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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル33巻6号

1999年06月発行

文献概要

プログレス

骨格筋に進入する自律神経

著者: 野条良彰1 竹内義享12 浅本憲1

所属機関: 1福井医科大学解剖学講座(Ⅰ) 2竹内整骨院

ページ範囲:P.428 - P.430

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 1.筋肉に入り込む神経の種類

 骨格筋に進入する神経には,①筋線維を収縮させる運動神経(α,γ運動神経),②筋肉の収縮伸展度を検出する筋紡錘と腱器官への知覚神経(Ⅰa,Ⅱ,Ⅰb線維),③動脈壁の平滑筋を収縮,弛緩させる血管運動性の交感神経,④筋組織や結合組織における組織傷害,炎症を検知して痛みを感じさせる知覚神経(Aδ,c線維)などがある.①と②の運動神経と知覚神経は,筋収縮に関わる.これらの神経線維はもともと太い軸索(神経突起)と厚いミエリン鞘(髄鞘)に被覆されているため,線維の外径は太く(12~20μ),α,Ⅰa,Ⅰbといった神経線維の興奮伝導速度は身体の中で最も速い(70~120m/秒)部類に属する.俊敏な我々の筋肉運動にふさわしい性質を持っている.それに対して,③と④の血管運動神経と痛みの知覚神経とは,筋肉内の環境調節と環境状態の感知に係わり,無髄線維で細い(0.3~1.3μ).こうした細い神経線維の伝導速度は遅い.特に交感神経とc線維は最も遅い(0.5~2.3m/秒)部類に属する.なお,痛みのAδ線維はごく細い有髄線維でc線維よりも太く,速度も速い.動物界を見わたしたとき,こうした無髄の神経線維は原始的な動物から備わっており,系統発生的に古く,基本的な神経といえる.このように筋肉には進化した神経と原始的な神経が一緒に入り込んでいることになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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