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あんてな
熊本小児療育研究会の活動
著者: 楠本敬二1
所属機関: 1熊本県こども総合療育センター
ページ範囲:P.890 - P.891
文献購入ページに移動 1.はじめに
熊本小児療育研究会(以下,研究会)発足当時の熊本県における療育は,県立の肢体不自由児施設と熊本市内の2,3の病院で,それぞれ独自に行われていたのが実態であった.しかも,それぞれの施設,病院で療育に携わる療法士の数も少なく,症例検討すら十分にできないという悩みを抱えていた.研究会は,こうした現状を打破することを目的として,昭和62年10月,県内の療育に携わる約15名の理学療法士,作業療法士が参加して発足した.
発足当初は,どこにでもあるような勉強会活動が中心で,障害をもつ子どもの複雑な臨床像を理解し,効果的な治療の実現を目的として独自の症例検討会を積み重ねていった.こうした活動の結果として,治療技術や問題解決能力の向上,後述する治療上の特徴の理解が深まり,更に研究会会員の職種,職場,職域が多様化していったことで,それぞれの専門領域の相互理解が進み,限られた範囲ではあるが,情報交換のネットワークの構築も可能になってきている.これらのことは研究会発足当時から意図していたわけではなく,あくまで障害をもつ子どもの複雑な臨床像をより深く理解したいという動機から出発した必然的な結果ではないかと考えている.
ここでは研究会の10年間の活動を踏まえ,我々の考える小児療育の特徴や留意点,それを導き出した具体的活動としての月例会と研修会について報告する.
熊本小児療育研究会(以下,研究会)発足当時の熊本県における療育は,県立の肢体不自由児施設と熊本市内の2,3の病院で,それぞれ独自に行われていたのが実態であった.しかも,それぞれの施設,病院で療育に携わる療法士の数も少なく,症例検討すら十分にできないという悩みを抱えていた.研究会は,こうした現状を打破することを目的として,昭和62年10月,県内の療育に携わる約15名の理学療法士,作業療法士が参加して発足した.
発足当初は,どこにでもあるような勉強会活動が中心で,障害をもつ子どもの複雑な臨床像を理解し,効果的な治療の実現を目的として独自の症例検討会を積み重ねていった.こうした活動の結果として,治療技術や問題解決能力の向上,後述する治療上の特徴の理解が深まり,更に研究会会員の職種,職場,職域が多様化していったことで,それぞれの専門領域の相互理解が進み,限られた範囲ではあるが,情報交換のネットワークの構築も可能になってきている.これらのことは研究会発足当時から意図していたわけではなく,あくまで障害をもつ子どもの複雑な臨床像をより深く理解したいという動機から出発した必然的な結果ではないかと考えている.
ここでは研究会の10年間の活動を踏まえ,我々の考える小児療育の特徴や留意点,それを導き出した具体的活動としての月例会と研修会について報告する.
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