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特集 家屋改造とフォローアップ
脳卒中患者の家屋改造とフォローアップ
著者: 花岡利安1 栗原かおる1 佐藤美智子1 小林丈人1 藤井道子1 土屋匡1 春原久幸1 金井彬1
所属機関: 1小諸厚生総合病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.639 - P.644
文献購入ページに移動日本の住宅構造や生活習慣が,障害者や老人にとって必ずしも快適でないことはすでに数多く論じられてきた.その主なものは,狭小,段差,畳文化などである.加えて我々が最近直面している問題として,ヒンターランド(後背地)の喪失があげられる.従来,農業中心であった時代には土地に定住し,生活を支える家族や地域のシステムがあった.しかし,今日のいわば遊牧民的生活(仕事に従属した居住地域の設定)と,村落共同体や家制度の崩壊によって,いざというときの受け皿が住環境の面でも,家族機能の面でも大きく後退してしまった.さらに,山村地域では特に寒冷,傾斜といった物理的条件や,方位・方角といった因習も問題を一層複雑にしている.
脳卒中については,ここ10数年の間に高齢化,重症化に加えて障害の多様化が急速に進み,従来の「脳卒中=片麻痺」という概念を一変させた.このことは,治療の現場では勿論,住環境改善を支援する立場での意識改革が迫られていることを意味する.
バリアフリー関連の情報は,今日では医療・福祉の分野よりも,建築業界からの発信が目立っている.障害者・高齢者向けの建築基準,建築資材,モデル住宅,福祉機器などの関連情報は,その気になればインターネットなどでも簡単に検索できる時代になった.
今回は,当院における10数年間の脳卒中患者の退院動向調査,定期的フォローアップ,在宅ケア支援活動のなかから,脳卒中患者の傾向と,実際に経験した家屋改造事例を中心に紹介する.
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