icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル32巻3号

1998年03月発行

文献概要

講座 難病・3

パーキンソン病

著者: 久野貞子12

所属機関: 1国立療養所宇多野病院臨床研究部・神経内科 2京都大学医療技術短期大学部理学・作業療法学科

ページ範囲:P.203 - P.208

文献購入ページに移動
はじめに

 パーキンソン病は1817年に英国の医師James Parkinson1)によって初めて報告された疾患であるが,今日では脳血管障害,アルツハイマー老年痴呆とともに高齢者の三大神経疾患の1つとなっている.病理学的には,中脳黒質緻密質のメラニン含有神経細胞の変性と,残存神経細胞にLewy小体と呼ばれる細胞内封入体の出現が特徴である.この神経細胞は神経伝達物質ドーパミンを産生し,大脳基底核の線条体(被殻,尾状核)に投射しているため,患者線条体ではドーパミン欠乏が生じ運動機能障害をきたす.

 本症の特徴は,緩徐に発症し数か月~数年の単位で巡行する歩行,起居,会話などの基本動作に障害をきたすが,錐体路障害と異なり筋麻痺がないことである.この運動機能障害は,安静時振戦,仮面様顔貌,前傾姿勢,小股歩行など図1に示すような特有の症状であることから,パーキンソニズムと呼ばれている.有病率は人口の高齢化と薬物治療の進歩によって高まっており,治療や介護に携わる機会も増加しつつある.

 本稿ではパーキンソン病の疫学,原因,臨床像(症候,病態生理を含む),臨床症候に対する薬物療法の動向,運動療法の位置づけ(特に薬物療法との兼ね合い,運動療法に期待される効果など)などについて記述する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら