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特集 転倒と骨折
痴呆を合併した大腿骨頸部骨折の理学療法
著者: 池田淑子1 棚橋尚美1 住吉京子1 永原久栄2
所属機関: 1浴風会病院リハビリテーション科 2茨城県立医療大学保健医療学部理学療法学科
ページ範囲:P.178 - P.185
文献購入ページに移動大腿骨頸部骨折(以下,頸部骨折)の術後理学療法は,安静度のタイムスケジュールが決まっており,また,ゴールも歩行能力の再獲得とされ,順調な経過か否かが議論される.そのなかで,痴呆は獲得歩行能力の低下因子としてオッズ比4.42という報告1)もあり,頸部骨折の術後成績に大きく影響するといわれている.当院においては痴呆合併患者が多く,標準的な頸部骨折の理学療法が,痴呆を合併している患者を対象としたものとなっているのが実状である.そこで,当院の理学療法の結果を整理し,訓練の実際を紹介するなかで,痴呆合併患者の特色をまとめてみたい.
痴呆とは脳疾患による症候群であり,慢性あるいは進行性で,記憶障害をはじめ多数の知的機能障害を示す疾患である2)が,ここではベースになる脳疾患の診断による症状の違いには踏み込まずに,日常の臨床場面で遭遇する主な症状でとらえることとする.
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