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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル31巻8号

1997年08月発行

雑誌目次

特集 急性期の理学療法

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.539 - P.539

 急性期医療の目覚ましい進歩によって,重症例であっても発症初期から積極的なチーム医療が展開されるようになってきた.早期リハビリテーションの重要性という観点から,理学療法もその一翼を担ってきているとは言え,急性期では高度で集中的な全身管理を行うために,急性期理学療法でも相当の専門的な知識と判断力,そして技術が求められる.また再発の不安などによる精神的不安定に対する適切な対応も重要であり,より質の高い社会復帰を図らなければならない.

 本号特集では脳外傷,急性呼吸不全,急性心筋梗塞,腰痛,ギランバレー症候群の急性期理学療法に焦点を当ててみた.それぞれの急性期~亜急性期の特徴と一般的な予後,注意すべき事項や禁忌,評価・治療の具体的な進め方,ADL指導の工夫,患者および家族への精神的援助などについて解説をお願いした.

脳外傷の急性期理学療法

著者: 岡田しげひこ ,   幡鎌範昭 ,   藁谷季恵

ページ範囲:P.541 - P.546

 1.はじめに

 脳外傷による脳損傷状態は多様であり,その臨床症状や経過も様々である.そのため,予後予測は困難なことが多いが,脳外傷患者の多くは若者であり,運動機能面では良好な回復をみせるといわれている1-6)

 しかし,その回復過程では,リハビリテーションを阻害する因子が数多く出現する.急性期では,特に四肢の関節拘縮を起こしやすく,運動機能回復の大きな阻害因子となることが多い7-9)

 脳外傷急性期の関節拘縮の原因は,受傷後まもなくから出現する筋緊張の亢進と,発動性低下,記憶障害,注意障害,不適応行動等のいわゆる認知的問題から発生する場合があるようである10).その脳外傷急性期に起きやすい関節拘縮の予防と改善は,急性期から関わっている理学療法士の重要な役割であると考える.

 当院は,24時間救急体制の脳神経外科病院で,脳外傷患者は受傷直後に直接搬入されることが多い.理学療法は入院直後,ICUから早期リハビリテーションを進めているが,様々な問題で難渋することが多い.上記の関節拘縮の予防も大きな問題の1つで,いかに関節可動域を確保するか,その取り組みに苦慮している.

 本稿では,脳外傷急性期の関節拘縮に対する当院の理学療法の具体的な取り組みについて紹介したい.

急性呼吸不全の理学療法

著者: 眞渕敏 ,   間瀬教史 ,   和田智弘 ,   上村洋充 ,   谷崎忍 ,   上谷清隆 ,   居村茂幸 ,   藤原誠 ,   丸川征四郎 ,   山内順子 ,   尾崎孝平

ページ範囲:P.547 - P.552

 1.はじめに

 近年,急性期医療技術の飛躍的な進歩に伴い,重症例に対して発症初期から,高度の抜術を駆使した集中的な全身管理の下に,チームによる積極的な医療が展開されている.リハビリテーション医療の領域でも,疾病構造の多様化に伴い発症直後から集中治療に対応する機会も多く,早期リハビリテーションのための早期理学療法が一般化しつつある.

 一方,対象が急性変化を示す時期であるがゆえに,人工呼吸器,モニター等生命維持のために機械的管理下に置かれ,画一的・非選択的な呼吸管理システムに従属することになって人間本来の自律(立)的な機能を抑制されている.このような機械的な急性期医療のなかに,「本来の機能を基盤にして新しい機能を確立する」という人間医療の手法が求められている1).筆者らは急性期における理学療法は決して特殊な治療法ではなく,その理念は「日常的な身体と肺の動きをベッド上で再現する」ことであると考えている2)

 このような現状から,本稿では急性呼吸不全の特徴的なことを中心に,理学療法の評価・治療の具体的な進め方について述べる.

急性心筋梗塞の急性期理学療法

著者: 丸岡弘 ,   押見雅義 ,   北野桂介 ,   柳沢千香子 ,   鈴木禎

ページ範囲:P.553 - P.559

 1.はじめに

 循環器障害に対する理学療法はそのほとんどが急性心筋梗塞(AMI)を対象としており,そのニーズは年々高まる傾向にある.一方,AMIにおいてはその発症が急激で,しかも安静臥床を強いられ,あるいは心機能の低下を伴うために,身体的脱調節(deconditioning)をきたしやすく,また再発作の不安からくる精神的不安定さを伴いやすく,社会復帰が必ずしもスムーズにいかない人が多い.その意味で,急性期理学療法は,より質の高い社会復帰を実現するためにも必要である.

 近年AMIにおいては,再灌流療法の普及によって発症早期から,より安全にプログラムを進行させることが可能となった1).しかし,発症早期ほど死亡率が高く,また発症1週間目までは心筋の脆弱性が最大である点を考慮すれば,比較的早期に重篤な合併症の起こる可能性が大きい.急性期の理学療法プログラムの進め方は身体的脱調節を最小限に食い止め,合併症を起こさないように安全に行うことである.しかし,これらは相容れない要因であり,これらのバランスの上に立って進めなければならない.その基本的な考え方は,安全で,なおかつ早期離床,早期退院を目標とすることである.

 本稿では,合併症や運動障害などを有する場合のAMIに対する急性期理学療法の進め方とリスク管理について述べる.

腰痛の急性期理学療法

著者: 坂本親宣

ページ範囲:P.560 - P.567

 1.はじめに

 2本足で歩行を行う人間にとって腰痛は宿命的なものである.一生のうちの何らかの時期に腰痛や坐骨神経痛を経験するのは,一般住民の65~85%といわれ1),そして期間的なものには数年間~数日間とバラツキがあるにしろ,腰痛がADL面で大きな障害となることはいうまでもないことである.

 一方,産業のめまぐるしい発達は労働者における腰痛を増加させる結果となった.例えば,労働者の補償制度の普及・発達と相まって,腰痛のための休業による労働力の損失,保険制度下における疾病治療費,あるいは各種の補償金の多額化など腰痛は産業大国における社会的・経済的な重大問題ともなってきた2)

 さて,腰痛の原因は多岐にわたっており,整形外科疾患のみならず,内科疾患や泌尿器科疾患などもその原因となり得る.そのなかで,脊椎外科領域に限ってみても,次のような様々な疾患があげられる.

 1)変性性・構築性:腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄症,腰椎分離・辷り症,腰椎椎間関節性腰痛症,いわゆる腰痛症など

 2)代謝性:骨粗鬆症

 3)外傷性:胸腰椎移行部から仙骨にかけての骨折・脱臼,筋・筋膜損傷,骨粗鬆症による病的骨折など

 4)炎症性:化膿性脊椎炎,強直性脊椎炎,仙腸関節炎など

 5)腫瘍性:一次性および癌転移による脊髄腫瘍・脊椎腫瘍,多発性骨髄腫による病的骨折

 通常,1)と2)は安静を保つことにより腰痛が緩解する.しかし,3)~5)は安静時においても腰痛があり,急激に腰痛が増悪,進行することが特徴である.

 今回はこれらのなかで特に1)および2)の疾患を中心に,理学療法における評価の実際,保存的療法と手術後の機能回復訓練の実際について述べる.

ギランバレー症候群の急性期理学療法

著者: 浜田哲郎 ,   廣滋恵一

ページ範囲:P.568 - P.573

 1.はじめに

 近年ギランバレー症候群(Guillain-Barre syndrome,以下GBS)に関しては多方面での進展がめざましく,その発症メカニズムが解明されつつあるとともに,内科的治療の進歩1),電気生理学的検査のさらなる分析2,3)についての報告も多い.

 リハビリテーション(以下リハ)分野においても,一般的に予後良好な疾患であるといわれているGBSのなかで機能回復遷延例に苦慮する報告4-7)も散見されるようになった.

 特徴的なGBSの病態や経過,神経症状などに関する正しい知識を持ち,リハを行う上で注意すべきリスク,予後予測や訓練効果を判定するために必要な評価と情報収集について理解を深めておくことは,GBS患者にアプローチする際に必要不可欠であることはいうまでもない.

 本稿ではGBSの基本的特徴とリハの進め方,留意点を中心に述べる.

とびら

リハビリをする?

著者: 横地正裕

ページ範囲:P.537 - P.537

 初めて理学療法室に来た患者さんが,「今日からリハビリをしますのでよろしく.」といっている.また病棟に行くと,医師や看護婦が患者さんに,「明日からリハビリをします.」と告げている.何気ない光景であるが,私はまだ,この「リハビリをする」という言葉に抵抗がある.

 私の学生時代は,「リハビリ」というのは,全人間的復権という現代医療の根底に流れる思想であると教えられた.この言葉は,医療の進歩とそれに伴う医療思想の変化により,現代医療のなかに取り入れられてきたものである.医療が進歩したことで,それまでより多くの患者の命を救うことができるようになってきているが,その後,完治できない障害を残す人も多く出てきた.

入門講座 ケーススタディの書き方・4

病院における症例検討―中枢神経疾患を対象とした症例検討

著者: 大槻利夫 ,   中条司 ,   古松幸子 ,   嶋先晃 ,   野頭利幸 ,   長谷川和子 ,   土田正勝

ページ範囲:P.574 - P.576

はじめに

 当院におけるリハビリテーション部門(以下リハ部門)の中枢神経疾患に対する症例検討は,理学療法士(以下PT),作業療法士(以下OT)それに言語療法士(以下ST)が家族や他の医療スタッフをも含め,運動療法室で実際に患者を評価,治療し,参加スタッフとの意見交換や治療技術の検討などを中心に行っている(図1).参加スタッフは10から15人で定期的なものは月2回,1時間半から2時間かけ,後半は治療技術の練習を含めて行っている.すべての面でうまくいっているわけではないが,患者を直接評価,治療するということで適度に緊張感を維持した症例検討会になっており,このスタイルで10年以上続いている.他に医師,看護婦などとの症例検討もカンファランスという形で定期的に行われているが,今回は前述のリハ部門における症例検討について紹介し,中枢神経疾患の評価,治療についての考えを述べる.

病院における症例検討―整形外科疾患を対象とした症例検討

著者: 江西一成

ページ範囲:P.576 - P.580

はじめに

 整形外科領域の治療技術の進歩は目覚ましく,その要請に応えられるよう我々も研鑽を積む必要がある.病院における病例検討は,この点に対しての研鑽・啓発の場といえる.

 一方,医療は主治医と患者の関係を中心に,それぞれの診療科の治療方針に沿って進められる.また,手術療法は整形外科の治療方針に大きな比重を占めている.そして病院は,これらのことを軸に最良の医療サービスと成果を提供することが責務であり,理学療法も例外ではない.当院において整形外科疾患は,外来患者を除くとほぼ全例が手術後の患者であり,その理学療法は手術の目的を踏まえ,効果的にその目的を達成させることが最優先となる.ここから,病院という実務場面においては,単に勉強会的な症例検討が行われることは少なく,むしろ治療方針に関わるものが主体となっている.

 しかしながら,自らの研鑽・啓発は不可欠のことであり,症例検討はその有用な手段である.だが,必ずしも勉強会形式のなかだけで,その役割が果たされているわけではない.本稿では,当院の現況から整形外科疾患を対象とした症例検討のあり方,さらに他の場面でも同様の役割が果たされている状況を述べる.

病院における症例検討―小児疾患を対象とした症例検討

著者: 平井孝明

ページ範囲:P.580 - P.584

はじめに

 小児施設における症例検討会の形態は,各施設ごとの療育システムや対象疾患,参加スタッフ等の違いにより異なっているものと思われる.施設ごとに方法が必ずしも統一される必要はないが,小児疾患のもつ障害の多様性,成長・発達を考慮した一貫性のある長期間の関わりの必要性,両親を含めたチームアプローチの重要性等の特徴を考えたとき,治療方針の違いによっても検討会の目的,内容,方法は少なからず影響を受けると恩われる.当センターでは.NICU入院中の超未熟児から,いわゆる超重症児の治療におりる患児・家族・職員の多様なニーズに応えるため,ボパース・アプローチに基づき評価と治療を行っているが,症例検討もその理念と治療原則に沿って目的と方法が明確にされている.今回,我々が行っている検討会の内容を整理し,小児施設における一例として紹介したい.

TREASURE HUNTING

地域リハビリテーションにかける夢―田村 茂氏(富山県高志リハビリテーション病院訪問指導科)

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.585 - P.585

 今月は地域リハビリテーションの領域で先駆的な活躍をされている田村茂氏にご登場いただく.今でこそ「施設ケアから存宅ケアへ」という保健・医療・福祉サービスの流れに乗って,在宅のまま要援護者にリハサービスを提供する事業が全国各地で展開されつつあるが,富山県にあってその先頭を走っているのが田村氏だ.また,富山県士会副会長として後進の指導に情熱を傾けている氏の活躍ぶりを既にご存じの方も多いことと思うが,まあしばらくお付き合いをいただけますように……

1ページ講座 日本の社会保障システム・8

補装具(1)

著者: 村本昌一 ,   尾山尚子

ページ範囲:P.586 - P.587

 治療用装具や補装具は,治療の過程やその後の障害を受けた身体機能を補うのに必要かつ重要な役割を担っているが,支給制度が補雑なため費用負担や支給品目は大変わかりづらいものとなっている.これら治療用装具・補装具について,各支給制度の実際的利用の視点で,2回にわたり解説を行う.

 今回は,まず各制度の概要を紹介する.

あんてな

ケアマネジメントの新しい考え方

著者: 西澤利広

ページ範囲:P.588 - P.588

 現在,高齢者介護の現場では「公的介護保険制度」を中心とした高齢者介護システムについて積極的な論議が行われており,とりわけケアマネジメントの成否が介護システムの鍵になるともいわれている.

 ケアマネジメントについて広井1)は,ケアを担当ないし統括する職種(ソーシャルワーカー,保健婦など=介護専門員<ケアマネージャー>が,他の専門家による判定を参照しつつ,要援護者のニーズを総合的に評価し,もっとも適切なサービスの組み合わせ(ケアパッケージ)を「ケアプラン」の形で処方し,各種の保健・福祉サービスをプランにしたがって連携して提供する仕組みである,と説明している.また,ケアマネジメントの必要性が唱えられるようになった背景として,①施設から在宅・地域へ,という「脱施設化」の流れ,②地域でのサービスの「非集権的」性格,③医療・福祉横断的な「複数の」ニーズを持つ在宅要介護者の増加,④介護サービスの「縦割り」的状況の是正,⑤要介護者に対する社会的支援の重要性の認識の高まり,⑥費用適正化の要請,などを挙げている.

講座 高齢者の理学療法評価・4

在宅高齢者の評価

著者: 小城恭子

ページ範囲:P.589 - P.593

はじめに

 人生がもし残り少ないとわかったら,「住み慣れたところで,自分らしく過ごしたい」との思いを誰もが強くするのではないだろうか.援護の必要な高齢者のそうした思いは,いっそう切実なものに違いあるまい.諸外国に比べて高齢者人口の増加率が著しく高い日本でも,よくやく各種の高齢者保健・福祉・医療の施策が打ち出されているが,またまだ多くの課題が残されているのが現状であり,サービス提供の場は施設から在宅へと政策的に誘導されている感がある.

 そうした現状のなかで,地域リハビリテーションの一翼を担っている理学療法士に期待される役割はますます大きくなっている.地域社会で高齢者が生活を続けられるようにするため,理学療法士はどんなサービスを提供できるのか,筆者のささやかな経験を基に,本稿では要援護在宅高齢者の理学療法評価の視点と考え方について述べることにする.

学会印象記 第32回日本理学療法士学会

問題意識に富んだ学会運営

著者: 黒木裕士

ページ範囲:P.594 - P.595

はじめに

 第32回日本理学療法士学会は,社団法人日本理学療法士協会主催,社団法人埼玉県理学療法士会の担当で,1997年5月16~17日の両日,埼玉県大宮市の大宮ソニックシティで開催された.筆者はこの学会に参加したので以下にその概要について報告したい.

資料

第32回理学療法士・作業療法士国家試験問題(1997年3月7日実施) 模範解答と解説・Ⅱ―理学療法(2)

著者: 飯坂英雄 ,   福田修 ,   高橋光彦 ,   星文彦 ,   山中雅智 ,   浅賀忠義

ページ範囲:P.596 - P.600

雑誌レビュー

“Physical Therapy”1996年版まとめ

著者: 大渕修一

ページ範囲:P.601 - P.609

はじめに

 1996年より表紙が一新しました.これまでのブルーに代わって,月毎に違った色の表紙にすることにより,雑誌の掲載月が一瞬で判別できるようになっています.表紙にあらわれるように,1996年のPhysical Therapyは,より読みやすくをモットーに編集されています.編集長は相変わらずJules M Rothsteinです.筆者の記憶では1990年から,かれこれ6年間Rothsteinが編集長を務めています.

 1996年のPhysical Therapyではこれまでの75年間の理学療法を振り返る目的で,過去の主だったPhysical Therapy誌上の論議を掲載しています.記事の構成はほぼこれまでと同じです(表1).特に変わったところはCase Reportの項目が増えたこと,Update,Conferenceという新しい企画ができたことです.

 今回はまずEditor's Noteをレビューしてみます.米国の理学療法をとりまく様子がよくわかります.

書評

―Robert F. Schmidt(著) 佐藤昭夫(監訳)/内田さえ,鍵谷方子(訳)―コンパクト生理学

著者: 黒澤美枝子

ページ範囲:P.567 - P.567

 私は現在,看護婦(士),理学療法士,作業療法士,医療言語聴覚士,診療放射線技師等を育てる,いわゆるパラメディカル分野の総合大学で生理学を教えているが,いずれの分野においても,生理学は最も重要視されている教育科目の1つである.しかしながら,多数出版されている生理学教科書は,大部分,医学部の生理学教育に主眼をおいて書かれたものであるというのが現状である.

 パラメディカル分野の大学教育はスタートしたばかりであり,生理学教育のスタンダードも明確に示されておらず,どういう教育を行っていくべきかを試行錯誤している.将来医療を助ける人々が臨床の場に出た時,個体として統合された生体機能を理解するためには,生理機能の基本を広く統合的に学ぶことが大切であると考えられる.

ひろば

患者さんの変化を感じて

著者: 安井純子

ページ範囲:P.611 - P.611

 4月15日,1本の電話で,私は理学療法士の卵から理学療法士になりました.中学時代から持ち続けた夢にまた一歩近づくことができた瞬間です.

 3年次臨床実習でお世話になったこの平井病院で,4月から働きだしたのですが,就職してわずか2週で理学療法士養成施設3年生の臨床実習が始まり訓練室は大賑わいです.学生から質問を受けて困惑したり,患者さんと笑い,一緒に力が入り,毎日があっという間に過ぎ去っていくのを感じます.

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文献抄録

ページ範囲:P.612 - P.613

編集後記

著者: 吉尾雅春

ページ範囲:P.616 - P.616

 夏の夜空に花火が上がり,しばしこの世の憂さを晴らしてくれます.賑やかであればあるほどその効果は大きいかもしれません.ビールに加えて,浴衣とうちわがあればさらに言うことなし.浴衣とうちわは周囲の人間にも爽やかな感じを与えます.日本の文化もすてたものではありません.

 ところで花火の天敵は雨.西日本を除き,全国的に空梅雨で終わった今年もまた,夏から秋にかけて水不足が心配されます.珍しく6月に台風が本州を2回も直撃したものの,意外と雨量は少なかったようです.勝手ではありますが,どうしてバランスよく天気は巡ってくれないのでしょうか.近年,人的原因を耳にしますが,結局バランスが取れていないのは人間自身ということになるのかもしれません.自然科学の細分化が進み,それぞれの領域では飛躍的な発達を遂げています.しかし,それらの知識や技術は人間にうまく統合されることなく,地球環境を壊しています.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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