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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル32巻7号

1998年07月発行

雑誌目次

特集 臨床実習の課題と工夫

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.475 - P.475

 臨床実習の形態と方法は理学療法の学校教育が開始された当時から本質的に変わっていない.当時と比べて学生の気質も患者の権利意識も臨床実習の時間数も変化した.最適な臨床実習は時代と共に変化するはずである.また養成学校の急増で全学生が臨床実習を遂行できるのか危惧される.現在の臨床実習が多くの問題を抱えていることは周知の事実である.しかし具体的な解決策となるとその方向すら見えない.それでもいくつかの独創的な試みはなされている.それらはその学校や臨床施設ゆえに可能となる試みかもしれないが,その努力を結集することで新たな展開への導入剤になると期待される.

[対談] 臨床実習の今日的課題

著者: 冨田昌夫 ,   高橋正明

ページ範囲:P.477 - P.484

 本誌 理学療法教育に限らず臨床実習をめぐっては昔から様々なことが指摘されてきたわけですが,最近の養成数の急増という背景のなかで,理学療法学生の臨床実習をめぐる問題は他領域に倍して深刻なものがあるように思われます.そうした問題を改めて浮き彫りにしながら,近未来の理学療法教育を視野に入れて臨床実習の今日的な課題を考えてみたい,というのがこの対談の目的とするところです.そこで最初に,学生を送りだす側の高橋先生から口火を切っていただきたいと思います.

教員主導型臨床実習の方法と効果

著者: 洲﨑俊男

ページ範囲:P.485 - P.490

 1.はじめに

 厚生省が1991年7月に高齢者保健福祉推進10か年戦略1)(いわゆるゴールドプラン)を提示したことから,理学療法士の適正配置数を上方修正した.同年の理学療法士の養成校(以後,養成校)は42校(学生数983人)であった.特にその後養成校が増加し,1997年5月には3年制から4年制へ移行中の養成校や名称変更および夜間部を有するものなど,実質97校(学生数3,288人)とこの6年間に急増している.なかでも,従来1校当たり20~30人であった学生募集定員が新設校では30~40人となり,多い大学では80人と増員の傾向がみられた.そのため,教官数の不足や実習施設数の不足が深刻化し,特に評価を含む臨床実習において,この6年間で3倍にも増えた学生に対する教育効果が危惧されている.このような養成校を取り巻く環境変化のなかで,筆者が所属する金沢大学における微々たる経験も踏まえて,理学療法士教育の変遷,臨床実習の変遷,教員主導型臨床実習方法および問題点とその解決策の提言などを行いたい.

地域活動実習の方法と効果―弘前大学医療技術短期大学部理学療法学科の17年間の取り組みから

著者: 石川玲 ,   勘林秀行 ,   對馬均 ,   対馬栄輝 ,   長谷川至 ,   尾田敦 ,   金沢善智 ,   岩田学 ,   三浦孝雄

ページ範囲:P.491 - P.496

 1.はじめに

 近年,理学療法士の直面する課題は,国の法制度上の改革や新しい施策により医療から保健福祉へとシフトしてきている1).その影響は理学療法教育にもみられ,平成元年の理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則改正では,医療を中心とした枠組みから保健福祉を含めた幅広い枠組みでの再構築が求められた.これを受けた形で,卒前教育における保健福祉領域での臨床実習の必要性が謳われるようになってきている2,3)

 弘前大学医療技術短期大学部理学療法学科(以下,当学科)では昭和55年の学科創設以来,地域リハビリテーション活動(以下,地域活動)を正規のカリキュラムに取り入れ,積極的に取り組んできた4-11).本稿では,当学科における17年間の取り組みをもとに,在学中に地域活動を視野に入れた実習経験を積んでおくことの教育的意義と効果を明らかにするとともに,地域活動実習を進める上での留意点と課題について述べる.

小児理学療法実習の授業展開―学外健常小児施設実習と学内実習の試み

著者: 田代千惠美

ページ範囲:P.497 - P.503

 1.はじめに

 理学療法教育システムは,社会経済構造や医療制度の発展段階に対応した形態や機能などによって構成されなければならない.その教育の一部である臨床実習教育はすべての養成校や大学でその最終学年度に実施されている.

 4年制大学教育における臨床実習の実施については,各大学において起動し始めたところである.そして,3年制の教育機関とは異なった4年制大学としての臨床実習の目的を明確にして教育課程のなかに具体的に明示し,実践されなければならない.

 厚生省管轄3年制各種学校や文部省管轄短期大学,4年制大学における臨床実習の占める割合は,各校により異なっている.4年制大学では,各校によって多少の差はあるものの,8週×2期,あるいは9週×2期または8週×3期が実施されている.大半の学校での臨床実習は2期制をとっている.

 現状における理学療法学臨床実習地は,大学病院や総合病院,リハビリテーション病院およびリハビリテーションセンターが大半を占めている.これからの日本に求められている地域リハビリテーションや保健所,老人病院や老人保健施設,福祉・保健さらに地域における在宅医療などの分野での臨床実習までには至っていない.

 本大学では,4年次に8週×2期の臨床実習が行われ,その後に4週間の老人・地域理学療法学実習が行われている.また,小児病院や小児施設での実習施設は大変少なくなり,さらに小児の入院や小児施設への入所児の減少により,臨床実習地から除かれる傾向が強くなってきている.そこで,3年次の授業において小児理学療法学のなかで,健常乳幼児,さらに障害を持つ小児との係わりを持つことにより,小児の発育・発達,さらに小児を取り巻く環境について学ぶ機会を設けている.

 本稿では,本大学における小児理学療法学実習の授業展開について述べることにする.

臨床実習指導の現場から―我々の工夫

卒後教育とつながる臨床実習をめざして

著者: 川村博文 ,   伊藤健一 ,   山本昌樹 ,   鶴見隆正 ,   辻下守弘

ページ範囲:P.504 - P.508

1.はじめに

 昭和40(1965)年に理学療法士及び作業療法士法(法律137号)が制定され,昭和41(1966)年に第1回の理学療法士国家試験が実施されて,日本の医療現場に国家資格を有する理学療法士が誕生した.平成10(1998)年で理学療法士は33年間の歴史を刻んできたことになる.この間,学内教育の整備,臨床実習指導の変動などがあり,理学療法士の卒前教育はめざましい発展を遂げてきた.

一方,医学の急速な進歩につれて日本理学療法士協会では21世紀に向けて理学療法水準の向上を目的に卒後教育として生涯学習システムの必要性が論議され,平成6年度より生涯学習システムが士会もしくはブロック単位で開始された.このように卒前教育と卒後教育が発展するなかで,学内教育から卒後教育である生涯学習に橋渡しする臨床実習指導が果たす役割とその対策がより明確に具体化される必然性が生まれるに至り,日本理学療法士協会の検討や諸家の報告などがなされてきた1-7)

 当部は昭和56(1981)年に創設され,昭和57(1982)年より現在まで17年間にわたり臨床実習指導を行ってきた,本稿では筆者らが経験した臨床実習の実態と臨床実習指導上の問題点,課題,工夫などについて,卒後教育との関係を含めて解説することにしたい.

臨床実習の意味と重さ

著者: 永冨史子

ページ範囲:P.508 - P.511

1.はじめに

 筆者は学生のとき,臨床実習は理学療法士養成コースの仕上げとばかり,勇んで出発した記憶がある.しかし,知識は就職後に学んだことも多く,まだ足りない.技術もまだ未熟だから臨床実習で学び取れた量なんて知れている.つまり私にとって臨床実習は出発点にすぎなかった.しかし,その体験は現在も重く影響している.

 ここでは,私が所属する施設での臨床実習の工夫を紹介し,臨床実習,スーパービジョンについての私論を述べる.

問題解決型学習法を取り入れた臨床実習の指導と評価

著者: 縄井清志

ページ範囲:P.511 - P.513

1.はじめに

 実習指導者(以下SV)の役割は,教員と同じように,実習生が医療者としての人間性や,知識・技術が望ましい方向に変化することを意図して働きかけることから,SVは臨床で,より効果的な指導方法を心がげる必要がある.その指導方法は実習生の能力や学年によって異なるが,筆者は,最終学年の臨床実習ではJ. デューイ(1859~1952)の「問題解決型学習」を取り入れることが有効であると考えている.

 この指導方法は,学習者中心の学習指導であり,学習者の自主的な問題解決能力を高めることを目的としたものである.実習生に,ある程度の経験や,知識・技術がないと指導しにくいため,高学年向きの指導方法といえる.しかし,目の前にいる患者の問題を,自分で解決していくことで,考察力や自主性,自信の向上が期待できるのである.

 問題解決学習については,過去に宮本1)や清水2)の研究があるが,筆者は,この学習方法を実習指導に応用してているので,その指導例を報告する.

とびら

CBR技術協力プロジェクトを終えて

著者: 小林義文

ページ範囲:P.473 - P.473

 日本理学療法士協会がNGOとして関与した「インドネシアCBR技術協力プロジェクト」が,この3月で成功裏に終了した(と思っている).この5か月間に延べ6名の日本人理学療法士が派遣され,インドネシアから14人の理学療法士やCBRワーカーを受け入れた.関係された先生方や受け入れ施設職員の皆様,そして国際医療技術交流財団の力添えがあって継続することができことを深謝する.

 さて,壮大なる(無謀という人もいるが……)計画を打ち上げてはみたものの,当然のごとく,無理難題が次々と湧いてきた.

入門講座 面接技術・3

患者・家族との支持的(supportive)面接(2)―リウマチ患者に対して

著者: 八木範彦

ページ範囲:P.515 - P.520

 Ⅰ.はじめに

 面接の目的を,土居1)は次のように述べている.「好奇心を以って人間の行動を観察するだけでは足りない.直接会ってその人の話を聞かなければならない.しかしそれだけでもまだ足りない.傍観者の立場で聞いているならば,聞いたことの本当の意味はわからない.本当にわかるためには傍観者の立場を超えて,相手の立場に身をおき相手の心がこちらに伝わって来るのでなければならない.そしてそれこそ実は面接者の務めである」と.そして,医者は診療の際,病歴を聴取したり,その結果と治療の見通しを患者に説明しなければならないにもかかわらず,これまで医学教育のなかで面接の技術が医術の不可欠な要素として教えられるということがなかったことを指摘している.

 また,白石2)は,「面接とは人と人との出会いから始まり,目的意識や問題意識をもって対話すること」を指し,更に,この面接がさまざまな問題をもつ人を対象とする場合には,ケースワーク,カウンセリング,心理療法などの援助技術を用いて科学的に取り組む必要がある一方,人間的な温かさが伝わり,信頼関係が形成されないと,より望ましい援助関係は成立しないと述べている.

 私たち理学療法士は日常,疾病や障害をもつが故に多様な問題を抱えている人々に関わっているのであるが,ともすると疾病への対応に終始してしまい,患者のもつさまざまな問題に対する精神的援助や指導を見過ごしているように思われる.特にリウマチ患者の抱える問題は多種多様の要素を含んでおり,精神的援助や指導の難しさを痛感するが,治療効果の向上を図るためにも,積極的な対応を必要とするものである.

TREASURE HUNTING

地域にあって理学療法の「重み」を痛感―竹内義享氏(竹内整骨院)

著者: 編集室

ページ範囲:P.521 - P.521

 理学療法士にして鍼灸師,柔道整復師にして福井医療技術専門学校非常勤講師(運動学),はたまた福井医科大学解剖学講座(1)で筋組織の研究に従事.そのうえ,町の委託をうけて機能訓練事業や訪問指導にも出掛けられるというから,竹内義享氏の生活ぶりは凡人の想像を超えるものがある.つまり,理学療法士として体の機能解剖から地域保健・福祉にまで,そして鍼灸師として痛みと除痛にと,関心のひろがりは止まるところを知らないのである.それだけではない.鍼灸師,柔道整復師の資格をいかして整骨院を開業されているというから,進取の気象に満ち満ちた人物という見立ては間違いあるまい.

1ページ講座 義肢装具パーツの最新情報・7

装具材質の最近の進歩

著者: 浅井裕晴 ,   岡田康昭 ,   笹本嘉朝 ,   滝吏司 ,   武山政志 ,   遠山裕之 ,   田沢英二

ページ範囲:P.522 - P.524

 1.はじめに

 プラスチックAFOの種類が豊富になってきている,プラスチックAFOに使用されている材料の特性を製作適合の観点より説明する.

 1)プラスチックの一般的性質

 [メリット]

 (1)種々の性質をもつ製品を作ることができる

 (2)軽量強力な成型品を作ることができる

 (3)良好な電気絶縁性をもつ

 (4)耐水性がある

 (5)着色できる

 [デメリット]

 (1)耐熱性が低い

 (2)キズがっきやすい

 (3)帯電しやすい

講座 理学療法における標準(値)・1

上肢・体幹筋力

著者: 坂本雅昭 ,   内山靖

ページ範囲:P.525 - P.532

はじめに

 理学療法に限らず各検査が効果的に行われるためには,目的,方法,実施手順が明確であることに加えて,妥当性のある判定基準に基づく合目的的な解釈がなされる必要がある.本講座の最終的な目標は,理学療法に関わる基準値一覧表が,年齢,性別,障害ごとに整理,提示されることであろうが,そのためには計測条件等の標準化や測定法が統一される必要がある.

 そこで本稿では,まず臨床における筋力の測定方法や留意点を整理し,上肢筋力と体幹筋力に関するデータを整理して,基準(値)のための基礎資料を提示することを目的とした.

資料

第33回理学療法士・作業療法士国家試験問題(1998年3月6日実施) 模範解答と解説・Ⅰ―理学療法(1)

著者: 武田功 ,   中徹 ,   平上二九三 ,   辛島修二 ,   泉唯史 ,   藤野英己 ,   中嶋正明

ページ範囲:P.533 - P.540

短報

市販体重計を用いた脚伸展筋力の測定

著者: 山崎裕司 ,   大森圭貢 ,   青木詩子 ,   青木治人

ページ範囲:P.542 - P.543

はじめに

 最近になって下肢支持力の指標として,片脚伸展筋力が注目されているが1),その測定機器は比較的高価であり,臨床に広く導入する際の障害になるものと考えられる.そこで我々は,市販されている体重計と牽引用骨盤帯を用いた簡易な脚伸展筋力測定方法を考案し,その再現性と移動能力との関連について検討したので報告する.

プログレス

機能訓練と感覚の投射

著者: 塚本芳久

ページ範囲:P.544 - P.545

 1.はじめに

 熟練したセラピストは機能訓練中に患者の関節や筋に体性感覚を認識するという.自己の身体の外に感覚を認識するというのは奇妙なことであるが多くの読者が経験している事実であろう.筆者はこの心理現象を感覚の投射1)であると考えた.

 感覚の投射は道具の使用時によく認められる.例えば熟練した機械工は,ねじ回しの先に圧力の感覚を投射しており,すばやく仕事ができるのはこの投射のおかげである.我々も日常,箸やペンの先に感覚を認識している.セラピストが患者の四肢を手で把持して機能訓練を行うとき,道具と同じように患者の身体がセラピストの身体の機能的な延長部分となると考えられる.最近この「感覚の投射」現象がニューロンレベルで徐々に解明されるようになってきたので紹介する.

Topics

福岡県士会が「理学療法管理・運営テキスト」を発刊

著者: 中村一平

ページ範囲:P.546 - P.547

 1.発刊のきっかけ(個人的動機)

 1)“Do.”の誤用について

 医師や看護婦をはじめ,多くの臨床家がカルテ等の記録に“Do.”を用いています.今さら説明するまでもなく,この“Do.”は略語で,元の単語は“ditto”,「上記に同じ,前と同じ」という意味です.したがって,“Do.”の前に,例えば処方内容や訓練プログラムが具体的に示されていることが,この用語を使う場合の前提となります.

 ところが,日常この“Do.”を動詞の“do”(する,行うの意味)と勘違いして使っている方に出会うことがあります.それがこの小冊子を発刊するきっかけの1つです.

プラクティカル・メモ

ダンボールでつくる“ダンボールKO”

著者: 北薗真治

ページ範囲:P.548 - P.549

 前回,紹介しました“ペットボトルAFO”に“ダンボールKO”を組み合わせることにより“ダンボール・ペットボトルKAFO(略してDPO)”ができ上がり,さらに適応範囲を広げることが可能と思われます.

 現在,当院でも片麻痺患者に使用中ですが,その馴染みの良さと軽量であることから非常に評判がよく,有効でもあるため,ここに紹介致します.

 利点としては,DPO全体でも300g程度と軽量で,しかも安価,左右兼用にできる点があげられます.一般のAFO製作後,膝の支持が不十分な場合にも使用できる点でも有効です.

書評

―河本のぞみ・石川誠(著)―夢にかけた男たち―ある地域リハの軌跡

著者: 伊藤日出男

ページ範囲:P.520 - P.520

 初めてこの本を手にする読者には,どこかのラグビーチームの物語かと思われるかも知れないが,本書は都市型の地域リハビリテーションを実践している高知市の医療法人近森会の人々を描いた12年間の記録である.著者は河本のぞみさんというOTの方と(マイムパフォーマーとしても国際的に活躍中),石川誠・近森リハビリテーション病院長との共著となっているが,実際は河本さんのルポルタージュである.

 序章では,高校,大学とラガーマンだった石川氏が,脳外科医からリハビリテーション医を目指した動機や,急性期から在宅まで本来のリハビリテーション医療を追求する近森病院の歴史を紹介している.第1章では,冒頭からリハビリテーションを標榜する病院の外来部門に対する手厳しい批判が現れる.退院した脳卒中患者に対する長期にわたる外来訓練に対して,よく聞く地域の受け皿がないからという言い訳は通用しないことが,本書を読むと良く分かる.

ひろば

過疎地で介護保険を考える

著者: 原口忠

ページ範囲:P.541 - P.541

 急速な高齢化が進むなか,老後生活を安心して過ごすための介護保険法案が昨年12月成立した.平成12年の施行に先立ち,私の町は,当初より隣町とともに厚生省の介護保険モデル事業地域に指定された.さらに今では,近隣3市町にも呼びかけ,5町1市で広域介護保険推進協議会を作っている.

 保健・医療・福祉の連携を旗印とする私の町の人口は8千人足らず,高齢化率22%の典型的な過疎と高齢化が進んだ町であるが,町の国保病院は道内初の開放型病院とし,さらにすべて町立の老健施設,特別養護老人ホーム,訪問看護ステーション等も,地域医師会の協力のもとに共同利用を実施し,病診連携を図っている.

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文献抄録

ページ範囲:P.550 - P.551

編集後記

著者: 高橋正明

ページ範囲:P.554 - P.554

 フランスではワールドカップサッカーが始まり,ちょうど時差が夜中になる国では全体的に寝不足状態とのこと.ニューヨークの株取引市場ではアメリカのダウが堅調で円は大安売り.WCPTの日本開催が決まったときの円高の心配は今では嘘のよう.アジア全体の経済の低迷振りやドイツで起こった新幹線の橋桁衝突など世界中で起こる日々の小事件から大事件まで,我が家の茶の間にいて臨場感に浸りながら瞬時瞬時に情報が手に入る.イングランドのフーリガンがよその国に行って起こす傍若無人がまるで隣町で起こっているように錯覚する.いや自分が出かけていって隣町にいる気になっているのかもしれない.これが,理屈や形態ではなく自分の感覚の中に起こっている国際化なのか.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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