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文献概要
特集 急性期の理学療法
腰痛の急性期理学療法
著者: 坂本親宣1
所属機関: 1神戸労災病院リハビリテーション診療科
ページ範囲:P.560 - P.567
文献購入ページに移動 1.はじめに
2本足で歩行を行う人間にとって腰痛は宿命的なものである.一生のうちの何らかの時期に腰痛や坐骨神経痛を経験するのは,一般住民の65~85%といわれ1),そして期間的なものには数年間~数日間とバラツキがあるにしろ,腰痛がADL面で大きな障害となることはいうまでもないことである.
一方,産業のめまぐるしい発達は労働者における腰痛を増加させる結果となった.例えば,労働者の補償制度の普及・発達と相まって,腰痛のための休業による労働力の損失,保険制度下における疾病治療費,あるいは各種の補償金の多額化など腰痛は産業大国における社会的・経済的な重大問題ともなってきた2).
さて,腰痛の原因は多岐にわたっており,整形外科疾患のみならず,内科疾患や泌尿器科疾患などもその原因となり得る.そのなかで,脊椎外科領域に限ってみても,次のような様々な疾患があげられる.
1)変性性・構築性:腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄症,腰椎分離・辷り症,腰椎椎間関節性腰痛症,いわゆる腰痛症など
2)代謝性:骨粗鬆症
3)外傷性:胸腰椎移行部から仙骨にかけての骨折・脱臼,筋・筋膜損傷,骨粗鬆症による病的骨折など
4)炎症性:化膿性脊椎炎,強直性脊椎炎,仙腸関節炎など
5)腫瘍性:一次性および癌転移による脊髄腫瘍・脊椎腫瘍,多発性骨髄腫による病的骨折
通常,1)と2)は安静を保つことにより腰痛が緩解する.しかし,3)~5)は安静時においても腰痛があり,急激に腰痛が増悪,進行することが特徴である.
今回はこれらのなかで特に1)および2)の疾患を中心に,理学療法における評価の実際,保存的療法と手術後の機能回復訓練の実際について述べる.
2本足で歩行を行う人間にとって腰痛は宿命的なものである.一生のうちの何らかの時期に腰痛や坐骨神経痛を経験するのは,一般住民の65~85%といわれ1),そして期間的なものには数年間~数日間とバラツキがあるにしろ,腰痛がADL面で大きな障害となることはいうまでもないことである.
一方,産業のめまぐるしい発達は労働者における腰痛を増加させる結果となった.例えば,労働者の補償制度の普及・発達と相まって,腰痛のための休業による労働力の損失,保険制度下における疾病治療費,あるいは各種の補償金の多額化など腰痛は産業大国における社会的・経済的な重大問題ともなってきた2).
さて,腰痛の原因は多岐にわたっており,整形外科疾患のみならず,内科疾患や泌尿器科疾患などもその原因となり得る.そのなかで,脊椎外科領域に限ってみても,次のような様々な疾患があげられる.
1)変性性・構築性:腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄症,腰椎分離・辷り症,腰椎椎間関節性腰痛症,いわゆる腰痛症など
2)代謝性:骨粗鬆症
3)外傷性:胸腰椎移行部から仙骨にかけての骨折・脱臼,筋・筋膜損傷,骨粗鬆症による病的骨折など
4)炎症性:化膿性脊椎炎,強直性脊椎炎,仙腸関節炎など
5)腫瘍性:一次性および癌転移による脊髄腫瘍・脊椎腫瘍,多発性骨髄腫による病的骨折
通常,1)と2)は安静を保つことにより腰痛が緩解する.しかし,3)~5)は安静時においても腰痛があり,急激に腰痛が増悪,進行することが特徴である.
今回はこれらのなかで特に1)および2)の疾患を中心に,理学療法における評価の実際,保存的療法と手術後の機能回復訓練の実際について述べる.
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