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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル34巻11号

2000年11月発行

文献概要

特集 脳卒中のバランス障害

脳卒中の動的バランスと装具の効果

著者: 梶原良之1 石神重信2

所属機関: 1大阪医専教務部理学療法学科 2防衛医科大学校病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.791 - P.799

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 1.はじめに

 系統発生上人間の立位姿勢の獲得は極めて重要な意味を持っており,人間の進化を方向づけたものである.重力下にて存在し続ける以上,四足歩行から二足歩行へと変化していくうえで体重心の位置を調節する必要があり,筋紡錘入力による頸部・体幹・骨盤帯・下肢への抗重力筋の維持作用1)が必要となり,その制御方法も,反射性・反応性・予測性へと姿勢制御様式2)による違いや,前庭系・視覚系・体性感覚系などの生体機構3)の違いにより,複雑な環境に中枢部からの各効果器,受容器が対応できるようになった.

 我々は臨床上,常に転倒という不測の事態に対処する必要が多くなり,複雑に変化してきた回路を理解し解明しなければ転倒を起こさないための検討はできない.これに対して各施設においてもバランスの評価・トレーニングを行っており,その研究報告は年々増加傾向を示し4-7),評価・トレーニング機器としても多種多様な物が各メーカーにより開発検討されている8).しかしながら,評価・検討項目も異なり,統一された動的バランスの指標は確立されていないのが現状である.

 今回,動的バランス障害について文献的・力学的・神経学的見地から検討を行い,当院における脳卒中片麻痺患者の動的バランス測定の検査データを処理し,更に装具におけるバランスへの影響について検討を行って新たな知見を得たのでここに報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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