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特集 上肢帯機能障害と理学療法
頸椎部脊髄症による上肢機能障害と理学療法
著者: 佐々木伸一1 嶋田誠一郎1 野瀬恭代1 達山勝龍1 前沢靖久2 馬場久敏2
所属機関: 1福井医科大学附属病院理学療法部 2福井医科大学附属病院整形外科
ページ範囲:P.179 - P.184
文献購入ページに移動頸椎部脊髄症(以下,頸髄症)患者は,「手がしびれる」「字がうまく書けない」「箸がうまく使えない」「ボタンが掛けられない」「ポケットの中の物が分からない」などの上肢障害と,「早く歩けない」「歩くとふらつく」などの歩行障害を訴える例が多い.
頸髄症の1つである頸椎症性脊髄症(以下,CSM)は,基礎に脊柱管前後径が12mm以下の脊柱管狭窄症1)が存在していることが多く,これに頸椎症性変化(加齢に伴う椎間板,線維輪の水分含量の減少,退行変性による椎間腔の狭小化,線維輪の膨隆,椎体縁の骨棘形成)が加わり,脊髄が圧迫され頸髄症を呈することになる.CSMの初発症状は,自覚に乏しく多くは片側の上肢末梢に「しびれる」という異常感覚に気づき,両手から下肢へと拡大するとともに,歩行障害や手指の巧緻運動障害などが増えてくる2).Lunsfordら3)は,CSM 37例の症状について,反射亢進が87%,痙性54%,歩行障害49%,膀胱障害49%,知覚障害59%,運動障害58%と報告しているように症状や障害は多彩である.後縦靱帯骨化症では,骨化靱帯の厚さが脊柱管前後径に対し概ね40%を越すと,脊髄症状の出現頻度が高くなり4),更に森2)は,頸椎運動による機械的摩擦や循環障害が加わり,脊髄障害を生じ錐体路障害が起こる述べている.
頸髄症は多くの症状や障害を呈するが,今回は上肢障害と歩行障害を中心に以下に述べる.
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