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特集 脳卒中患者の体力
脳卒中患者の全身持久性とその測定方法
著者: 川口浩太郎1 松田貴子2 大成浄志1 奈良勲1
所属機関: 1広島大学医学部保健学科 2広島大学大学院医学系研究科
ページ範囲:P.11 - P.18
文献購入ページに移動脳卒中患者に対する理学療法では,日常生活活動(以下,ADL)の自立を目的に,歩行や移動といった能力障害に対するアプローチが積極的に行われる.
一方,脳卒中患者の全身持久力に関する研究で全身持久力の低下が指摘されているものの1-9),この点について現場で積極的なアプローチが行われることは少ないのが現状である.介護保険法の施行に伴い,今後家庭で生活する脳卒中患者がこれまで以上に増加することが考えられ,患者のADLの水準を高めるため全身持久力に注目した理学療法が重要になると思われる.
全身持久力に着目した理学療法を行うためには,患者にあった適切な運動強度を設定することが重要となり,その基礎として運動負荷試験を行うことが不可欠である.
しかし,脳卒中患者に対する運動負荷試験では麻痺による運動遂行の難しさがあり,酸素摂取量(以下,VO2)の測定には呼気ガス分析装置が必要なことから,実際の理学療法場面ではあまり運動負荷試験が行われていない.また,脳卒中患者に対する運動負荷試験が行われていたとしても,運動負荷方法はさまざまで,脳卒中患者に対しても簡便に定量的負荷が実施できる運動負荷試験を考案する必要がある.
本稿では脳卒中患者に用いられる運動負荷法の概要と,我々が行っている上肢エルゴメータを用いた低強度運動負荷試験で得られた負荷量からのVO2推定式10)を紹介する.
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