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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル32巻5号

1998年05月発行

文献概要

特集 ケアマネジメント

介護支援専門員としての理学療法士の役割

著者: 吉川和徳1

所属機関: 1東京都板橋区おとしより保健福祉センター

ページ範囲:P.328 - P.335

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 1.介護保険制度創設の背景

 1994年,我が国は総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)が14%を超え,1970年に「高齢化社会」となってから僅か24年で「高齢社会」に突入した.先進諸外国では,フランス115年,スウェーデン85年,最も短い英国,ドイツでも45年かかっていることと比較すると,我が国の人口の急速な高齢化が浮き彫りとなる.更に我が国は,公衆衛生の発達と医療水準の向上等による最長寿国でもあり,2022年には後期高齢者(75歳以上)数が前期高齢者(65歳~74歳)数を上回ることが予測され,その頃には生産年齢人口2.3人で1人の高齢者を支えるようになるといわれている.こうした状況から,高齢社会を支えるための社会保障システムを速やかに構築する必要が生じていることは理解できよう.

 一方,我が国の社会福祉サービスは,個人もしくは家庭の経済的自立困難を軸に金銭給付や現物給付といった経済的給付を中心に展開され,経済的,生活技術的にも,人間関係的にも,家庭機能が崩壊もしくはそれに近いときには社会福祉施設に入所させ,必要なサービスを提供するということを基本的な姿として発展してきた.しかし,高齢化社会に突入し,また急激な都市化・工業化の進展とともに核家族化が進み,家庭や地域での介護能力が脆弱化してくると,特に高齢者福祉,高齢者介護の問題は経済的困窮者にのみ出現するものではなくなり,つまり経済的給付だけでは解決できない問題でもあった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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