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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル34巻10号

2000年10月発行

文献概要

プログレス

新生児・未熟児の全身運動評価

著者: 小西行郎1 佐々木綾子2 高谷理恵子3

所属機関: 1埼玉医科大学小児科 2福井医科大学看護学科 3福島大学教育学部学校教育講座

ページ範囲:P.744 - P.746

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はじめに

 人は,生後約1年をかけて,一定の順序に従って運動を発達させ,歩行するようになる.そうした運動の出発点として,新生児の運動は一般に非常に未熟なものと受け止められている.小児科の教科書ではこうした新生児の運動は生得的に皮質下や脊髄などに備わっている神経回路網があって,一定の刺激を与えるとそれに応じた運動パターンを出力すると書かれている.そして,生後数か月たって大脳皮質が発達してくるとその反射が抑制されるようになり,運動の制御は大脳皮質にとって代わられるようになる.

 この説は一見Piagetの構成論1)を支持し,運動の随意性の出現と大脳皮質の発達とを結びつけられるので都合がよく,いまでも我が国ではこの説が広く支持されている.しかし,最近の発達行動学的研究では,新生児が外界から特別な刺激を与えられなくても,自発的に手足を動かしていて,こうした運動のなかには様々な原始反射が含まれているという説2)や新生児が意図的に物に向かって手をのばしたり3),人の顔を模倣したりすることが4)いわれるようになり,先に述べた古典的な運動発達論は大きく見直しを迫られている.

 そうしたなかで,特にPrechtlらは胎児期から乳児期までにみられる自発的な全身運動(general movement;GM)に注目し,この運動の性質を観察することによって,児の脳障害の有無を判定することができることを見い出した5-7).ここではそうした彼らの報告と我々の行っているGMの客観的診断法などについて述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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