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特集 関連領域―腎障害と運動療法
長期透析患者の骨・関節障害に対する理学療法の経験
著者: 田添起代子1 沖田実2 池山睦子1
所属機関: 1光晴会病院リハビリテーション部 2長崎大学医療技術短期大学部理学療法学科
ページ範囲:P.495 - P.499
文献購入ページに移動近年,慢性腎不全患者に対する血液透析(以下HD)療法は,一時的な救命手段のみならず,長期延命あるいは社会復帰などの目的を達成できるほどに発展し,10年以上の透析歴を有する患者もまれではなくなってきた1,2).しかし一方では,透析アミロイドーシスや腎性骨異栄養症,腎性貧血などの独特の合併症の出現もあり,HD療法の黎明期には予想しえなかった様々な問題が生じてきている3).
これらの合併症のうち,透析アミロイドーシスは手根管症候群,弾発指,骨嚢胞形成,破壊性脊椎関節症などを引き起こすとされ,これは主にβ2ミクログロブリンに由来するアミロイド沈着が骨・関節に生じた結果であると報告されている4).また,腎性骨異栄養症は,線維性骨炎や骨軟化症などの骨病変を招き,加えて栄養不良や運動不足により骨の脆弱性が進行し,些細な外力によっても骨折を招くとされている5).さらに,上記のような二次的な合併症などにより痛みの発生がしばしばみられ,運動機能の低下を引き起こしていることも少なくない.
そこで,本稿ではまず当院で行った長期HD患者の実態調査に基づき,透析歴と骨代謝状態や関節可動域,痛みとの関連性について述べる.そして,骨・関節障害を伴った長期HD患者に対する理学療法について症例を通じて報告する.
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