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特集 救急医療と理学療法
災害発生時に理学療法士が果たす役割―阪神・淡路大震災激震地区の病院で理学療法士が行った業務
著者: 坂本親宣1
所属機関: 1神戸労災病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.678 - P.681
文献購入ページに移動近年,阪神・淡路大震災(以下,震災),地下鉄サリン事件,O-157食中毒事件などのように瞬時に多数の被害者を出した災害や事件が続発し,救急医療体制の必要性や重要性の再認識についての報告が諸家1-4)によりなされている.そしてこれまで,救急医療体制についてどちらかといえば関わりが薄かった理学療法士に対しても,最近では救急医療体制の一端を担うことの必要性が求められている5).
しかし現実的な話として,震災の激震地区に位置する病院に勤務していたために次々に搬送されてくる死傷者に,職種の枠を越えて対応しなければならない状況が続き,ましてや自らが被災し,通常の心理状態から逸脱しているなかで,災害発生時に理学療法士の果たす役割を冷静沈着に考える余裕はなかったように著者は記憶している.
そこで,震災後約3年半を経過した今日において,当時を振り返り,震災直後の被災地で理学療法士が行った業務,更には今後このような災害が発生した際に理学療法士が果たしていかなければならない役割について述べたいと思う.
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