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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル33巻9号

1999年09月発行

文献概要

特集 脳科学の進歩と理学療法

中枢神経系の階層性と運動

著者: 森茂美1

所属機関: 1岡崎国立共同研究機構・生理学研究所

ページ範囲:P.621 - P.630

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 1.はじめに

 運動制御motor controlの観点からみると,我々の身体は数多くの関節をつなぐ約800の骨格筋で作られている.肘関節elbow jointを例にとると,その動きは位置positionと速度velocityで決まるが,機械的には約100の自由度degrees of freedomをもち,空間内では少なくとも200の大きさdimensionをもっている.身体bodyがこれだけ多くの自由度をもつ関節でつながる集合体であると考えると,前腕・上腕・下腿・上腿などのいわゆる運動分節motor segmentsの動きをそれぞれに関連づけながら機能的につなぎ合わせること(coordination)が運動の遂行に際して必要となる.

 その場合に中枢神経系はどのような仕組みで数多くの骨格筋活動を制御しているのだろうか?この疑問に答えるため階層性制御hierarchical controlという概念がJackson(1884)によって最初に提出され1),その後この概念はBernstein(1967)によって更に発展した2).本稿では偉大な先覚者であるJackson博士(1835-1911)とBernstein博士(1896-1966)の階層性制御にかかわる基本的な考え方を紹介し,その一方では最近明らかにされている重要な研究成果を紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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