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文献概要
特集 脳卒中理学療法の効果
脳卒中のリハビリテーションの効果
著者: 大川弥生1 太田喜久夫1
所属機関: 1帝京大学医学部附属市原病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.229 - P.236
文献購入ページに移動 1.はじめに
脳卒中はリハビリテーション(以下リハ)医学・医療の最大の対象でありながら,必ずしもリハの効果が実証されているとはいえず,我が国を含め世界各国で種々の立場からその効果の実証的研究およびそれらのメタアナリシスが行われている.本論文はそれらの研究のうち主として最近の海外の研究を中心に整理・分析し,どのようなプログラム・技術が真の意味で有効であると証明されているかをできる限り明らかにすることを目的としている.その場合,一部を除いては理学療法のみの効果をリハ全体の効果と区別して扱うことは困難なので,理学療法との関連を重視しつつも主としてリハ全体の効果を問題とする場合が多くなっている.
この分析の過程で痛感したことは,同じく脳卒中のリハといっても,国によって医療制度やリハシステムに大きな違いがあり,発症後の開始時期,リハが行われる場,プログラムや具体的な技術は極めてまちまちなことである.特に著者にとっては自明のことと思われるためであろうが,具体的なリハの内容が明らかでない場合が多く,これはどのようなプログラム・技術が有効なのかを問う今回のような検討にとってはほとんど致命的な欠陥である.
というのは,しばしばリハの内容はどこで行ってもほぼ同一であろうと考えられやすいが,実はプログラム・技術には大きな違いがあるからであり,それによって効果にも決定的な差を生ずる場合があることは,我々が「積極的リハビリテーションプログラム」と従来のプログラムとの比較で明らかにしたところである1).このようなリハプログラムの内容の差と制度・システムの差の両面からして,他国における成績をそのまま我が国に適用することには極度に慎重である必要があろう.
なおこのテーマについてはすでに上田2-3)が1980年代の文献の総説を行っており,また我々も本誌において,脳卒中の運動療法の効果について,1989年以降に限っての紹介を行っている4).そのため今回は,これらの論文で取り扱っていない1990年代の文献を主としてとり上げることとした.
脳卒中はリハビリテーション(以下リハ)医学・医療の最大の対象でありながら,必ずしもリハの効果が実証されているとはいえず,我が国を含め世界各国で種々の立場からその効果の実証的研究およびそれらのメタアナリシスが行われている.本論文はそれらの研究のうち主として最近の海外の研究を中心に整理・分析し,どのようなプログラム・技術が真の意味で有効であると証明されているかをできる限り明らかにすることを目的としている.その場合,一部を除いては理学療法のみの効果をリハ全体の効果と区別して扱うことは困難なので,理学療法との関連を重視しつつも主としてリハ全体の効果を問題とする場合が多くなっている.
この分析の過程で痛感したことは,同じく脳卒中のリハといっても,国によって医療制度やリハシステムに大きな違いがあり,発症後の開始時期,リハが行われる場,プログラムや具体的な技術は極めてまちまちなことである.特に著者にとっては自明のことと思われるためであろうが,具体的なリハの内容が明らかでない場合が多く,これはどのようなプログラム・技術が有効なのかを問う今回のような検討にとってはほとんど致命的な欠陥である.
というのは,しばしばリハの内容はどこで行ってもほぼ同一であろうと考えられやすいが,実はプログラム・技術には大きな違いがあるからであり,それによって効果にも決定的な差を生ずる場合があることは,我々が「積極的リハビリテーションプログラム」と従来のプログラムとの比較で明らかにしたところである1).このようなリハプログラムの内容の差と制度・システムの差の両面からして,他国における成績をそのまま我が国に適用することには極度に慎重である必要があろう.
なおこのテーマについてはすでに上田2-3)が1980年代の文献の総説を行っており,また我々も本誌において,脳卒中の運動療法の効果について,1989年以降に限っての紹介を行っている4).そのため今回は,これらの論文で取り扱っていない1990年代の文献を主としてとり上げることとした.
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