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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル33巻12号

1999年12月発行

雑誌目次

特集 予後予測

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.861 - P.861

 ■予後予測の方法論(宮原英夫,他論文)

 理学療法の分野では予後を悪化させる因子や予後予測に対する関心が高く,たくさんの研究がなされている.それらの研究では,相関係数,分割表,分散分析,重回帰分析,判別関数,生命表分析が多用されてきたが,最近ではロジスティック回帰分析や,比例ハザードモデルも利用されるようになってきた.ここでは予後予測の考え方から,よく使われている手法までを概説するとともに,分析の具体的な手順を知るのに適した文献を紹介した

予後予測の方法論

著者: 宮原英夫 ,   長澤弘 ,   松永篤彦

ページ範囲:P.863 - P.869

 1.はじめに

 病気の今後の見通しを予後(prognosis)と総称している.患者や家族にとって予後が大きな関心事であることは言うまでもないことであるが,医師,理学療法士,看護婦,ケースワーカーなど医療を提供する側にとっても,患者1人ひとりの病気が今後どうなるのかを予測し,考えられるいろいろな事態に対してあらかじめ対策を立てておくことが望まれる.脳血管障害,心筋梗塞,悪性腫瘍など致死率が高い疾患では,伝統的に生命に対する予後が優先されてきたが,治療法の進歩によって,生命に対する予後が改善してきた現在,障害を残した患者の機能に対する予後や,日常生活の質(QOL)が重視されるようになってきた.標準的な治療法の根拠を与える臨床試験においても予後の改善の定量的な評価が不可欠である.医療を取りまく経済的環境が厳しくなってきた昨今では,予後の改善度と投入される医療費とのバランスの問題も避けて通れなくなっている.近年,リハビリテーションの領域でも盛んになってきたクリニカルパスの考えのなかでも,適切な予測に基づくゴール設定は重要である.このように,評価の指標1)や予後の予測2)を巡って活発な議論が続いている.

 予後予測の研究には2通りのアプローチがある.1つは,研究者が自ら集めたデータのなかで,予測の時点の症候と実際に観測された予後との関係を調べる場合であり,今1つはその結果を基に,新しい症例の予後を予測する論理を提示する場合である.ここでは両者の立場を考慮しながら,ロジスティック回帰分析など統計手法のいくつかを紹介したい.

 しばしば論じられるように頭脳による情報処理は,ノイズが多いデータのなかから有用なデータを迅速に選出できる,結果がそのまま臨床に適用できるなどの長所を持っている.しかし,処理過程を明文化できない,データ処理の再現性が悪いなどの欠点も多い.一方,コンピュータ上の予測プログラムは再現性に優れているが,コンピュータに入力する前のデータの選別や数量化,モデル上の結論の臨床的な意味づけがむずかしい.更に,臨床医学で使われるデータが医学の進歩と共に急速に変化しているので,何年も前のデータを使って予後予測の論理を組み立てても実用にならない.したがって,予測の研究を始めるにあたっては,研究の目的をはっきりさせ,その目的を達成するにはどのモデルが適当であるか,予定した期間内にデータが集められるかなどを十分に検討してから取りかかる必要がある.

脳血管障害の予後予測

著者: 半田健壽 ,   星文彦

ページ範囲:P.870 - P.877

 1.はじめに

 予後とは,罹病した患者の経過についての医学上の見通しである(広辞苑).ならば,脳卒中患者の機能的予後の予測は機能回復予測と捉えることが許容されるであろう.脳卒中患者の機能回復予測は,患者の個人特性や臨床症候,機能状態などの変数を利用して可能である.

 本稿では脳卒中患者の機能的予後の予測研究,脳卒中後の帰結に影響を与える要因を概観し,リハビリテーション医療における機能回復予測システム,および歩行機能回復予測システムについて述べる.

発達障害児の予後予測―低出生体重児を対象とした脳性麻痺児新生児期の臨床評価と早期介入,療育

著者: 大城昌平 ,   穐山富太郎 ,   福田雅文 ,   高橋達也

ページ範囲:P.878 - P.883

1.予後予測の意義

 周産期・新生児医療の進歩により未熟児,低出生体重児の救命率は著しく改善したが,脳性麻痺などの発達障害の発症は決して少なくない.中村1,2)によると,我が国の12の代表的な新生児集中治療施設での1991年度の神経学的後障害の発生頻度は,出生体重1,000g未満で11.8%,1,000~2,499gで4.6%,2,500g以上では2.2%であった.また,193新生児医療施設を対象とした1990年出生の超低出生体重児のうち生存退院した853例の3歳時の予後調査の結果では,正常75.0%,境界10.9%,異常14.1%であった.したがって,周産期医療では早期に発達障害の診断を行い,適切な介入や療育を実施することが重要な課題となっている.

 介入研究3-11)による知見は,発達障害のリスクをもった未熟児,低出生体重児に対する早期介入(early intervention)や療育(neurodevelopmental therapyなど)の有効性を示唆している詮1).Duffyら,およびAlsら13)は脳発達のポテンシャルの高いといわれる新生児期に,個別的に適切な介入を図ることが,その後のよりよい発達に関連していると述べ,個々の神経行動の特性に応じた個別的な介入の重要性を強調している.新生児期の中枢神経系の回復過程には,①余剰神経回路のポテンシャルが高い,②余剰回路の代行機能,③他の行動反応による代用,④神経系の再成長および高感受性などの特性があり,このような特性を活かすためには,早期からの適切な生活環境や感覚-運動刺激が必要である.

頭部外傷の予後予測

著者: 矢野秀典 ,   網本和

ページ範囲:P.884 - P.890

 1.はじめに

 頭部外傷は,衝撃または外力による頭皮,頭蓋骨または脳に加わった外傷と定義される.したがって,後遺症をまったく残さないごく軽度の場合もあれば生命の危険におよぶものまで様々である.筆者らの経験でも,比較的若年で早期の意識障害が軽度であったにもかかわらず重度障害を残して他院転院となった症例がある一方,数々の重篤な病態を合併した重度頭部外傷例でもADL自立となり自宅退院した例もあり,その予後予測は極めて難しい場面も多い.また,その脳損傷の発生機序から,脳血管障害とは異なり,障害像および回復過程も千差万別である.本稿では,頭部外傷およびその予後を概説し,併せて自験例での予後を紹介し,考察を加える.

心疾患患者の予後―回復期運動療法期間における機能的予後

著者: 井澤和大 ,   山田純生 ,   大宮一人

ページ範囲:P.891 - P.898

 1.はじめに

 虚血性心疾患における機能的予後は,他の身体障害を伴う疾患と異なり,生命予後を意味することが多い.これは臓器不全が直接的に生命維持に関与していることからしても当然のことと思われる.しかしながら,理学療法士の立場からは,生命予後に加えて病前社会生活への復帰に関与する機能,すなわち身体運動能力の予後を考察することが重要であり,現在最も必要とされている回復期運動療法の臨床指導に求められることでもある.

 心疾患患者の運動障害は酸素搬送系に関する障害であるが,その系の総体として示される運動能力の規定因子には,心機能が中枢因子として,末梢血管ならびに骨格筋の酸素利用能が末梢因子として相互補完的に関与するものと思われる.したがって,その機能的予後を推測する際には,各々の因子についての評価が必要となる.このほか,特に高齢者やデコンディショニング(deconditioning;臥床や非活動的な生活のために起こった各種の器官の生理的な変化)の状態にある患者の運動能力には骨格筋機能も大きく関与する.

 以上より,本稿では心疾患患者における機能的予後を,酸素搬送系の機能(運動能力)的予後とし,その臨床的意義ならびに改善機序について概括する.

神経難病の予後予測

著者: 金子功一 ,   小林量作 ,   水島佳子

ページ範囲:P.899 - P.905

 1.はじめに

 難病とは,真の原因が解明されず,原因療法が確立されていない疾患のうち特定された一群をいい,本来の医学用語ではなく,福祉行政の進歩とともに医療の場でも広く用いられるようになった行政用語である.このうち,神経疾患および筋疾患を神経難病という1)

 予後は,慢性進行性の経過をたどることが多いとされているが,各疾患の差異はもとより,同一疾患でもタイプにより異なった経過をたどることが珍しくない.本小論では,神経難病の予後予測についての重要性とリハビリテーション(以下リハ)の必要性を論じるとともに,神経難病の代表的な疾患であるパーキンソン病(以下PD),脊髄小脳変性症(以下SCD),筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)の予後について,筆者らの自験例の提示を交えて述べる.

とびら

「小さな夢ひとつかなう」

著者: 下野俊哉

ページ範囲:P.859 - P.859

 久しぶりに休暇が取れた日曜日,部屋の中がとても散らかっていた.最近,学会や研修会が続いていて準備に追われていたのだ.少し整理をしようと片付けているとたくさんのフロッピーディスクとCD-ROMがでてきた.「これは何だろう」とよく見ると,バージョンアップで役割を終えた旧ソフトウェアである.「よくもこんなに」と思いながら,自分がコンピュータ病(?)にむしばまれていることに気がついた.「そういえば,いつからコンピュータなるものに投資を始めたのだろう」.ここで自分史の書物をひも解くこととなる.

1ページ講座 理学療法評価のコツ・12

高次神経機能障害

著者: 網本和

ページ範囲:P.906 - P.906

 脳損傷例の急性期からの関わり,あるいはマンパワーの点などから,理学療法士が高次神経機能障害の「第一発見者」となる確率は極めて高いといえる.そこで本稿では比較的早期での評価の進め方と留意点に絞って述べてみたい.

TREASURE HUNTING

先端技術で地域リハを支える―神智恵美さん(北海道別海町老人保健施設すこやか兼町立別海病院)

著者: 編集室

ページ範囲:P.907 - P.907

 先月に続いて,行政に所属し地域リハビリテーションの先鞭をつけるべく活躍されている理学療法士・神智恵美さんを紹介する.そうはいっても,人口8万人の根室支庁にあって,今年3月までは唯一のリハスタッフ,とりわけ札幌から遠く離れた別海町で理学療法を啓蒙するのが並大抵でないことは想像に難くない.神さんご自身「燃え尽きるほどやってしまった」と述懐されるように,理学療法士が取り組むべき課題を無尽蔵に残しているのが日本の過疎地域なのである.

 神さんは北海道釧路に近い厚岸町のお生まれ.釧路高専電子工学科を卒業したあと札幌医大衛生短期大学部に入学されたというから,少々変わったご経歴の持ち主といってよいかもしれない.理学療法士の資格を収得してからは札幌の急性期脳外科病院に2年間勤務,別海町の保健センターに移ったのが3年前,ここから神さんの「燃え尽きる」ような孤軍奮闘が始まることになる.

あんてな

鹿児島バリアフリー研究会の活動

著者: 大西芳輝

ページ範囲:P.908 - P.909

 Ⅰ.はじめに

 振り返ってみると20数年前,筆者自身,院内ADLの向上のみを重要視して,自己満足の世界に溺れていたように思う.そのような状況の下で,退院後のフォローアップで患者さん宅を訪問し,入院中に獲得した機能が著しく低下している現実を知って愕然とすることがあった.こうした経験から,住環境も考えての理学療法の重要性を痛感させられたのが,本研究会設立のきっかけであった.

 昨今,バリアフリーの言葉のみが一人歩きして,本来の意味から逸脱しているような印象がある.バリアフリーの意味については,ハード,ソフト両面からのとらえ方があり,なかでも物理的バリアに対しては,関係者と協力してクライアントの支援方法を探究していく必要があろう.

 理学療法士・作業療法士は,日々の診療活動のなかで,クライアントの家庭復帰を目標に種々のアプローチを展開している.多くの病院・施設ではクライアントの住宅改造や新築時の相談に対応する機会がしばしばある.その際,我々の分野あるいは視点のみで住環境問題に対応するには自ずと限界があり,諸々の問題について専門家の意見・情報を集約して,最適の住環境を提供できるようでなければならない.

 障害児(者)・高齢者が高いQOLを維持しながら在宅生活を営むためには,より良い住環境の下で,彼ら自身の自立範囲の拡大と並んで介護者の介護量の軽減につながるような支援が大切である.そのためにも,関係者自らが「バリア」を取り除き,ほかの専門職種と協力して取り組んでいくことが不可欠である.

 本稿では,鹿児島バリアフリー研究会の歩みを紹介しながら,今後の課題について述べることにする.

リレーエッセー 先輩PTからのメッセージ

60歳からの挑戦

著者: 池内峯雄

ページ範囲:P.910 - P.910

 「お早うございます」…入所者と挨拶を交わしながら今日も昨日と同じく健康で過ごせることを願いつつ1日が始まる.34年の病院勤務に引き続き老健施設で3年,想像以上に厳しい現実を目の当たりにして,施設に対する認識の相違を強く感じたものである.

 介護保険法第一条に―有する能力に応じ自立した日常生活を営む事ができるように支援する―とある.今の平和国家の基礎を築いてくれた人達に,限られた期間いかに心身ともに充実した入所生活を送っていただき,家庭復帰してもらうのか.

入門講座 パソコンによる学術情報整理学・8

「読む」から「見る」プレゼンテーションヘ

著者: 中野克己

ページ範囲:P.911 - P.914

 今日,私たちの臨床・研究活動を取り巻く環境は情報にあふれ,その内容はますます専門分化されている.そのため,自分にとって重要な情報を選択し,必要のないものを切り捨てていくことが大切になってくる.情報は送り手と受け手双方の伝達と理解という過程を経て伝わるが,送り手はそこで扱われる複雑で難しい内容を,いかに分かりやすく整理して伝えるかが重要であり,そこで受け手とのコミュニケーションが成り立たなければ,その情報は必然的に切り捨てられることになる.人間はコミュニケーション手段として,ほとんどの情報を視覚から得ており,聴覚の30倍の情報を伝えることができるといわれている.また,文字を読むより,図形を認識するほうが得意とされている.このように,何を媒介として,どのような情報を提供するかが,受け手の印象を左右するわけである.

 視覚というコミュニケーション手段を有効に利用したものとして,パソコン用語のGUI(graphical user interface)という考え方がある.Interfaceとは,各々の領域を共有したり結び付けるという意味である.パソコンのOSであるWindows95や98,MacOSは窓のようなウィンドウのなかに等間隔に整理されて並んでいる絵,つまりアイコンをマウスでクリックするだけで,あるいは,メニューから選択するだけで,ソフトの起動などユーザーがしたいことのほとんどが可能になる.かつてのMS-DOSのように,コマンドを暗記して1回ごとにキーボード入力するスタイルとは異なり,目で見ながらパソコンを操作できる環境がGUIであり,送り手と受け手の双方向の伝達をグラフィクスが橋渡しすることで操作が容易になった典型的な例である.パソコンが一般家庭にまで飛躍的に普及していった大きな要因として,このGUIの考え方があるといえよう.

講座 発達障害・4

こころの発達障害

著者: 永井洋子

ページ範囲:P.915 - P.920

はじめに

 こころの発達障害は,身体の発達障害のように目に見える障害ではないために客観的にとらえることが難しい.しかし,近年になって新しい科学の方向は,人間の行動をこころの機能や脳機能との関連でとらえる方向に進んできている.我々は,自閉症を中心とする発達障害の臨床・研究を通して,発達的な観点からこころと行動をできるだけ客観的・科学的に捉えて,その理論的な枠組みのもとに治療・教育の方針・目標などを組み立てている1,2)

 本稿では自閉症と多動症候群を取り上げ,先ず両障害の基礎的な知識を述べ,理解を深めるために共通点と相違点をまとめる.その後に,それぞれの障害における心の理解と対応について述べる.特に自閉症については,認知の発達段階に相応する特徴的なこころの状態と働きかけの留意点について示す.自閉症に限らず,広くこころの発達障害の理解と治療・指導に応用旨していただきたい.

報告

連続的他動運動による筋緊張抑制効果について―脳卒中片麻痺における検討

著者: 瀧昌也 ,   内田成男 ,   横山明正 ,   岡島康友 ,   榊泰輔 ,   堀内敏夫 ,   冨田豊

ページ範囲:P.921 - P.925

はじめに

 中枢神経障害において出現する痙縮は,正常な運動パターンを阻害し,そのまま放置すれば拘縮・変形・疼痛を引き起こす.更に,痙縮はADL・歩行の自立を阻害する大きな因子となるため,その軽減は理学療法を行う上でも主要な課題と考えられる.痙縮とは,上位運動ニューロン症候で,筋緊張の亢進,深部反射の亢進,クローヌスを伴い,筋の伸張の速さに比例して収縮が強くなる速度依存性収縮(相動性伸長反射)の亢進であり,これにはγ運動ニューロンの機能亢進が関与していると考えられている1-3).痙縮に対する運動療法としては,持続伸張や荷重によるストレッチ効果などが臨床でよく用いられている.この治療の原理は,筋をゆっくりと持続的に伸張することで,Golgi腱器官によるIb抑制が起こり痙縮が抑制されるというものである2,11)

 痙縮の定量的評価には,電気生理学的検査(H反射,F波)4,5),腱反射6),振り子テスト7),他動的伸張時の抵抗力・表面筋電図1,8,18)などによる検討が試みられている.実際,前述したような運動療法の痙縮軽減に関する治療効果について定量的評価に基づく検討は過去にいくつか報告されている.辻ら8),Tremblayら18)は,痙性麻痺患者の下腿三頭筋に対して持続伸張を行い,下腿三頭筋抵抗トルク,下腿三頭筋および前脛骨筋の表面筋電図にて痙縮を定量的に評価し,ともに痙縮が減少したと報告している.しかし,連続的な他動運動による痙縮の効果を定量的に評価している報告は少なく,辻ら9)の報告,内田ら10,11)による報告以外に,我々の知る限りでは認められない.

 今回我々は,従来のCPM装置を更に発展させた,セラピストによる他動運動を記憶再現できる新しい訓練装置,Therapeutic Exercise Machine(安川電機つくば研究所にて開発中,以下TEM12-14))を用い,下肢の連続的他動運動を実施し,痙縮に対する影響について股関節トルク,積分筋電図を指標として検討を加えたので報告する.

プログレス

筋張力計算のリハビリテーション医学への応用

著者: 江原義弘

ページ範囲:P.926 - P.926

 OT・PTの教育機関に歩行分析装置が導入され,また理学療法の一環として一部の機種ではこれらを用いた歩行評価が診療報酬の対象となり始めるなど,大がかりなシステムを用いた運動分析が少しずつ浸透しているとはいえ,一般の読者の方にはまだなじみの薄いものであろう.しかしこれから述べることはリハビリテーション医学や理学療法訓練についての研究に対して大変な潜在能力を秘めたものなのでその概略を述べ,もし読者諸氏がそれに触れる機会があるならぼ是非ご活用されることを望むものである.

 皆さんは臨床のなかでサイベックスマシンなどの筋力計測装置を用いて筋力(または筋トルクともいう)を計測したことがあろう.これによって筋力訓練の成果がどれくらいかが評価できる.この際,ある特定の日常生活動作中にある関節にどれくらいの筋トルクが必要とされているか,あるいはその対象者がその動作中にどの程度の筋トルクを発揮しているか,などを知りたくはないだろうか?

資料

第34回理学療法士・作業療法士国家試験問題(1999年3月5日実施) 模範解答と解説・Ⅵ―理学療法・作業療法共通問題(3)

著者: 猪田邦雄 ,   小林邦彦 ,   河村守雄 ,   宝珠山稔 ,   杉村公也 ,   鈴木國文

ページ範囲:P.927 - P.932

 問題67〔5〕

 (解説)障害者プラン7か年計画(1995年)の基本的施策には1.地域でともに生活する.2.社会的自立を促進する.3.バリアフリー化を促進する.4.生活の質の向上を目指す.5.安全な暮らしを確保する.6.心のバリアを取り除く.7.以上のためにわが国にふさわしい国際協力・国際交流をする.とある.

ひろば

患者の権利を尊重する医療―スウェーデン滞在で考えたこと

著者: 田中幸子

ページ範囲:P.934 - P.935

 筆者は1995年4月から1年間,スウェーデンのウップサーラ市に滞在した.その間,スウェーデンの国民番号を取得し,スウェーデン人と同じ福祉を体験した.高い人権意識に裏づけられた医療のあり方は理学療法部門でも例外ではなかった.大学病院をはじめ,地域診療所など,理学療法の現場での様子を中心に文化的な背景も含めて紹介したい.

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文献抄録

ページ範囲:P.936 - P.937

編集後記

著者: 綱本和

ページ範囲:P.940 - P.940

 理学療法士にとって担当症例の機能的予後を予測することは,適切な治療アプローチを選択することとならんで,常に喉元に突き付けられている重要課題といえるでしょう.実際インフォームド・コンセントを得るためには,適切な予後予測が不可欠であり,患者さんにも分かりやすい形の説明が要求されることは良く経験するところです.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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