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特集 進行性疾患―QOL向上への取り組み
筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者のQOL向上への取り組み
著者: 川村博文1 伊藤健一1 山本昌樹1 石田健司1
所属機関: 1高知医科大学附属病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.491 - P.495
文献購入ページに移動筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)は,現状では病態の予後,自然経過は不良であり,病状の進行に伴い,全身の筋力が低下し,四肢・体幹の運動機能,移動能力,コミュニケーション機能,嚥下・呼吸能力が障害される.これらにより日常生活動作(以下ADL)の著しい低下,生活・生命の質(以下QOL)の著しい障害をきたしてしまい,最終的には生命の危機に晒されることとなる1,2).
ALS患者が高いレベルのQOLを獲得し,更に向上させつつ有意義な人生を過ごすことができるように支援することは至難なことではあるが,医療・福祉・保健が取り組むべき重要課題である.ALSの有効な治療法が未だ確立されていない現状では,ALS患者のQOLに関わる現実的な問題点として,入院・施設療養環境,在宅療養環境,患者・家族への支援体制,ALS情報ネットワークシステムなどの不備が挙げられる.
本稿では,当部で経験したALS患者のQOL向上への取り組みのなかで身体的・心理的アプローチを具体的に解説した.更に,筆者が関わってきた日本ALS協会,日本ALS協会高知県支部,高知県難病団体連絡協議会などの活動が果たす役割を述べて,今後のALS患者のQOL向上に関わる取り組みの方向性を模索したので報告したい.
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