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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル33巻4号

1999年04月発行

文献概要

プログレス

機械刺激に対する細胞の応答

著者: 曽我部正博1

所属機関: 1名古屋大学医学部第2生理学教室

ページ範囲:P.288 - P.290

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 理学療法では運動,ストレッチ,指圧など,機械刺激による生体反応を利用した療法が重要な地位を占めている.機械刺激は拘縮筋の弛緩,微小循環や炎症反応の促進,あるいはオピオイド分泌の促進を通して,筋疲労の回復や痔痛軽減をもたらすものと信じられているが,その詳細なメカニズムは不明である.個体への機械刺激は,結局のところ皮膚,筋肉,血管,神経の各組織への圧迫・伸展・ズリ応力刺激であり,つきつめれば,これらの組織を構成する細胞に機械刺激を与えていることになる.これらの機械刺激が細胞にとって区別されるかどうかは不明だが,何れの刺激も細胞膜の伸展を伴うという意味で,伸展刺激に対する細胞応答の理解が基本と考えられる.

 伸展刺激に対する応答といえば,まず皮膚触覚器,痛覚受容器,内臓伸展受容器,筋紡錘などの機械感覚器が頭に浮かぶ.その感覚受容部位には機械受容チャネルと呼ばれるイオンチャネルが発現しており,これらが伸展刺激で活性化されると,細胞を脱分極したのち感覚神経に活動電位を生じて感覚情報を中枢に伝達する.しかし,ごく普通の非感覚細胞も機械刺激を感じて応答することが分かつている.すなわち,皮膚,血管,筋肉の何れの細胞も機械刺激に対して生理活性物質の分泌,分裂促進など様々な応答を示す.したがって機械刺激による治療効果を理解するには,これら全ての細胞の応答を総合的に考慮しなければいけない.しかし,非感覚細胞における機械受容/応答のメカニズムはほとんど未解明の状態にある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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