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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル32巻8号

1998年08月発行

文献概要

特集 認知障害

運動の認知障害と理学療法

著者: 宮本省三1

所属機関: 1高知医療学院理学療法学科

ページ範囲:P.564 - P.570

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 1.はじめに

 運動の認知障害とは「感覚入力と運動出力とをインターフェイスするシステムの障害」と規定することができる.運動の認知障害とは,単なる感覚障害でもなければ運動障害でもない.現在の脳科学は,この複雑なシステムの解明に向けての研究を進めている1).さらに,患者の運動機能回復を実現するには,応用科学としての理学療法の特性を生かし,医学のみならず哲学や心理学をも含めた学際的な視点から身体運動の深淵を見つめてゆく必要性がある.

 そこで本稿では,「空間には,視覚空間,聴覚空間,触覚空間などがあり,それらが合わさったものとして身体の空間性がある2)」という哲学上の命題を出発点にして,与えられた主題である「運動の認知障害と理学療法」の地平を眺めてみたい.

 そのためにまず,ルネサンス以後の哲学と心理学における古典的な身体論のなかから,人間の「空間認知」に関連する記述を素描する.次に,身体を空間に意味を与える受容器として捉える視点を提示し,運動の認知障害について考察する.そして,最後に「認知運動療法」と呼ばれる治療法を紹介し,今後の理学療法の可能性を展望する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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