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特集 杖・歩行補助具
脳卒中患者における各種歩行補助具の使い分け―QOL向上に向けた理学療法プログラムにおける位置づけと実際の進め方
著者: 関口春美1 大川弥生2
所属機関: 1会田記念病院リハビリテーション科 2帝京大学市原病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.330 - P.337
文献購入ページに移動現在リハビリテーション(リハ)においては,QOL向上にむけての技術の開発と統合が求められている.理学療法における最も根幹的なアプローチの1つである歩行訓練においても,この視点からの再検討が必要である.その際最も重要なことは,歩行を自己目的化するのではなく,実生活のなかでの目的をもった実用的な歩行能力である「実用歩行」1)能力として位置づけることである.すなわち,歩行訓練の具体的内容・技術を「実用歩行」能力向上にむけたリハアプローチの1つとして見直すことが必要なのである.
我々はこれまで,このようなQOL向上にむけたリハアプローチに対比して,日本のリハ医療界の一部にまだ根深い基底還元論的アプローチの問題点を指摘してきた2,3).これを歩行能力向上にむけてのアプローチについてみると,麻痺や「筋トーヌス異常」などの機能障害を改善すれば能力障害である歩行能力障害も自然に改善するという考え方が誤りであるだけでなく,「訓練歩行」しかも「理学療法室における訓練歩行」の能力を向上させれば実生活における歩行能力も向上するとする考え方もまた,基底還元論としての誤りをおかしているといわねばならない.
このような反省にもとづいた実用歩行訓練1)において,歩行補助具の使い分け1,4)は大きな要となる.そこで本論文ではまず目標指向的実用歩行・ADL訓練における歩行補助具の使い分けが必要な理由について述べ,ついでその具体例について詳しく説明することとしたい.
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