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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル32巻8号

1998年08月発行

雑誌目次

特集 認知障害

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.557 - P.557

 Carlo Perfettiの認知運動療法を本誌が紹介してから6年が経過した.その後も認知機能は注目され,認知過程や認知障害は理学療法士にも多少はなじみやすい領域になってきたようである.近年,アフォーダンスやエコロジカルアプローチといったような生態学的認識論を背景とした用語が目に留まるようになり,認知過程や運動制御,あるいは運動学習の捉え方にも変化が起きようとしている.社会でも,リハビリテーション分野ても,そして理学療法分野でも環境因子の重要性が叫ばれるなかで,内的,外的環境に対する認知過程とその障害をどのように理解し,理学療法士としていかにアプローチすべきか,解説していただいた.

認知過程の障害と理学療法

著者: 吉尾雅春

ページ範囲:P.559 - P.563

 1.はじめに

 近年,認知機能に視点をおいた理学療法が求められている.痴呆や失認のように高次脳機能としての認知機能に障害がある場合はもちろんのこと,環境との相互作用を図るなかで認知過程のどこかに問題を抱える場合も対象にしている.また,学習理論にはレスポンデントおよびオペラント条件づけを基礎とする連合学習以外に,認知学習という領域がある.理学療法場面は正に学習場面で行動変容を指向しており,そこでは認知学習理論が大きな背景にもなっている.

 以上のことは,認知機能に視点をおいた理学療法の対象がすべて認知障害を持つということではないことを意味している.認知障害を伴わないような場合でも,認知心理学的な関わりを工夫しなければならない状況が多いということである.そして最近では,アフォーダンスという言葉に代表される生態学的認識論が注目されてきている.従来の認知科学とは趣を異にしたこの理論は,中枢神経系の理学療法でも既に応用されつつある.

 特集のはじめにあたって,認知過程について改めて概説し,その過程の障害に対する認知心理学的なアプローチについて簡単に述べる.

運動の認知障害と理学療法

著者: 宮本省三

ページ範囲:P.564 - P.570

 1.はじめに

 運動の認知障害とは「感覚入力と運動出力とをインターフェイスするシステムの障害」と規定することができる.運動の認知障害とは,単なる感覚障害でもなければ運動障害でもない.現在の脳科学は,この複雑なシステムの解明に向けての研究を進めている1).さらに,患者の運動機能回復を実現するには,応用科学としての理学療法の特性を生かし,医学のみならず哲学や心理学をも含めた学際的な視点から身体運動の深淵を見つめてゆく必要性がある.

 そこで本稿では,「空間には,視覚空間,聴覚空間,触覚空間などがあり,それらが合わさったものとして身体の空間性がある2)」という哲学上の命題を出発点にして,与えられた主題である「運動の認知障害と理学療法」の地平を眺めてみたい.

 そのためにまず,ルネサンス以後の哲学と心理学における古典的な身体論のなかから,人間の「空間認知」に関連する記述を素描する.次に,身体を空間に意味を与える受容器として捉える視点を提示し,運動の認知障害について考察する.そして,最後に「認知運動療法」と呼ばれる治療法を紹介し,今後の理学療法の可能性を展望する.

認知障害と感覚統合療法

著者: 小西紀一

ページ範囲:P.571 - P.576

 1.はじめに

 認知障害というと,失認症・失行症・失語症が代表的なものとして挙げられる.その機序については,Broca(1861)やWernicke(1874)の失語症に関する症例報告を端緒とし,Lissauer(1890)やLiepmann(1900)等の失認・失行症例の報告と続き,その後,診断技術の発展に伴い,病態や機能的関連性についてはずいぶん詳しく知られるようになってきた.しかし,そうした障害に対する治療的アプローチとしては依然,機能的アプローチ(functional approach)が主流を占める状況で,患者の変化について,自然治癒と治療的介入による効果の判定が明確には下せないことが多いといえよう.また臨床の場では,患者の示す問題点が果たして失認に因るものなのか,失行に因るものなのか,あるいは失語によるものなのか見当すらつきかねるような場面に遭遇することがしばしばある.こうした混乱からの脱出法として,認知機能すなわち高次脳機能を神経機能学的視点から整理してみるのもよいのではないかと考え,筆を執らせていただいた.

脳性まひ児の認知障害と理学療法

著者: 今川忠男

ページ範囲:P.577 - P.582

 1.脳性まひ児の認知障害に対する認識

 脳性まひ児の認知障害は理学療法士に認識されているのか.例えば,脳性まひを「感覚運動障害」であると述べている訓練法であっても,その焦点は筋緊張や不随意運動といった運動障害にあてられ,そのことに対する理学療法士の他動的な手技が中心課題となっているのが実状である.認知障害についても言葉としては用いていても,配慮がなされていない.

 認知障害や認知機能の重要性に対する関心は,従来の訓練法の発展によって起こってきたものではなく,むしろそれらに対する一部の理学療法士の反省,つまり既存の訓練法では理学療法士が認識している臨床問題を解決するのに適切ではないという経験と,最近の理論的進歩を応用して新しい理学療法を開発していこうという挑戦によって起こってきたといえる.事実,運動科学は痙性や痙縮の生体力学的制御によって拘縮や関節変形の予防がある程度可能であることと,痙性や痙縮が機能障害の主要原因ではないことを証明している.「ごく当たり前の日常生活機能障害」を支援したいと願っている理学療法士は,機能障害におよぼす障害当事者の動機づけや環境の因子に鋭い感受性をもっていて,認知機能の学習過程こそが脳性まひ児と理学療法士にとって最も重要な課題であると認識できるようになっている.

大脳半球機能と理学療法

著者: 沼田憲治

ページ範囲:P.583 - P.589

 1.はじめに

 Broca(1861)は,左大脳半球が言語機能と密接な関係を有していることを報告した.それ以後,右半球が視空間能力に密接に関係していることが見い出されるなど,一側半球に偏在化した機能についての研究は飛躍的に進歩した.左,右半球の非対称性は,言語機能に関連した領域1,2),視覚機能に関連した領域3)が形態においても非対称性であることが知られている.また,こうした大脳半球の形態的非対称性は,遺伝によって決定づけられるものと考えられている4)

 半球損傷患者の理学療法においても,損傷半球側による運動能力の差異を指摘する報告が多くある5-9).このことは,ある種の運動機能そのものや,運動に対し間接的に影響を与える因子が左,右半球に偏在していることを示唆するものである.本稿では,理学療法に関連する運動および認知機能について,左,右半球の差異という観点から述べる.

とびら

「終焉の場」のお年寄り達

著者: 熊澤輝人

ページ範囲:P.555 - P.555

 「終焉(しゅうえん)の場」と聞いて,皆さんはどんな場所を想像されるだろうか.広辞苑には「身の落ち着く所.隠居して晩年を送るところ.」と書かれてある.縁があって特別養護老人ホーム(特養)のお年寄り達と触れ合い,早いもので10年が経過した.この間,様々な出会いがあり,色々なことを学ばせてもらった.

 施設の沿革は古く大正15年の創立である.もともとは救貧施設として発足したが,その後,昭和38年の老人福祉法の施行に伴い特養の認可を受けるなど時代とともに変遷し,現在は特養,附属病院,救護施設を併設する老人の複合施設へと姿を変えた.施設の特殊性から,入院患者のほかに,毎日のように特養の入所者が訓練室にやってくる.また患者の多くは特養待機入院であり,一般の病院とは違い,施設での生活を維持する訓練が中心となる.そのため訓練期間も長期化するので,訓練室には観葉植物を置いたり,作業療法での作品を飾るなど和やかな雰囲気づくりを心がけている.

入門講座 面接技術・4

学生との支持的(supportive)面接

著者: 齋藤利和

ページ範囲:P.591 - P.596

 Ⅰ.はじめに

 支持的療法とは,精神的な問題を持っている人に対してその語られることを受容して当面の症状の除去に主眼を置き,従来適応してきた能力を回復させるとともに,それを維持できるよう支えていく治療法をいいます.

 支持的療法についての様々な理論については他に譲ることにし,本稿においては面接技法に主眼を置き,できるだけ具体的に述べることにします.

Case Presentations

ニューロパシックペインに対する理学療法

著者: 神戸晃男 ,   山口昌夫

ページ範囲:P.597 - P.601

 Ⅰはじめに

 ニューロパシックペインは,神経が何らかの障害を受けて痛覚伝導系に異常が生じる結果として発症する1)

 筆者らは腕神経叢引き抜き損傷後,幻肢痛,幻肢のしびれを伴った症例を経験した.この激しい幻肢痛は,当初,星状神経節ブロック療法で軽度の改善をみたが,その後も依然として強い幻肢痛が続いたために,途中から除痛を目的として理学療法を施行,幻肢痛はほぼ消失したので,その経過と治療内容について考察を加えて報告する.

あんてな

大分県理学療法士協会法人化へのあゆみ

著者: 原田禎二

ページ範囲:P.602 - P.602

 「平成8年12月4日付けで申請のあった社団法人大分県理学療法士協会の設立については,民法(明治29年法律第89号)第34条の規定により,許可する.」大分県知事平松守彦―1996年12月26日付けで社団法人大分県理学療法士協会として許可され,全国では22番目の社団法人になりました.

 昭和47年,初代会長松原正勝氏を代表として,15名の理学療法士によって大分県理学療法士会が発足してから法人の設立まで,数々の士会活動と公益事業を行ってきました.代表的な事業をいくつか紹介すれば,九州理学療法士作業療法士合同学会(2回),第28回全国研修会(平成5年,1,200名参加),昭和60年からは市町村で行う機能訓練事業に理学療法士を派遣,そのほか県主催の国際車椅子マラソン,福祉事業等に協力し,公益的な事業の実績を積み重ねてきました.そして平成6年4月,3代目会長高橋寛氏のときに,全国的な法人化の波に乗るかのように,県士会も「任意団体から法人へ」という会員の声が盛り上がり,会長の諮問機関として法人化検討委員会の発足をみたのでした.

TREASURE HUNTING

視覚障害者と一緒に“風”を感じたい―伊神和史氏(愛知医療学院理学療法科3年/愛知県障害者自転車協会代表)

著者: 編集室

ページ範囲:P.603 - P.603

 今月もまたまた異色?の理学療法(学生)を紹介することになりそうだ.伊神和史氏から送られてきた原稿用紙10数枚の「資料」を手にして,即座に頭をよぎったのがこのことだった.どこが「異色」なのか,まず氏の経歴をご覧いただこう.

 伊神氏は昭和34年名古屋市生まれの38歳.日本獣医畜産大学で家畜管理育種学を勉強,乳業会社で乳酸菌の研究に従事したあと,全日本技術選手権スキーサービスマンとして競技スキーに参加,シーズンオフのトレーニングにと始めたのが自転車競技だった.抜群の集中力が実ってローカルレースで表彰台に上がれるようになった頃,視覚障害者と2人で乗る自転車競技(タンデム)の存在を知った.どうやら,そこからタンデムに対するのめり込みが始まったようだ.

プログレス

ハウスアダプテーションの新しい考え方

著者: 吉田誠治

ページ範囲:P.604 - P.605

 1.はじめに

 「バリアフリー」を考えるとき,高齢者や障害をおもちの方にとって,「バリア」となっているものは,物質的なものばかりではないということを感じます.そのなかから,3つの事柄について記してみたいと思います.

Q & A

Barthel Indexの配点法について

著者: 高岡徹

ページ範囲:P.606 - P.606

 Q Barthel Indexの配点法は日本では5点刻み,10項目のものが一般的なように思うが,1979年の改訂版では15項目で,項目により7点など,5点刻みでない点数が付けられるようになっている.国際的にはどちらが一般的なのでしょうか.どちらも100点満点なので,論文によってどちらを用いているのか分からないこともありますが……(F生/北海道)

 A まず結論から述べさせて頂くと,私が調べ得た範囲では,Barthel Index(以下BI)のどの配点法が国際的に最もよく用いられているのかは不明でした.ご質問の「1979年の改訂版」はGrangerら1)のものと思われます.しかし正確には,原法であるMahoney & Barthel2)らが変更したものではないので,改訂版ではなく変法というべきであると考えます.その後Grangerは,更に一部の配点を変更したBIを紹介しています3).またWadeら4)は,1988年に20点満点の変法を示しました.原法を含めたこの三者のBIが一般的に使用されているものです.

講座 理学療法における標準(値)・2

下肢筋力

著者: 吉村茂和 ,   相馬正之

ページ範囲:P.607 - P.614

はじめに

 下肢筋力は,立ち上がり動作,歩行および階段昇降などの基本的あるいは応用的日常生活動作に直接影響してくる.そのため,下肢筋力を測定した結果その値が標準より高いのか低いのか,または下肢筋力が日常生活動作にどれだけ影響しているか,を推測することは,理学療法士にとって非常に興味のもたれるところである.

 下肢筋力は,単関節運動を基に股関節の伸展・屈曲・外転時など,膝関節の伸展・屈曲時,足関節の背屈・底屈時など,それに複合関節運動である脚全体を伸ばす脚伸展時に測定が可能である.

 本稿では,筋収縮様式,筋力測定,測定器具,下肢筋力の標準値の順に話を進めたい.下肢筋力の標準値では,これまで報告された下肢筋力の測定値(標準値としての意味合いを含む)を引用して図表で示すことにする.これは測定器具や方法を同一にして下肢筋力を測定した場合,同じような結果が得られると考えるためである.更に,研究者によって測定方法・使用器具などが多種多様であるため,多数の健常対象者(100名前後)の下肢筋力を測定した報告を中心に,可能な限り種々の測定方法・使用器具についても簡潔に記載する.文献で名称が定まっておらず,脚筋力が膝伸展力を表現している場合は,全て膝伸展力として統一した.また,筆者が以前に実施した下肢筋力の測定結果についても,参考として本文中に紹介することにする.

資料

第33回理学療法士・作業療法士国家試験問題(1998年3月6日実施) 模範解答と解説・Ⅱ―理学療法(2)

著者: 武田功 ,   中徹 ,   平上二九三 ,   辛島修二 ,   泉唯史 ,   藤野英己 ,   中嶋正明

ページ範囲:P.615 - P.619

1ページ講座 義肢装具パーツの最新情報・8

プラスチック短下肢装具の足継手―継手の動向と各継手の特徴

著者: 早川康之

ページ範囲:P.620 - P.621

 近年,国内外を問わず継手付きのプラスチック短下肢装具が盛んに用いられている.我が国においては,その研究は1970年代から始まっており,様々な継手付き短下肢装具のデザインが発表されている.

 これらの装具は,後方支柱タイプのプラスチック短下肢装具より,生理足関節の動きに近づけることが可能であり,動きによる生体とのずれは少ない.このため,歩行中の足関節の可動域が大きい装着者にとっては,装具と生体下腿部とのずれが生じにくく,違和感を軽減することができる.また近年では,市販の足継手の入手も可能となり,継手付きプラスチック短下肢装具の普及の一因ともなっている.

学会印象記 第35回日本リハビリテーション医学会

学会の位置づけを考えさせられた学会

著者: 対馬栄輝

ページ範囲:P.622 - P.623

 私は今までに幾度か,医学会への発表・参加の経験はあるが,リハビリテーション医学会の参加は初めてである.リハビリテーション医学会会員のなかには少数の理学療法士も居られることは知っていたが,大半の理学療法士とは馴染みの薄い学会と考えていた.どのような学会であるか,理学療法士学会との比較も兼ねて私なりの学会印象を述べたい.

雑誌レビュー

“Physical Therapy”1997年版まとめ

著者: 須釜聡

ページ範囲:P.625 - P.629

はじめに

 米国の理学療法士協会機関誌である“physical Therapy”は1997年で第77巻と版を重ね,米国だけでなく国際的にもよく読まれている理学療法の雑誌である.第77巻の構成は全12冊であり,72編の論文が掲載されている.その内容は表に示す通りである.5月号と6月号では“Balance”をテーマに9編の論文が特集として掲戴されている.また11月号には“Guide to Physical Therapy Practice”として特集が組まれている.

 本稿では,研究報告“Research Report”を中心に,運動療法,運動学,物理療法,検査・測定,義肢・装具,管理・教育・調査の項目に分類し,各分野で主だった論文要旨を紹介する.誌面の都合上および筆者の能力上,内容を詳細に掲載することは不可能であり,興味のある論文に関しては直接“Physical Therapy”を手にとられて原文を読まれることをお勧めしたい.

 なお,文中の[ ]の( )内の数字は論文の掲載号を示し,それに続く数字は通巻のページを示す.

ひろば

「気」になる話

著者: 高﨑伸一郎

ページ範囲:P.614 - P.614

 長野で行われた冬季オリンピックが感動と新たな歴史の1ページを残して幕を下ろした.“気合”を入れて己の力を十分に発揮した選手もいれば,プレッシャーで“気後れ”し,自分の可能性を出し切れずに競技を終えたプレイヤーもいたようだ.“気持ち”がその人の運命に影響を及ぼす,それほどに“気”は人間にとって大切なものだといえよう.気合,気後れ,気……

 「気」といえば,近く実施される医療法の改正と,それに伴い2000年4月より施行される公的介護保険という大きな時代の流れのなかを漂い始めようとしている我々にとって,「気」は将来の有り様を秘めたキーワードといえるかもしれない.なぜから,医療界の改革のなかで,医療およびその関連施設を利用する方々からの「人気」状況が,それら施設の将来に多大な影響を及ぼしてくることが考えられると同時に,そこで従事する私たちにとっても,「人気」=「医療職としての価値」という色合いが強くなってくると思われるからである.

書評

―S・ブレント・ブロウツマン(編著)木村彰男(監訳)―リハビリテーションプロトコール―整形外科疾患へのアプローチ

著者: 冨士川恭輔

ページ範囲:P.624 - P.624

 近年の整形外科領域の飛躍的発展はリハビリテーション医学の進歩によるところが大きいにもかかわらず,整形外科医のリハビリテーション離れが目立つようになってきた.我々の若い時には,自分がリハビリテーション科に依頼した患者がどの様な療法を受けているのか現場を訪れ,自分の眼でみて,その場でリハビリテーション科の医師や療法士と具体的に治療法を検討する機会が多かった.しかし今日では大部分の整形外科医が,十分な情報も提供せずに,たった1枚の依頼表で患者をリハビリテーション科に送り,自分の患者がどのような訓練を受けているのか知らないこともありがちである.

 当然依頼する整形外科医はリハビリテーションのプロトコールに対する十分な知識を備えているべきであるが,多くの現場では直接依頼するのは研修医,専修医が多いので必ずしもそうとは限らない.術後カンファレンスなどで研修医,専修医にリハビリテーションプロトコールを質すと,十分な答が返ってこないことが少なくない.

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文献抄録

ページ範囲:P.630 - P.631

編集後記

著者: 吉尾雅春

ページ範囲:P.634 - P.634

 ワールドカップで攻めきれない日本のサッカーを観ていて,歯がゆい思いをされた方も多かったことだろうと思います.体力的な差は仕方ないとしても,素人目に,もう少し何とかならないものかと感じました.と同時に,私たち日本国民が持つ共通の課題のようなものを私は感じたのです.どちらかというと,守り中心で,積極的に攻めることが不得手な文化を作っているような気がするのです.たとえば,家の構えです.塀でしっかり囲い,他者を受け入れないようにさえ見える外構は,一方では,他人の中に積極的に入り込むことの障害にもなります.他人もその外構を見て身構えますから,一層関係づくりが難しくなりそうです.理学療法の専門分野に関してもそのようなことがあるのではないでしょうか.改めて自己分析してみなければと思います.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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