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文献概要
特集 認知障害
脳性まひ児の認知障害と理学療法
著者: 今川忠男1
所属機関: 1旭川児童院
ページ範囲:P.577 - P.582
文献購入ページに移動 1.脳性まひ児の認知障害に対する認識
脳性まひ児の認知障害は理学療法士に認識されているのか.例えば,脳性まひを「感覚運動障害」であると述べている訓練法であっても,その焦点は筋緊張や不随意運動といった運動障害にあてられ,そのことに対する理学療法士の他動的な手技が中心課題となっているのが実状である.認知障害についても言葉としては用いていても,配慮がなされていない.
認知障害や認知機能の重要性に対する関心は,従来の訓練法の発展によって起こってきたものではなく,むしろそれらに対する一部の理学療法士の反省,つまり既存の訓練法では理学療法士が認識している臨床問題を解決するのに適切ではないという経験と,最近の理論的進歩を応用して新しい理学療法を開発していこうという挑戦によって起こってきたといえる.事実,運動科学は痙性や痙縮の生体力学的制御によって拘縮や関節変形の予防がある程度可能であることと,痙性や痙縮が機能障害の主要原因ではないことを証明している.「ごく当たり前の日常生活機能障害」を支援したいと願っている理学療法士は,機能障害におよぼす障害当事者の動機づけや環境の因子に鋭い感受性をもっていて,認知機能の学習過程こそが脳性まひ児と理学療法士にとって最も重要な課題であると認識できるようになっている.
脳性まひ児の認知障害は理学療法士に認識されているのか.例えば,脳性まひを「感覚運動障害」であると述べている訓練法であっても,その焦点は筋緊張や不随意運動といった運動障害にあてられ,そのことに対する理学療法士の他動的な手技が中心課題となっているのが実状である.認知障害についても言葉としては用いていても,配慮がなされていない.
認知障害や認知機能の重要性に対する関心は,従来の訓練法の発展によって起こってきたものではなく,むしろそれらに対する一部の理学療法士の反省,つまり既存の訓練法では理学療法士が認識している臨床問題を解決するのに適切ではないという経験と,最近の理論的進歩を応用して新しい理学療法を開発していこうという挑戦によって起こってきたといえる.事実,運動科学は痙性や痙縮の生体力学的制御によって拘縮や関節変形の予防がある程度可能であることと,痙性や痙縮が機能障害の主要原因ではないことを証明している.「ごく当たり前の日常生活機能障害」を支援したいと願っている理学療法士は,機能障害におよぼす障害当事者の動機づけや環境の因子に鋭い感受性をもっていて,認知機能の学習過程こそが脳性まひ児と理学療法士にとって最も重要な課題であると認識できるようになっている.
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