかから繰り広げられる生物・心理・社会・実存的レベルの様々な問題を,1人の対象者と1人のPTの関係を基本に,家族や職場の仲間を含めた人と人との間の問題としてとらえようとしてきました.そこで,心理学的理学療法と名づけた人間をみる(人間学的)アプローチについて,日頃考えていることを述べてみたいと思います.

新人理学療法士へのメッセージ

理学療法士という仕事

著者: 大渕恵理

ページ範囲:P.296 - P.297

 新人理学療法士の皆さん,新しい第一歩を踏み出されましたこと,心よりお祝い申し上げます.まだ皆さんは,新しい環境になじむことで精いっぱいの日々を過ごされていることと思います.そんな皆さんに,いろいろと要求するのは酷な話ですよね.まずは腰を落ちつけて,自分の目の前の患者さんにじっくり取り組んでください.きっと,患者さんが皆さんの進むべき道を示してくれると思います.なんといっても,患者さんに謙虚に学ぶ姿勢が理学療法士として最も大切だと思います.

 とはいっても,これで終わってしまっては,編集者の方もお困りになるでしょう,そこでこれから,理学療法士という仕事について,私が皆さんに考えていってほしいと思うことをいくつか書いてみます,今はそんなことまで考えるなんて無理と思われることもあるかもしれません.しかし,皆さんが少し余裕を持てるようになった時に,そういえばあんなことを読んだことがあったなと思い出してもらえたら嬉しいです.

ラポートについて考える

著者: 藤澤宏幸

ページ範囲:P.298 - P.299

 理学療法士として病院に勤め,早くも9年の歳月が流れました.未だトンネルを抜けずの感は否めませんが,私自身が歩んで来た道のりを振り返るといった意味も込め,新しく理学療法士になられた皆さんに,ささやかなメッセージを贈ります.

あんてな

山陰運動療法研究会の10年の歩み

著者: 矢倉誠人

ページ範囲:P.300 - P.301

 Ⅰ.はじめに

 山陰といえば知らない人が多いでしょう,出雲大社,松江が島根県.砂丘,大山が鳥取県です.日本海に画し国道9号線が両県を縦断します.山陰には多くの温泉が湧き,海や鮮魚,山の緑といった自然が沢山あります.そして隠岐の民謡にも歌われるように人情あふれるところです.人間像はおとなしく,同調する,反応が少ない,これを別名「山陰シンドローム」といいます.

 山陰両県の理学法士会はそれぞれ活動していますが,療法士がきちんと知識や技術を身につけ,患者に治療・指導したいという純粋な気持ちが始まりです.自分自身が理学療法に対して消化不良を起こしていたそんなとき,副会長である松江赤十字病院の角博行氏が山陰に運動療法の研究会を作ろうともちかけ,鳥取県と島根県の理学・作業療法士30数名が中心となって理学療法の研修および研究,親睦を目的に自然発生的に生まれた会です.

 山陰の地は情報が少なく刺激も少ないといわれます,これは私を含めた先輩が情報を受けたり,また,発信する情報網を作ってこなかったためです.社会に飛びだし,前途洋々と希望に燃え臨床に身を置いたものの,こんなはずではなかったと思いつつ,忙しさについ流されてしまう自分に焦りや乾きを感じ,ジレンマに陥っている療法士が多くいます.

書評

―山本俊一―死生学―他者の死と自己の死

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.236 - P.236

 この度,山本俊一博士著の『死生学―他者の死と自己の死』が医学書院から刊行された.

 『死生学』の執筆は哲学者や神学者などの人文科学の畑の専門家または医学や看護に携わる医療従事者,その中でも一番多くが致死患者を扱う臨床医によって書かれたものであり,ホスピスの終末期医療の経験者によって書かれたものが最も多い.

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文献抄録

ページ範囲:P.304 - P.305

編集後記

著者: 網本和

ページ範囲:P.308 - P.308

 日本の4月は学期や就職の新たな始まりの時であり,その点で今月は新年度に相応しい内容といえるでしょう.まず理学療法士なら誰でも経験する『脳卒中』の理学療法の効果に関する特集は,従来のものとどう違うのかという批判的な視点で読まれることを期待します.

 恒例の企画となりました『新人理学療法士へのメッセージ』は上記特集論文とは逆に,願わくは素直な気持ちで読まれることを.大渕氏が「女性が結婚や出産などで細くなりがちな職業人としての糸を切らずに,できる限り張っておいて」と述べられております.現実の経験に拠った力強いエールだと思います.藤澤氏が指摘する「信頼の重要性」も,新人の皆様へと高く投げられたものと感じるのではないでしょうか.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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