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特集 ICUにおける理学療法
ICUにおける重症熱傷患者の理学療法
著者: 亘理克治1 森川亘1 滝野勝昭1 池田弘人2 石川朗3
所属機関: 1帝京大学医学部附属病院リハビリテーション部 2帝京大学医学部附属病院救命救急センター 3札幌医科大学保健医療学部理学療法学科
ページ範囲:P.89 - P.94
文献購入ページに移動広範囲重症熱傷の病態研究は,1992年の米国ボストンにおけるCocoanut Groveナイトクラブでの火災による491名の死亡という大惨事がきっかけとなり始まったといわれる1).その後,熱傷ショックに対する輸液療法の確立,循環管理の進歩,熱傷創管理としての早期焼痂切除・植皮術の普及により救命率は向上した.更に現在では,凍結保存屍体皮膚(スキンバンク2)),人工真皮,培養皮膚などの臨床応用により,熱傷創感染による死亡率は減少しつつある.また,広範囲重症熱傷の治療には種々の合併症を乗り越えることが必要であり,そのため理学療法士には円滑な熱傷治療が施行されるように援助することが求められる.
熱傷に対する一般的な理学療法は,スプリントの使用などによる良肢位保持,関節可動域訓練,筋力強化訓練,早期離床を目的とした基本動作の獲得や日常生活活動の向上である.しかしながら広範囲に及び,しかも気道熱傷を合併しているような重症熱傷の場合,呼吸管理を含めた全身的な管理が重要であり,無気肺,肺炎などの呼吸器合併症を予防するための呼吸理学療法が必要となる.
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