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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル32巻4号

1998年04月発行

文献概要

プログレス

認知リハビリテーションの現状と課題

著者: 水野雅文1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.274 - P.275

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 「認知リハビリテーション」とは,現在欧米で一般にneuropsychological rehabilitation(神経心理学的リハビリテーション)と呼ばれる高次脳機能障害のリハビリテーションを意味している.「頭部損傷者が日常生活場面における対処能力を改善するために必要な,問題解決能力の障害を改善するもの」(G.Prigatano)等と定義され,その概念は近年わが国でも急速に関心を寄せられてきている.より一般的な言い方をすれば,失語症以外の脳損傷による高次脳機能のリハビリテーションということになろう.

 近年,脳神経外科領域の治療技術の進歩や救急体制の整備に伴い,重症例の救命率の向上が得られる一方で,その後遺症ともいえる心理・社会面の問題も含めた慢性的な能力障害がもう一歩のところで社会復帰を阻んでいたりすることが多い.また脳損傷後も失語や運動麻痺が回復し神経心理学的な検査成績がある程度まで回復すると,従来のリハビリテーションや神経学的な意味では積極的な治療の対象にならないために,治療が終結されてしまうことがしばしばある.その一方で実際には本人の主観的な体験としては様々な高次機能障害が残存していたり,また客観的にもそれがあるために社会復帰ができないままに過ごしているケースも多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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