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文献概要
講座 臨床をいかす動作分析・2
基本動作の分析―正常動作とバランス
著者: 山本泰三1
所属機関: 1東京衛生学園専門学校リハビリテーション学科
ページ範囲:P.119 - P.124
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片麻痺の動作を分析するときには必ずバランス反応を評価するが,運動器疾患による障害者の動作分析をするときにはバランス反応テストをせずに運動療法を計画することがある.しかし,姿勢調節は中枢神経疾患による障害把握のためだけに必要な概念ではない.姿勢や動作の安定性は図1のように様々な障害により低下する.関節可動域制限や感覚障害によっても姿勢や動作の安定性が低下するし,動作のバリエーションが限定されることがある.
様々な原因でバランスが低下し動作障害が生じるので,動作分析では残存するバランス能力をどのように捉えるのかが重要となる.更に,運動療法につながる動作分析とするためには,より望ましいバランスを維持する現象がどのような環境で生じるかを評価することも重要である.セラピストの誘導を中心に,バルーンやスリング,テーブル,枕などの道具をどのように用いると最大のパフォーマンスが発揮されるかを評価するのである.姿勢保持や動作が遂行できる環境を考えることも動作分析の1部であり,必要な補助を段階的に減らして最終的には患者自身だけでできるようにすることが運動療法の1手段である.
本稿では,臨床で評価可能な姿勢調節の捉え方を提示し,これを動作分析,運動療法と関連づける.
片麻痺の動作を分析するときには必ずバランス反応を評価するが,運動器疾患による障害者の動作分析をするときにはバランス反応テストをせずに運動療法を計画することがある.しかし,姿勢調節は中枢神経疾患による障害把握のためだけに必要な概念ではない.姿勢や動作の安定性は図1のように様々な障害により低下する.関節可動域制限や感覚障害によっても姿勢や動作の安定性が低下するし,動作のバリエーションが限定されることがある.
様々な原因でバランスが低下し動作障害が生じるので,動作分析では残存するバランス能力をどのように捉えるのかが重要となる.更に,運動療法につながる動作分析とするためには,より望ましいバランスを維持する現象がどのような環境で生じるかを評価することも重要である.セラピストの誘導を中心に,バルーンやスリング,テーブル,枕などの道具をどのように用いると最大のパフォーマンスが発揮されるかを評価するのである.姿勢保持や動作が遂行できる環境を考えることも動作分析の1部であり,必要な補助を段階的に減らして最終的には患者自身だけでできるようにすることが運動療法の1手段である.
本稿では,臨床で評価可能な姿勢調節の捉え方を提示し,これを動作分析,運動療法と関連づける.
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