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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル33巻11号

1999年11月発行

雑誌目次

特集 関連領域―代謝疾患と理学療法

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.779 - P.779

 関連領域の理学療法として,代謝疾患を取り上げました.関連領域における理学療法の意義と実際に続いて,糖尿病,アミロイドーシス,急性ポルフィリン症等について,発症のメカニズム,神経症候の特徴と機能予後,リハビリテーションとしての包括的な関わりなどを解説していただきました.本企画を通して,理学療法の裾野の広さを再認識するとともに,全身・リスク管理を念頭においた理学療法の展開を促す契機となれば幸いです.

関連領域の理学療法

著者: 内山靖

ページ範囲:P.781 - P.784

 1.はじめに

 本誌で「関連領域」と題する特集企画が組まれるのは今回で3回目となる.これまで「頭頸部の障害とリハビリテーション」(第29巻7号),「腎障害と運動療法」(第31巻7号)が企画され,そして今回の「代謝疾患と理学療法」と続いている.

 我が国の理学療法は疾病構造や社会のニーズの変化に伴い,30数年の歴史のなかで,その需要と適応を拡大してきた.ここでいう関連領域とは,理学療法におけるその時代を反映しており,あくまでも全体を数の論理からみた相対的な位置づけを示している.したがって,特集に示される内容そのものが普遍的に関連領域であるわけではなく,理学療法における足跡の1つとして捉えられるものであろう.

 本稿では,私達がこれまで培ってきた知識と技術を1人でも多くの患者さんに安全かつ効果的な理学療法が実践・応用できることを目的に,関連領域のもつ意味と関わりを通して理学療法を指向する一助としたい.

糖尿病患者のリハビリテーション

著者: 高塚博 ,   安藤德彦

ページ範囲:P.785 - P.792

 1.はじめに

 代謝性疾患における機能訓練上の留意点は,代謝性疾患が直接,神経,筋,関節を障害することと,呼吸・循環系への影響から全身機能の低下・体力の低下を生じることの両面を考慮して,訓練負荷量と生活活動量を定めることである.それぞれの疾患の重症度によっては訓練の禁忌があるが,疾患の状態に十分留意した機能訓練は,機能維持・改善に有効であることも明らかである.各代謝性疾患の発症メカニズム,神経症候の特徴と機能予後を理解することは,リスク管理上および訓練プログラムの立案に有用である.

 糖尿病は1つの症候群であって,インスリン分泌の低下とインスリン作用の低下の両方またはいずれか一方により生じ,その特徴は,慢性の高血糖と糖代謝,脂質代謝,蛋白代謝の障害である.長期間の代謝異常の結果,様々な合併症を発症する.糖尿病合併症は,無症候であるのが普通であり,無症候性心筋梗塞など重篤な全身合併症への注意,末梢循環不全に対する訓練時間,休息時間の設定が重要である.また,運動訓練に際して,低血糖症状とケトーシスの理解が必要である.

アミロイドーシスと理学療法

著者: 山鹿眞紀夫 ,   大串幹 ,   田中智香 ,   高木克公 ,   緒方友美 ,   福本和仁 ,   徳永英世 ,   浦田貴絵 ,   安東由喜雄

ページ範囲:P.793 - P.798

 1.はじめに

 アミロイドーシス(amyloidosis)とは,線維状の構造を持つ特異な蛋白であるアミロイド線維(amyloid fibril)を主とするアミロイド物質が,全身または限局した種々の臓器・組織の細胞外に沈着することにより機能障害を引き起こす一連の疾患群である.前者は全身性アミロイドーシス,後者は限局性アミロイドーシスと呼ばれる.従来まれな疾患と考えられてきたが,後述するように日常よくみられる疾患にもアミロイドが関係していることが明らかになってきており,その重要性が再認識されつつある.

 1842年Rokitanskyにより初めて記載され,1855年Virchowらにより沈着物がヨードと反応してデンプンと同様に青変することから類デンプン(starch-like)・アミロイドと命名された.その後,骨髄腫に伴うアミロイドーシスの存在が20世紀になり認識され,1950年以降家族性アミロイドポリニューロパシーが,ポルトガル,日本,北アメリカなどで発見報告された.更に,1980年代になり,心房アミロイド,脳アルツハイマー型アミロイド,脳血管アミロイドという老人性アミロイドが注目され,老化や痴呆の病態の一端がアミロイドであることが判明した.また,同じく1980年代には,腎不全患者の血液透析において,導入後5~10年で不可逆的なアミロイド沈着により生じる種々の機能障害が報告されている.

 このように,近年の研究の結果アミロイドーシスの概念が幅広く拡がり,意義の深い疾患群であることが明らかとなった.本稿では,アミロイドーシスに関する分子生物学的な最近の知見と,神経症状を呈しリハビリテーション(以下リハ)施行上問題となる家族性アミロイドーシスの臨床症状・所見,リハアプローチ,更に最近話題になっている生体肝臓移植による治療について述べる.

ポルフィリン症と理学療法

著者: 矢野雄三

ページ範囲:P.799 - P.806

 1.はじめに

 ヘモグロビン,チトクロームなど体内には種々のヘム蛋白が広く存在し,それぞれ重要な働きをしている.このようなヘム蛋白のヘム部分を生成する系はヘム合成系と呼ばれているが,その途中でいくつかの種類のポルフィリン体を経由することから,ポルフィリン代謝系とも呼ばれる(図1).

 この系には8つの酵素が関与しており,そのうちのいずれかの酵素に異常が生じると,ヘム産生量の減少とポルフィリン体またはその前駆物質の過剰蓄積が生じ,その結果,種々の臨床症状を呈してくる.これがポルフィリン症と呼ばれる一連の疾患で,現在までに8つの病型が知られているが,主たる酵素異常の存在部位から肝性と骨髄性に,また,臨床症状の違いから急性ポルフィリン症と皮膚ポルフィリン症とに分けられる.ごく一部を除いて大部分のポルフィリン症は遺伝性の疾患である1)

 これらのうち,リハビリテーションの立場からは高頻度に四肢麻痺などの神経症状を呈してくる急性ポルフィリン症が重要であり,本稿では急性ポルフィリン症のうちの代表的な病型である急性間欠性ポルフィリン症を中心に,その生化学,病態,臨床症状,リハビリテーションを含む治療について述べたい.

脳腱黄色腫症の障害像とリハビリテーションアプローチ

著者: 木村伸也

ページ範囲:P.807 - P.813

 1.脳腱黄色腫症の病態,症候,治療

 脳腱黄色腫症は,血漿コレステロールが高値を示さず,コレステロールの還元体であるコレスタノールが文字どおり脳,末梢神経,腱などに蓄積する脂質代謝異常症であり,常染色体性劣性遺伝を呈する疾患である.

 本疾患の最初の報告は1937年にvan Bogaertらによってなされた.彼らは,若年性白内障,腱黄色腫,軽度の知能低下を示し,思春期以降進行して小脳症状,錐体路症状,仮性球麻痺を示し死に至る臨床症候と経過を呈した症例を報告した1-2).その後,他にも同じような症候を示す例が報告されてきたが,本疾患の病態生理については,1968年Menkesら3)が剖検例で神経組織にコレステロールおよびコレスタノールが蓄積していることを示し,本疾患が先天性脂質蓄積症であることが明らかになった.

とびら

いま必要なこと

著者: 諸橋勇

ページ範囲:P.777 - P.777

 私の勤務している病院では,年間10名前後の実習生を受け入れている.ここ数年気づくのは,レポートはワープロで綺麗に作成し,専門用語も程々に使い体裁のいい,しかし患者さんのプロフィールの一部を変えたら区別のつかないようなレポートが多いということである.つまり,障害を理解することばかりに偏り,人や生活者としての理解が希薄なのである.私は実習生を担当すると,片麻痺の理解→脳損傷者の理解→人の理解という3つの段階があることを説明する.その学生がまだ「片麻痺という症状の理解」しかしていないことに気づいてもらい,自分のやるべきことを考えてもらうためである.教育現場に人間を理解するためのカリキュラムがないのが現状で,いわゆる知識の詰め込み教育がなされているのである.

入門講座 パソコンによる学術情報整理学・7

カラースライドの作成とそのチェックポイント

著者: 中野克己

ページ範囲:P.814 - P.818

 ここ数年の間に,学会や研修会等の会場において,ブルースライドによる発表は非常に少なくなり,ほとんどの発表者がカラースライドを用いるようになっている.多くの発表者がカラースライドを好んで用いる理由は,配色を自由に選ぶことによって,自分が主張したい部分を一目瞭然に表現できることが挙げられる.つまり,色分けすることによって自分が伝えたい内容を分類・区別したり,その一部を強調することができるからである.

 その他,パソコンの操作性の向上やスライドを手軽に作成できるプレゼンテーション用ソフトが身近に利用できるようになったことも挙げられる.カラー表示ができるソフトがあれば,様々な組み合わせのなかから,自分の好みのデザインやカラーを選び,文字を入力し,更に好みのレイアウトに調整することで,表現力豊かなカラースライドを作ることができる.また,ビデオやスキャナーなどの周辺機器を組み合わせることで,図表あるいは写真入りのスライドが容易に,かつ安価に作成できるようになっている.

1ページ講座 理学療法評価のコツ・11

「住宅と周囲の環境」の評価

著者: 田村茂

ページ範囲:P.819 - P.819

 高齢者,障害者の在宅サービス,在宅ケアが叫ばれる昨今,理学療法士には,病院・施設から退院・退所に向け,住宅評価をはじめとして在宅生活を快適に送れるよう援助する責任がより大きくなってきている.特にクライアントの身体的能力,かつ安全に移動する方法を踏まえた適切な住宅改造の提案が求められ,それに応える責任と役割が要求されている.

 本稿では,実践に即した住宅評価のポイントについて述べることにする.

講座 発達障害・3

骨・関節機能の発達障害―特に股関節を中心にして

著者: 遠藤直人 ,   速水正

ページ範囲:P.820 - P.824

はじめに

 骨,関節は筋肉,靱帯とともに運動機能を司っている1)

 骨は体を支持し,内臓を保護し,加えてカルシウムホメオスターシスを維持する役割を果たしている.関節は“相対する2つ以上の骨を連結”し,可動関節(synovial joint,可動性がある)と不動関節(synarthrosis,可動性がない)に分けられる.可動関節は滑膜関節ともいわれ,骨,関節軟骨,関節包,滑膜,靭帯などから構成され,運動機能を果たす上で重要な役割を果たしている.四肢の関節がこれに相当し,本論で主に取り上げる.

 これら骨・関節は出生後,成長発達とともに形態的,機能的に大きく変化する.その成長・発達過程において,種々の疾患,外傷が,形態的,機能的な障害をもたらす可能性がある.ここでは骨・関節の形成過程,更に疾患と運動機能に及ぼす障害について記述する.

TREASURE HUNTING

「地の塩」に導かれて理学療法の道へ―山本克己氏(神戸市保健所地域保健課)

著者: 編集室

ページ範囲:P.825 - P.825

 公的介護保険制度のスタートを前にして,行政に籍をおく理学療法士の活躍の場はどんどん広がりをみせている,別の見方をすれば,理学療法士の真価が問われているということでもある.今月は免許取得後,一貫して行政畑で活躍されてきた山本克己氏を紹介しよう.山本氏は昭和31年,神戸市生まれの42歳免許を得たのが昭和61年というから,理学療法士という職業にたどり着くまでに,少々回り道をされていることになる.人生の長い道のりを一直線に突っ走る生き方もあろうし,回り道をしながら人生の節々で様々な経験をするのも味わい深いことなのである.

あんてな

フィンランドの高齢者福祉事情

著者: 堤文生

ページ範囲:P.826 - P.827

 フィンランドと聞いて,どんなことを連想できますか.「北欧の高福祉の国」「白夜とオーロラの国」といったイメージでしょうか.全般的に高福祉高負担で代表される北欧型社会福祉については,スウェーデンやデンマークのことが多くの日本人によって紹介されているが,フィンランドに関する紹介は非常に少ない.北欧の国々は,高齢者医療福祉に携わる者にとって一度は訪れたい憧れの国である.

 平成6年4月~9月の約5か月間,フィンランド国立社会保健開発研究センター(STAKES)より留学許可を頂き,高齢者医療保健施設の視察と研修を通じて多くのことを学ばせて頂いた.フィンランドは北緯60度から北極圏に達し,沢山の森や湖など大自然の素晴らしさが数多く散在する国で,日本の約9割の国土に510万人が暮らしている.フィンランドはスウェーデンとロシアという大国に挟まれ,両国の統治下に置かれた歴史を経て,1917年に独立した国である.

リレーエッセー 先輩PTからのメッセージ

出会いの中で与えられるままに

著者: 谷島朝生

ページ範囲:P.828 - P.828

 日本の理学療法士にとって世紀の大事業といっても過言ではない,第13回世界理学療法連盟(WCPT)学会は,パシフィコ横浜に74か国7,000人に及ぶ参加者を得て,大成功のうちに6日間の幕を閉じた.感激とともに感慨を新たにした.

 開会式は5月23日(日),天皇皇后両陛下のご臨席を賜り,日本学術会議をはじめ関係各界からのご出席もいただいて,厳粛のなかにも華やかに進行し,参加者の感動の余韻は引き続いて開催されたレセプションでおおきな盛り上がりとなった.

報告

Pusher現象の重症度,経過によるADL自立度への影響

著者: 青木詩子 ,   網本和 ,   杉本諭 ,   田代真奈美

ページ範囲:P.829 - P.833

はじめに

 脳卒中片麻痺患者の理学療法を行ううえで,歩行の再獲得は主要な目標である.しかし,その歩行の再獲得が困難である症例もおり,Davies 5)は,このように歩行の獲得が困難な症例に共通してみられる症状として,「Pusher症候群」を挙げている.この報告によると「Pusher症候群」は非麻痺側で麻痺側のほうに強く押して倒れてしまい,また,他動的に姿勢を矯正しようとしても,更に強く押し返そうとしてしまうといった状態で,全ての姿勢で起こり得るとしている.実際の臨床場面では,このような症例は通常の理学療法が進めにくく,歩行など移動能力を中心にADLの自立が著しく阻害されるという印象を持つ.

 これまで我々は,「Pusher症候群」のなかでも基本動作,すなわち座位,立位,歩行にみられる押す現象を「Pusher現象」と呼び,この現象の有無によって,ADLの自立度が大きく影響を受けることを報告してきた1,4).他方,嶋田ら3)は,Pusher症候群の経時的な変化について,長期的にみるとADL自立が困難であった症例と,Pusher症候群が消失し最終的にADLは自立に至る症例について報告している.また,Pedersenら6)は,Pusher症候群を認める症例は,示さない症例より長い時間を要してADLに改善がみられるものの,最終的には自立度は違わないと報告している.

 このようにPusher症候群といっても経過が様々であり,一定の見解が得られていないのが実情である.また,Pusher症候群の重症度による違いや,麻痺の影響を検討したものも少ない.そこで,今回は麻痺の程度を考慮したうえでPusher現象の重症度や経過の特徴をみていくことも重要と考え,年齢,麻痺の重症度および麻痺側を合致させた対照群を設け,Pusher現象の有無によるADL自立度の違いを確認した.更に,Pusher現象を示す症例で,Pusher現象の重症度や,経時的変化のなかで最終的にPusher現象が消失する症例と残存する症例,また,残存したなかでも軽減した症例と不変であった症例とのADL自立度の比較を行った.

短報

ラットヒラメ筋の廃用性萎縮予防に及ぼす筋伸張位保持時間の影響

著者: 山崎俊明 ,   立野勝彦 ,   塚越智

ページ範囲:P.834 - P.835

はじめに

 骨格筋の廃用性萎縮予防は,理学療法における重要な課題の1つである.特に下肢筋では,荷重が効果的である1).ところが,臨床的には荷重できない状況も多く,その場合は免荷での対策が必要となる.

 筋は短縮位に固定すれば萎縮し,伸張位に固定すれば萎縮を防ぐことができる2).しかし,萎縮予防目的に伸張位固定をすれば,拮抗筋に萎縮がおこる.そこで,我々は臨床的に可能な短時間(20分)の筋伸張位保持の効果を検索してきた3,4)

 本研究の目的は,伸張位保持時間の違いによる萎縮予防効果を調べ,臨床に参考となる基礎データを得ることである.

プログレス

Open Kinetic ChainとClosed Kinetic Chain

著者: 市橋則明

ページ範囲:P.836 - P.838

 1.はじめに

 今流行のOpen Kinetic Chain(OKC)とClosed Kinetic Chain(CKC)という表現が,21世紀には使われなくなるかもしれないと言ったら読者は驚かれるだろうか.その理由は,この表現がもつ暖昧さにある.OKCとCKCは1955年にSteindler1)が定義したのが最初であるが,1990年代に入るまでは,CKCの動作などの筋活動や筋力を測定した研究があるにもかかわらず2),このような表現は使われていなかった.CKCとOKCという表現が使われだしたのは1990年代に入ってからで,スポーツ傷害のリハビリテーション,特に前十字靱帯(ACL)損傷再建術後の再建靱帯にかかる負荷が研究されるなかで盛んに使われるようになった.

 SteindlerはOKCとは,連動する関節のうち遠位部の関節が自由に動くことができる場合の運動であり,CKCとは,遠位部の関節の自由な動きが外力により制限されているような場合の運動であると定義している2).しかし,この定義の使用をめぐっては,日本だけでなく世界的にもかなり混乱している.現在の使い方としては,OKCは非荷重位での単関節の動きであり,CKCは荷重位での多関節の動きとしているものがい.具体的には,椅座位で膝を伸展するような運動様式がOKCであり,スクワット動作のように足部を床に接触させ荷重下で膝を伸展するような運動様式がCKCであるとされる.

 しかし,例えばSteindlerがOKCの例として示した手を振る動作は単関節の動きではない.また,レッグプレスのように,荷重位ではなく下肢に負荷をかけて脚を伸展した場合もCKCといえるのか,もし負荷がなければ遠位部の関節が自由に動くということからすればOKCなのか.OKCの代表とされる椅座位からの膝伸展動作も,遠位部に抵抗をかけて等尺性収縮としたらCKCになってしまうのではないか.このように,我々が行っている動作をSteindlerの定義によってOKCとCKCに分けることには無理があり,混乱が生じている.

 このため,新しい定義を作ろうとする試みもいくつか見受けられたが3),“Journal of Orthopaedic Sports Physical Therapy”のチーフエディタであるRichardは,新しい定義を作っても更に混乱を招くだけで,使わないほうが良いとさえ指摘している4).このように,OKCとCKCのもつ意味が不明確なため,本稿では,OKCを椅座位での膝伸展動作,CKCを立位でのスクワット動作および長座位での脚伸展動作(レッグプレス)のみを意味するものと規定して話を進めることとする.

雑誌レビュー

“Australian Journal of Physiotherapy”1998年度版まとめ

著者: 畠中泰彦

ページ範囲:P.839 - P.843

はじめに

 オーストラリア理学療法士協会の機関誌である“Australian Journal of Physiotherapy”は1954年に創刊され,季刊として年4回発刊され,1998年現在,第44巻を数える.内容はEditorial,Leading articleといった論説に始まり,毎号60~80ページの主要部分を占める原著論文(Orginal Articles),短報(Short Report),更にクリニカルノート,文献抄録(Critically Appraised Paper),書評(Book Reviews)と一般的な構成だが,読者欄(Letters to the Editor)といった協会機関誌ならではの内容も盛り込まれている.

 本稿では原著論文を中心に主要な論文の要旨を分野別に紹介し,オーストラリアにおける理学療法の動向を概観するが,興味のある文献に関しては原文を読むことをお勧めする.なお本文中の[( )]は[(掲載号)ページ]を示す.

資料

第34回理学療法士・作業療法士国家試験問題(1999年3月5日実施) 模範解答と解説・Ⅴ―理学療法・作業療法共通問題(2)

著者: 猪田邦雄 ,   小林邦彦 ,   河村守雄 ,   宝珠山稔 ,   杉村公也 ,   鈴木國文

ページ範囲:P.845 - P.851

 問題35〔1〕

 (解説)血圧調節に関与する化学受容体は頸動脈球と大動脈弓周辺の大動脈球に存在する.

プラクティカル・メモ

手軽にできるソックスエイド―ペットボトルを再利用

著者: 森河光子

ページ範囲:P.852 - P.853

 上着やズボンは自分で着たり脱いだりできるのに,どうしても「靴下だけは人手を借りないと履けない」という患者さんがときどき見受けられる.それでも介助されるのを嫌って,寒いのに素足のままでいたり,何とか自分で頑張つて履こうと,針金を使って履こうとして何枚も靴下を破ってしまった患者さんがいた.

 市販されているソックスエイドを買ってもらえば済むことであるが,値段も高価で取り寄せに時間もかかり,また市販品のなかには材質や種類によって靴下の滑りが悪いものがあったり,ある程度慣れないと使用方法が難しいものもある.

書評

―陣内一保・安藤徳彦・伊藤利之(編集)―こどものリハビリテーション医学

著者: 米本恭三

ページ範囲:P.843 - P.843

 本書の前身は,編集が大川嗣雄,陣内一保の両氏による「こどものリハビリテーション」(1991)である.序言の中に,発行されてから8年を経過したので今回はタイトルも一新して「こどものリハビリテーション医学」として出版したとある.しかし,二冊の本を読み比べてみると,改訂2版と思っていた当初の考えは次第に改められた.新しい一冊の書籍が誕生したと言っても過言ではない.総括すると,久しく待望されていた小児全般にわたるリハビリテーション医学の教科書が出版されたと言ってよい.

 このたび編集にあたった陣内一保氏,安藤徳彦氏,伊藤利之氏は,小児のリハビリテーション領域に精通し,長い診療経験をお持ちの方々である.また,前身の書と比べると半数以上が新しい筆者に変更されており,57人に及ぶ全執筆者は何れもこの界を代表した指導的立場の方々である.

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文献抄録

ページ範囲:P.854 - P.855

編集後記

著者: 内山靖

ページ範囲:P.858 - P.858

 第33巻11号をお届けします.

 今月の特集は,関連領域―代謝疾患と理学療法―です.関連領域の理学療法についての考えは拙著に記してありますのでご参照下さい.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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