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プログレス
ALSの呼吸筋麻痺と呼吸器装着―最近の考え方―「今までのALS観」から「新しいALS観」への進展
著者: 林秀明1
所属機関: 1東京都立神経病院神経内科
ページ範囲:P.46 - P.48
文献購入ページに移動 ALSと呼吸筋麻痺との歴史を振り返ると,1869年にCharcotがALSを報告した早期から,ALSは発症から3~4年で呼吸筋麻痺で死亡する疾患と考えられてきた.そのため,ALSの臨床病理像は呼吸筋麻痺までの枠で確立され,それが世界に共通のALSの普遍的な像として教科書に記され,そのまま医師から医師へと引き継がれ,一般の人々へと敷衍されてきた.筆者は永年引き継がれてきた,このALSの考えを「今までのALS観」と呼んでいる.
呼吸筋麻痺をターミナル(死)とする「今までのALS観」の立場では,呼吸筋麻痺を越えて,いま現在,呼吸器の補助で生活しているALS患者・家族は,“ALSの枠をこえた対象外”と考え,その存在が無意識に否定される危険性があることに留意する必要がある.
呼吸筋麻痺をターミナル(死)とする「今までのALS観」の立場では,呼吸筋麻痺を越えて,いま現在,呼吸器の補助で生活しているALS患者・家族は,“ALSの枠をこえた対象外”と考え,その存在が無意識に否定される危険性があることに留意する必要がある.
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