icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル32巻10号

1998年10月発行

文献概要

原著

同一速度における陸上トレッドミル歩行と水中トレッドミル歩行の呼吸循環応答

著者: 前野里恵1 藤谷尚子1 前野豊2 佐鹿博信3

所属機関: 1横浜市立大学医学部附属浦舟病院リハビリテーション科 2神奈川県立総合療育相談センター 3横浜市脳血管医療センター開設準備室

ページ範囲:P.767 - P.770

文献購入ページに移動
はじめに

 水中運動療法は,プールで身体を使った運動や歩行,水泳等1)が広く行われており,温熱効果を併せもつ理学療法2)である.近年,水中においてただ単に運動を行わせるだけではなく,その運動効果,すなわち生体に対する温熱,浮力,渦流,表面張力,粘性抵抗,力のモーメント,静水圧などの物理的作用,運動生理学的作用3,4)や精神的作用5)について研究されるようになってきた.

 William6)は陸上および18,25,33℃の水中での運動負荷に対する呼吸循環応答を,David7)は陸上と水中でエルゴメーターにおけるエネルギー消費を,更に宮本ら8)は健常人の水中歩行時の換気循環反応に及ぼす体重差の影響を,小野寺ら9)は,水中トレッドミル歩行における血圧の変化について報告している.

 一方,堀田ら10)は回流の流速と歩行スピードを調節できるフローミルを用いて陸上トレッドミル歩行と比較している.それによると,両方を同一条件にした場合,その約2倍の速度の陸上トレッドミル歩行と等価の消費エネルギーであると述べている.また,Jimら11)はプール内歩行と陸上トレッドミル歩行を比較し,2.55~3.11km/hrの4つのスピード段階で水中歩行の心拍数が有意に高かったと報告している.このように,水中での運動負荷に関しては様々な異なる結果が報告されており,水中運動療法としては確立されていない.

 そこで我々は,“水中トレッドミル”を安全に使用するための基礎研究として,水中トレッドミルを用いた歩行と陸上トレッドミル歩行を段階的負荷方法のもとで比較し,呼吸循環器系に与える影響について明らかにすることを試みた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?