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文献概要
特集 家屋改造とフォローアップ
ハウスアダプテーションの基礎
著者: 田中千歳1
所属機関: 1北海道大学大学院工学研究科建築工学専攻
ページ範囲:P.621 - P.632
文献購入ページに移動 Ⅰ.はじめに
1994年,我が国の高齢化指数は14%を超え,2020年には全人口の4人に1人が高齢者になるという,世界に類をみない速さで高齢者人口が増加していることは周知の事実である.また,人口の高齢化に伴う要介護老人や痴呆老人の増加,あるいは障害の重度化等によって,その対応策に対する国民の社会的ニーズはますます拡大している.
このような状況のなかで,従来は施設中心であった医療,保健,福祉等の各種サービスが地域における在宅中心方式に移行し,多様化,個別化する社会的ニーズに対応しようとしている.すなわち障害者や高齢者とその家族をも含め,どのような状況の人であっても,一般の人々と共生できる社会こそが真の豊かな社会であり,そのためには医療,保健,福祉,工学等の各分野が地域に向けて連携するシステムの構築と各種サービスの積極的な取り組みと幅広い展開が重要である.
このように,国民生活の基盤として在宅サービスの充実が叫ばれているなか,一方で社会復帰した障害者の生活の場面をみると,健常時にはさほど気にならなかった住まい空間やその構造が,罹患前の身体機能との相違から様々な問題を呈するものに変わっている現状がある.
生活の場に戻った障害者は,個々の障害自体の重さも問題ではあるが,生活の場においていかなる困難性を生じているかがより大きな問題である.
以上を踏まえて本稿では,ハウスアダプテーションを狭義の意味,すなわち「住宅改造」として捉えるのではなく,グローバルな視点の下に,いわゆる「心地よい環境デザイン」の基盤であるハウスアダプテーションについての基礎的な理解を深めたい.
1994年,我が国の高齢化指数は14%を超え,2020年には全人口の4人に1人が高齢者になるという,世界に類をみない速さで高齢者人口が増加していることは周知の事実である.また,人口の高齢化に伴う要介護老人や痴呆老人の増加,あるいは障害の重度化等によって,その対応策に対する国民の社会的ニーズはますます拡大している.
このような状況のなかで,従来は施設中心であった医療,保健,福祉等の各種サービスが地域における在宅中心方式に移行し,多様化,個別化する社会的ニーズに対応しようとしている.すなわち障害者や高齢者とその家族をも含め,どのような状況の人であっても,一般の人々と共生できる社会こそが真の豊かな社会であり,そのためには医療,保健,福祉,工学等の各分野が地域に向けて連携するシステムの構築と各種サービスの積極的な取り組みと幅広い展開が重要である.
このように,国民生活の基盤として在宅サービスの充実が叫ばれているなか,一方で社会復帰した障害者の生活の場面をみると,健常時にはさほど気にならなかった住まい空間やその構造が,罹患前の身体機能との相違から様々な問題を呈するものに変わっている現状がある.
生活の場に戻った障害者は,個々の障害自体の重さも問題ではあるが,生活の場においていかなる困難性を生じているかがより大きな問題である.
以上を踏まえて本稿では,ハウスアダプテーションを狭義の意味,すなわち「住宅改造」として捉えるのではなく,グローバルな視点の下に,いわゆる「心地よい環境デザイン」の基盤であるハウスアダプテーションについての基礎的な理解を深めたい.
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