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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル33巻6号

1999年06月発行

文献概要

報告

機能的電気刺激を用いた完全四肢麻痺患者のトランスファーについて

著者: 大西秀明1 大山峰生1 伊橋光二1 八木了1 半田康延1 吉田忠義2

所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科運動機能再建学分野 2北陵クリニック

ページ範囲:P.439 - P.443

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はじめに

 脊髄損傷や脳血管障害などの上位運動ニューロン障害では,下位運動ニューロンを含む末梢神経に電気刺激を与えると,それに支配されている麻痺筋は収縮する.この原理を応用して,適切な電気刺激を行うことにより関節運動を引き起し,失われた機能を再建しようとするものが機能的電気刺激(functional electrical stimulation;FES)である1-3),FESによる動作機能の再建については数多くの報告があり,そのほとんどが対麻痺を対象とした起立・歩行動作の再建や四肢麻痺を対象とした上肢機能の再建である4-8).これらの報告はすべて,患者自身のADLを直接的に改善することを目的としており,介助者の負担の軽減を目的としたFESについての報告はみない.

 第5頸髄損傷完全四肢麻痺患者のトランスファーには全介助が必要であり,患者の家族または介護者にとっては深刻な悩みの1つである.特にトランスファーを主に行う者が女性や高齢者であれば,その問題はいっそう重大となり,家族の身体的・精神的負担となり,患者自身の精神的な負担の原因にもなる.そこで,患者自身のADLを直接的に拡大するのではなく,介護者の負担を軽減する目的で,FESを用いて頸髄5,6損傷完全四肢麻痺患者のトランスファーを試みたので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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