文献詳細
文献概要
特集 脳卒中のバランス障害
脳卒中のバランス障害の経過とその対応
著者: 望月久1
所属機関: 1東京都立大塚病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.771 - P.776
文献購入ページに移動 1.はじめに
バランス能力の定義は明確には定まっておらず,関連する用語である,立ち直り反応や平衡反応,姿勢反射との臨床的な対応関係も議論のあるところである1).筆者らはこれまで,「バランス能力は身体重心線を一定の支持基底面内に収めることのできる能力である」という最も操作的な定義を基本に,重心動揺計を用いてバランス能力を評価する指標について検討を行ってきた.これまでの結果では,患者の歩行能力や臨床的なバランス能力評価法との対応では,身体の動揺の大きさを表す重心動揺面積と,一定の支持基底面内で身体重心を随意的に動かせる範囲である安定域面積(重心移動域面積)の比をとると,疾患によらない普遍的な意味でのバランス能力と強い関連を示すことを見いだしている2).
本稿では重心動揺計を用いたバランス能力評価法の紹介と脳卒中患者のバランス障害の特徴およびバランス障害の経過について,これまでの研究結果と症例を基に検討したい.
バランス能力の定義は明確には定まっておらず,関連する用語である,立ち直り反応や平衡反応,姿勢反射との臨床的な対応関係も議論のあるところである1).筆者らはこれまで,「バランス能力は身体重心線を一定の支持基底面内に収めることのできる能力である」という最も操作的な定義を基本に,重心動揺計を用いてバランス能力を評価する指標について検討を行ってきた.これまでの結果では,患者の歩行能力や臨床的なバランス能力評価法との対応では,身体の動揺の大きさを表す重心動揺面積と,一定の支持基底面内で身体重心を随意的に動かせる範囲である安定域面積(重心移動域面積)の比をとると,疾患によらない普遍的な意味でのバランス能力と強い関連を示すことを見いだしている2).
本稿では重心動揺計を用いたバランス能力評価法の紹介と脳卒中患者のバランス障害の特徴およびバランス障害の経過について,これまでの研究結果と症例を基に検討したい.
掲載誌情報