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特集 脳卒中患者の体力
脳卒中患者の体力
著者: 木村美子1
所属機関: 1産業医科大学病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.5 - P.10
文献購入ページに移動猪飼は体力を身体的要素と精神的要素に分け,各々が行動体力と防衛体力とから構成されているとした(図1)1).更に,真の意味での健康とは,単に病気を持っていない状況をいうのではなく,生存性(survival)と生産性(productivity)を持った状態であり,体力とは,この生存性と生産性の能力であるとしている2).生存性とは長生きをすることができるということであり,生産性とは日常の活動や作業を余裕を持って行いうるということだと解釈している.また大西は,体力を健康の増進や疾病の予防という観点から捉えて,体力とは日常生活や自由時間を活発に活動的に過ごすことができ,しかも疲れを残さずに行動できる能力であると定義している3).
障害者の体力ということになると,まず矢部は,身体障害者体力についての考え方も一般の人々に対する考え方と変わらないが,平衡性,柔軟性,筋持久力,呼吸や循環系の能力が重要であるとしている4).また窪田は,脳卒中患者の体力の概念について次のように述べている.すなわち,脳卒中患者がその障害の重症度に応じて到達しうる所の生活の活動水準を,維持・向上させるのに必要な身体的能力を体力とした.更に,この体力は,日常の生活動作の活動性の基礎となっている歩行能力と密接な関係があるとつけ加えている5).
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