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文献概要
特集 認知障害
認知障害と感覚統合療法
著者: 小西紀一1
所属機関: 1京都大学医療技術短期大学部作業療法学科
ページ範囲:P.571 - P.576
文献購入ページに移動 1.はじめに
認知障害というと,失認症・失行症・失語症が代表的なものとして挙げられる.その機序については,Broca(1861)やWernicke(1874)の失語症に関する症例報告を端緒とし,Lissauer(1890)やLiepmann(1900)等の失認・失行症例の報告と続き,その後,診断技術の発展に伴い,病態や機能的関連性についてはずいぶん詳しく知られるようになってきた.しかし,そうした障害に対する治療的アプローチとしては依然,機能的アプローチ(functional approach)が主流を占める状況で,患者の変化について,自然治癒と治療的介入による効果の判定が明確には下せないことが多いといえよう.また臨床の場では,患者の示す問題点が果たして失認に因るものなのか,失行に因るものなのか,あるいは失語によるものなのか見当すらつきかねるような場面に遭遇することがしばしばある.こうした混乱からの脱出法として,認知機能すなわち高次脳機能を神経機能学的視点から整理してみるのもよいのではないかと考え,筆を執らせていただいた.
認知障害というと,失認症・失行症・失語症が代表的なものとして挙げられる.その機序については,Broca(1861)やWernicke(1874)の失語症に関する症例報告を端緒とし,Lissauer(1890)やLiepmann(1900)等の失認・失行症例の報告と続き,その後,診断技術の発展に伴い,病態や機能的関連性についてはずいぶん詳しく知られるようになってきた.しかし,そうした障害に対する治療的アプローチとしては依然,機能的アプローチ(functional approach)が主流を占める状況で,患者の変化について,自然治癒と治療的介入による効果の判定が明確には下せないことが多いといえよう.また臨床の場では,患者の示す問題点が果たして失認に因るものなのか,失行に因るものなのか,あるいは失語によるものなのか見当すらつきかねるような場面に遭遇することがしばしばある.こうした混乱からの脱出法として,認知機能すなわち高次脳機能を神経機能学的視点から整理してみるのもよいのではないかと考え,筆を執らせていただいた.
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