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特集 関連領域―腎障害と運動療法
透析患者の理学療法の経験―症例を通した検査値と臨床経過について
著者: 恩幣伸子1 内山靖1 山田美加子1
所属機関: 1北里研究所メディカルセンター病院リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.500 - P.504
文献購入ページに移動理学療法の対象患者における高齢者の比率は増加傾向にあるが,腎機能障害を有する患者も徐々に増加してきている.腎臓は加齢変化が著しい臓器であり1),高齢化に伴う医療需要は今後も高まるものと推測される.
腎障害の理学療法には,腎機能低下があるものの,固有腎機能が残存している腎障害患者に対する理学療法と,廃絶腎(=腎死)により透析導入・維持期における体液状態を前提とした,代謝と運動の関係に対するものの2つを区別して考えることが基本となる.そのうち腎機能の著しい低下は,尿中に排泄されるべき水分や電解質,種々の代謝産物の蓄積を引き起こし,透析療法などによる血液の浄化が必要となる.我が国における慢性維持透析患者数は,透析療法の普及と技術革新に伴い1995年には15万人を越えている2).
透析患者に対する理学療法は,運動耐容能の低下を改善し代謝異常に対する効果を得るものと,心血管系や透析に伴い生じる様々な合併症を軽減・予防するといった2つの側面がある.理学療法と代謝機能の関連性を考慮し,症状が原疾患によるのか,合併症あるいはそれ以外によるのかを判断して,柔軟に,かつ迅速に対応することが必要不可欠である.
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