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特集 脳卒中理学療法の効果
慢性期脳卒中後遺症患者への理学療法の効果
著者: 寺澤健1
所属機関: 1ボバース記念病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.244 - P.252
文献購入ページに移動 1.はじめに
脳卒中患者は発病から初期弛緩期,痙性期,適応回復期に分けられ,様々な病態を呈する.すなわち,姿勢トーンの変化,痙性の増強,連合反応の出現,代償活動による機能の獲得,それらが組み合わさることによって,異常な感覚運動学習による異常性が構築される.これらは,発病からの期間が長期になるほど顕著に現れてくる.正常な姿勢トーンに近づけ,両側統合された協調的な運動を学習させることが理学療法の目的であるが,代償活動による機能的動作をいったん獲得して痙性に影響されると,円滑な機能獲得を妨げることになる.
しかし,自然回復期を過ぎた脳卒中患者に対して積極的に理学療法を行い,良好な効果が得られることは,今までに多くの臨床成績や論文で述べられている.紀伊2)は発病から1年を経過した376名の患者に神経発達学的治療を行い,一定の改善が得られたと報告している.古澤3)は症例報告を中心に,その治療効果について報告している.当院では入院,外来すべての患者に独自の評価表を用いて,病歴および機能改善度をコンピューターに入力している.この論文では,最近4年間に入院した発病後6か月を越えた患者743名の改善度を評価した結果と,2例の症例報告から,慢性期脳卒中患者に対する理学療法の効果について考察する.
脳卒中患者は発病から初期弛緩期,痙性期,適応回復期に分けられ,様々な病態を呈する.すなわち,姿勢トーンの変化,痙性の増強,連合反応の出現,代償活動による機能の獲得,それらが組み合わさることによって,異常な感覚運動学習による異常性が構築される.これらは,発病からの期間が長期になるほど顕著に現れてくる.正常な姿勢トーンに近づけ,両側統合された協調的な運動を学習させることが理学療法の目的であるが,代償活動による機能的動作をいったん獲得して痙性に影響されると,円滑な機能獲得を妨げることになる.
しかし,自然回復期を過ぎた脳卒中患者に対して積極的に理学療法を行い,良好な効果が得られることは,今までに多くの臨床成績や論文で述べられている.紀伊2)は発病から1年を経過した376名の患者に神経発達学的治療を行い,一定の改善が得られたと報告している.古澤3)は症例報告を中心に,その治療効果について報告している.当院では入院,外来すべての患者に独自の評価表を用いて,病歴および機能改善度をコンピューターに入力している.この論文では,最近4年間に入院した発病後6か月を越えた患者743名の改善度を評価した結果と,2例の症例報告から,慢性期脳卒中患者に対する理学療法の効果について考察する.
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