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特集 嚥下障害/熱傷
脳血管障害例における嚥下障害―「食べる」機能障害への取り組み
著者: 岡田しげひご1 本間和誠1
所属機関: 1札幌秀友会病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.239 - P.243
文献購入ページに移動 1.はじめに
「食べることは,人間が生きていくうえで必要不可欠な重要な行為の1つである.それは人間の生理的欲求である空腹を満たし,栄養を補給するだけでなく,個々人の好みや食べ方などによっても,その満足感は大きく左右される.自分の食べたいものを,食べたい時に,食べたい場所で,食べたい人と一緒に摂ることで,食欲が増し,より充実した満足感を得ることができるというものである.ところがある日突然,「食べること」が不自由になってしまったらどうであろうか.誰もが当たり前に行っていた分,どうやって食べたらよいか,どんなものなら食べられるかわからずに戸惑ったり,こぼしたり,イライラして,「食べること」の満足感どころか,食欲自体をもなくしてしまう.
脳血管障害によって生じる「食べる」機能の障害には,「食べること」の不自由さだけでなく,誤嚥の危険が伴ってくる.嚥下性肺炎が合併すれば,長期臥床を余儀なくされるだけでなく,生命をも脅かす重篤な事態を招きかねないし,在宅生活の維持も難しくなる,経口摂取が困難で経管栄養になれば,療養先や短期入所先も制限される.
このように,「食べる」機能の障害は,生命の維持やその人の生活の質にも大きく影響を与える.脳卒中で生じる「食べる」機能障害への対応は,急性期,回復期,維持期のいずれの時期にも必要であり,特に早期からのしっかりした対応は,安易な経管栄養への移行,無謀な経口摂取を防ぐ意味で非常に重要である.
当院では平成6年,言語療法士1名の常勤化に伴い,それまで医師,看護婦,理学療法士,作業療法士で行ってきたICU在室中からの早期リハビリテーションの段階から,「食べる」機能障害に積極的に対応できるようになってきた.本稿ではその経験を踏まえ,「急性期(ICU)から在宅まで,更に在宅生活をも支援する」という当院の方針の下で脳血管障害者の「食べる」機能障害への取り組みについて述べるとともに,急性期から関わり退院後も継続したアプローチを行って経口摂取が可能となった症例を紹介する.
「食べることは,人間が生きていくうえで必要不可欠な重要な行為の1つである.それは人間の生理的欲求である空腹を満たし,栄養を補給するだけでなく,個々人の好みや食べ方などによっても,その満足感は大きく左右される.自分の食べたいものを,食べたい時に,食べたい場所で,食べたい人と一緒に摂ることで,食欲が増し,より充実した満足感を得ることができるというものである.ところがある日突然,「食べること」が不自由になってしまったらどうであろうか.誰もが当たり前に行っていた分,どうやって食べたらよいか,どんなものなら食べられるかわからずに戸惑ったり,こぼしたり,イライラして,「食べること」の満足感どころか,食欲自体をもなくしてしまう.
脳血管障害によって生じる「食べる」機能の障害には,「食べること」の不自由さだけでなく,誤嚥の危険が伴ってくる.嚥下性肺炎が合併すれば,長期臥床を余儀なくされるだけでなく,生命をも脅かす重篤な事態を招きかねないし,在宅生活の維持も難しくなる,経口摂取が困難で経管栄養になれば,療養先や短期入所先も制限される.
このように,「食べる」機能の障害は,生命の維持やその人の生活の質にも大きく影響を与える.脳卒中で生じる「食べる」機能障害への対応は,急性期,回復期,維持期のいずれの時期にも必要であり,特に早期からのしっかりした対応は,安易な経管栄養への移行,無謀な経口摂取を防ぐ意味で非常に重要である.
当院では平成6年,言語療法士1名の常勤化に伴い,それまで医師,看護婦,理学療法士,作業療法士で行ってきたICU在室中からの早期リハビリテーションの段階から,「食べる」機能障害に積極的に対応できるようになってきた.本稿ではその経験を踏まえ,「急性期(ICU)から在宅まで,更に在宅生活をも支援する」という当院の方針の下で脳血管障害者の「食べる」機能障害への取り組みについて述べるとともに,急性期から関わり退院後も継続したアプローチを行って経口摂取が可能となった症例を紹介する.
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